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2008年9月7日 全商連第1回理事会決議
 
 全国商工団体連合会(全商連)は6、7の両日、東京都内で第48回総会第1回理事会を開催し、次の決議を採択しました。

原油・資材の高騰危機打開、切実な要求実現の運動と結び年間増勢に挑戦を

一、はじめに

 全商連第48回総会から3カ月余が経過しましたが、政治と経済はいっそう激動しています。
 原油・資材高騰で、20万隻のいっせい休漁や2万人を超えるトラック業者の危機突破大会など世論と行動がかつてない規模で広がっています。

 実施から5カ月が経過した後期高齢者医療制度に対し、35都府県の医師会が反対や見直しなどを表明し、3分の1以上の自治体が反対決議をあげる状況です。
 消費税増税の策動に対し、帝国データバンクの企業調査でも半数を超える企業が増税に反対するなど、財界の世論誘導にもかかわらず、企業経営者の間に拒否反応が広がっています。

 福田首相は8月に内閣を改造し、総合経済対策(安心プラン)を発表しましたが、国民の支持は得られず政権を投げ出しました。臨時国会で国政の基本問題を徹底審議し、解散・総選挙で国民の信を問うべきです。
 民商・全商連は第1回常任理事会決議に基づき奮闘してきました。原油・資材・穀物の高騰被害や払いきれない公的負担の実態を国・自治体に突きつけ、緊急の中小業者対策を働きかけてきました。また組織建設でも「総会方針学習月間」に取り組み、持続拡大に挑戦してきました。

 秋から春に向け、総選挙を視野に入れ、原油・資材の高騰危機打開を中心に切実な要求実現の運動を旺盛に進めます。大増税・改憲・貧困を許さない国民共同を発展させます。すべての組織が商工新聞前面に持続拡大を進め年間増勢に挑戦します。

二、切実な要求実現に全力を

1、原油・資材高騰対策の緊急行動を
 原油・資材・穀物の高騰に対し、力を合わせ投機マネーの規制と危機打開を迫ります。
 莫大な投機マネーの流入が国民経済を混乱に陥れ、生活必需品やエネルギーという国民の生存基盤を脅かす異常事態です。国民の窮状をよそに、投資銀行や石油元売り会社、製粉大手などが暴利をむさぼっているのに、政府はまともな対策を講じていません。

 原油・資材・穀物高騰が広範囲にわたり苦難を強いているだけに、班・支部での集まりや全会員訪問で実態と要求をつかみます。実態調査に基づき、国・自治体に減税や直接補てんの対策を迫り、国には自治体の独自施策に対する特別交付税措置の拡充を働きかけます。
 「燃料サーチャージ」や「単品スライド条項」など健全な積算単価を認めさせる運動を強めます。

 セーフティーネット保証制度の拡充や借り換えを含む低利・長期の原油・資材高騰対策緊急融資の創設を要求します。金利引き下げや返済猶予、期間延長など制度融資の改善を求めます。
 10月改組の(株)日本政策金融公庫に、広範な中小業者への融資実現を迫ります。
 「下げろガソリン! 上げるな消費税!」の緊急署名に大きな反響が広がっています。商工新聞や署名推進チラシ、パンフを活用し、全会員参加で1会員10人分をめざします。

2、消費税増税を許さず自主計算活動の強化を
 大企業に適正課税し、軍事費などの無駄を削るなら、国民の安心・安全な暮らしを保障する財源を確保できます。消費税増税を提案させない攻勢的なたたかいを進め、減税・廃止への展望を広げます。大企業優遇税制などの実態告発を強め、宣伝、署名、対話を強めます。業者団体への申し入れや懇談、議会請願、地元選出議員への要請などを旺盛に行います。

 消費税廃止各界連絡会を対応するすべての地域で再建・強化します。
 各地の成果を学び、「経済的理由」による納税の猶予をいっそう広げるとともに減免措置の拡充を要求し、生存権的財産の差し押さえを許さない運動を強めます。
 班を基礎に「自主計算パンフ」を活用し、税務調査と徴収両面の対策と納税者の権利を深く学び合います。

3、経営改善をめざす多彩な運動を
 瑕疵担保履行法の内容を広く知らせ、保険料や事務負担金を軽減させるなど実利実益の獲得と制度の改善をめざします。
 不当な駐車違反取り締まりや飲酒運転に対する料飲業者への連座制などに対し、実態と中小業者の役割を知らせ粘り強く改善を求めます。
 小規模工事希望者登録制度や住宅リフォーム・耐震化への助成制度を創設・拡充させ、参加資格での納税要件の撤廃を働きかけます。

 大型店の出店規制や入札制度改革と結び、地域経済振興条例を制定し育てていく運動を進めます。
 夏期研究集会(中小商工業研究所の主催)の成果にも学び、地球温暖化・環境リサイクルに対応し、持続可能な社会に貢献するまちづくりや仕事おこしを推進します。
 商工交流会・商工フェアの運動、料飲スタンプラリーなど、団結の力を生かした経営対策と業種別の交流を推進し、生き抜くための経営対策を進めます。

4、差別医療を許さず、社会保障制度の改善を
 医療差別の後期高齢者医療制度の廃止を求め、衆議院で継続審議となっている廃止法案可決のために奮闘します。この間、取り組んできた「後期高齢者医療制度の廃止を求める署名」は緊急署名に統一して進めます。
 国保料(税)の引き上げを許さず、資格証明書の発行をやめさせます。そのために、国保運営協議会に高すぎる国保料(税)や保険証取り上げが生存権を脅かしている実態を反映させます。国保の減免制度の拡充や65歳〜74歳の国保料(税)の年金からの天引き中止を要求します。

 自治体健診の縮小を許さず、特定健診・保健指導の見直しと健診内容の充実を国・自治体に迫ります。
 政府は政府管掌健康保険(政管健保)を10月から「全国健康保険協会」に移行させ、保険料率を引き上げようとしています。国の責任を後退させ、「保険料率のアップか安上がりの医療か」を迫る政管健保の改悪に反対します。

5、改憲許さず、平和と民主主義の擁護を
 新テロ特措法は、インド洋でアメリカ艦船などにタダで給油する根拠法で、その予算は年間90億円に上ります。新テロ特措法の延長を許さず、米軍の軍事作戦に自衛隊を参戦させる派兵恒久法の制定を阻止するたたかいを強化します。
 「9の日宣伝」や「25日宣伝」など、憲法改悪反対の運動が粘り強く継続されています。憲法改悪反対共同センターの発展・強化と改憲阻止の署名を推進します。

 米兵犯罪の裁判権を放棄する密約や在日米軍基地に寄港した米原潜の放射能漏れが明らかになり、怒りが広がっています。日米軍事同盟打破、基地撤去を掲げて神奈川県で開かれる「08年日本平和大会」(11月13日〜16日)を成功させます。
 「核兵器のない世界を」署名に積極的に取り組み、2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で、核保有国を含むすべての政府が核兵器禁止・廃絶条約を締結するよう迫ります。

6、総選挙で政治の中身を変えよう
 自公政権は、暮らしと平和を壊すアメリカ・財界中心の政治を継続し完全に行き詰まっています。一方、民主党は、改憲や消費税増税、派兵恒久法など国の根本の問題で自民党と基本路線では違いがありません。

 解散・総選挙の時期は予断を許しません。今度の総選挙では、政治の中身をどう変革するかが問われます。中小業者・国民の営業と生活、権利を守る政治へと切り替える絶好のチャンスです。どの政党が伸びれば政治を変えることができるかの話し合いを班・支部で強めます。

三、団結を強め、攻勢的な組織建設を

1、方針学習を力に、年間増勢の実現を
 総会から約3カ月、医療差別反対や国保の運用改善、資材高騰の被害救済などの運動と結び、強く大きな民商建設をめざして奮闘してきました。
 「学習月間」を通じて、幹部学校や支部長学習会も活発に開催され、第48回総会方針を民商の活動指針として具体化する学習・討議が広がりました。このことは、中小業者運動の展望や団結した組織の力に対する確信を深め、民商建設の豊かな発展の条件をつくり出しています。

 同時に、総会後の組織勢力は厳しい状況が続いています。しかし「基本調査」時の前年比較では、総会成功めざす大運動で「悪政への怒りを拡大で示そう」と奮闘したこともあり、増減差の接近が読者で8年ぶり、会員で10年ぶりの水準です。そして7月末の組織現勢では、昨年の12月末現勢に読者で664人、会員で4239人を残す到達です。

 総会方針は「変化に対応し、減らさず増やす持続拡大」を提起し、「会員一人ひとりが自らの言葉で民商の良さを語り、助け合いとしての紹介運動を広げる」と強調しています。全商連会費と商工新聞紙代の改定を目前に控えていますが、総会方針の実践として、力をひとつに年末、3月末増勢を実現するなら、激動する情勢を主導的に切り開き民商運動への確信を会内外に大きく広げることができます。

2、署名と読者拡大を前面に、持続拡大への挑戦を
 すべての組織が「全国はひとつ」の思いで団結し、「減らさず増やす」持続拡大に挑戦します。
 執念を持った拡大運動の独自追求とともに、切実な要求実現の運動を組織の拡大・強化に結びつける活動改善を推進します。
 署名は誰でも取り組める活動です。内容を学び合い自分の言葉で語る活動を強めます。

 商工新聞読者の拡大は、「中小業者の大同団結と平和的民主的日本の建設に貢献する」という創刊の精神に立ち返り、地域の全中小業者を対象に思い切って広げます。また、さまざまな共同行動での信頼関係やつながりも生かして増やします。
 会員の拡大は、仲間づくりの運動です。「なんでも相談会」活動や紹介運動を進め、相談者を系統的な権利学習や自主計算活動に導く意識的な努力を強めます。

 新会員歓迎会を充実させることで、地域の最新情報や中小業者の要求の変化をつかみ、持続拡大に生かします。
 インターネットや地域情報誌の積極活用など大量宣伝も工夫をこらし、民商の役割に対する地域での信頼を拡大運動につなげます。

3、全会員参加で、商工新聞中心の活動推進を
 運動・組織・財政の統一した力の発揮へ、商工新聞中心の五つの活動を総合的に推進します。
 商工新聞を「よく読む」活動は、誰でもできます。切実な要求実現や制度の改善・創設、中小業者・国民の立場で真実を伝えるなどの「値打ち」を、班・支部でも大いに語り合います。

 「読者を増やす」活動は、「あったか民商」の姿を広く伝えるとともに、消費税増税や改憲を阻止する国民共同にも貢献するものです。「よく読む」活動と結び、「購読対象者にどう魅力を伝えるか」を役員会や拡大推進委員会で検討します。

 「配達し、集金する」活動は、荷を分かち合い、会員に「自らの組織」という自覚を高めます。同時に、組織の実務活動を改善・整備する契機となっています。会員比150%の読者を組織する民商の多くで、全国平均を上回って毎月約2割の会員が配達に参加しています。配達・集金での地道な努力を慰労する機会も設け、より多くの仲間が活動に参加するよう呼びかけを強めます。

 「通信を送る」活動の充実は、紙面の約7割を通信でつくる商工新聞に不可欠です。通信が増えるなら、運動の経験や教訓も深められ、読者に親しみが増し、編集企画や紙面改善に生かされます。すべての組織が通信員登録を行い、毎月1通以上の通信・ニュースを全商連に送付するようにします。

4、「目標と計画」に基づく民商建設と班・支部強化を
 「基本調査」結果を分析し、「目標と計画」を確立・充実して民商建設を推進します。
 民商は、自覚的な中小業者の組織として地域で活動し、全国の運動を統一して推進する役割を担うとともに、班・支部活動の発展・強化を基礎に、一人ひとりの会員に魅力ある活動を保障する役割を担っています。

 今日、徴税攻勢が消費税とともに地方税・国保料(税)にシフトし、また「貧困と格差」が地域にまん延するなかで、自治体対策を組織的に推進できる民商建設を進めます。政令市や特別区の民商は、県連の援助に基づき連絡・調整を強め、大都市対策を推進します。また複数の自治体を抱える民商は、役員会で討議し、市町村と交渉・懇談できる支部体制の確立を進めます。

 同時に、班・支部活動を強化するため、支部の「目標と計画」を、運動・組織・財政の視点から充実させます。税金相談員などの育成と支部への配置を進め、「商売を語る会」や「なんでも相談会」の支部開催を推進します。また支部単位の持続拡大や班づくりを強め、班での論議が支部役員会に反映する体制の確立をめざします。そして紙代還元金を含め、支部財政の確立とその有効活用を工夫して進めます。

四、運動高揚と組織拡大の結節点「10.22決起集会」の成功を

 全商連は「つぶされてたまるか!10・22中小業者決起集会」(10月22日・水曜日、東京・日比谷野外音楽堂)を開催します。原油・資材・穀物高騰の被害救済と消費税増税反対へ「のろし」を上げるとともに、商工新聞前面の拡大運動の結節点とします。

 地方はすべての支部から、首都圏はすべての班からの代表参加を推進します。業者団体などとの懇談を強め、この集会までに1会員5人分の緊急署名結集をめざします。
 すべての組織が、「基本調査」時の会員数を基に、6月1日を起点にした累計で読者8%、会員3%の拡大目標に挑戦します。署名と拡大の到達を10月14日から日報体制で集約し、達成組織を決起集会で発表します。

五、助け合い共済の運動発展を

 医療、介護、年金など、あらゆる社会保障・福祉の連続改悪で、中小業者・国民の健康破壊が一段と深刻化し、仲間同士が助け合う共済運動の役割はいっそう重要です。
 この間、保険業法から助け合い共済の制度と組織を守る運動を強め、附則制度から本則制度への移行や、集団健診・大腸がん検診に取り組んできました。

 民商・全商連共済会は、非営利に徹し、団体自治を強める運営などの積み重ねがあったからこそ、世論と運動で保険業法規制を許さない今日的到達を築いています。
 会員加入率は依然7割弱にとどまり課題を残しています。いま、求められるのは、この間の前進と成果を確信にし、全会員加入への限りない接近に挑戦することです。保険業法による規制と干渉を許さず、制度改善を進め、団体自治の力を会内外に示していくことです。

 全商連は4年前に「『共済運動発展のための検討委員会』中間まとめ」を発表しましたが、「より民商・全商連にふさわしい共済会」をめざし、会員加入率の向上と制度改善を一体に推進します。
 来年開催する全商連共済会臨時総会に向け、「保険業法を見直し、団体自治に干渉しないことを求める」新署名の推進をはじめ、保険業法規制から共済の制度を守る運動を強めます。また、制度改善に向け文字通り全会員加入をめざして奮闘します。

六、業者婦人、業者青年の対策強化を

1、業者婦人の悩みに応えた活動の推進を
 所得税法56条の廃止を求める運動が高まり、高知県議会に続き各地方議会でも意見書採択が広がっています。引き続き、民商・県連で位置づけ全自治体へ働きかけます。

 婦人部は「所得税法56条の廃止」署名で対話し、切実な要求を出し合い、自治体交渉を進めています。暮らしも営業も困難だからこそ、悩んでいない業者婦人はいません。力を合わせ、婦人部を大きくするため、全婦協第27回総会(10月18・19日)成功をめざし、全会業者婦人を婦人部に迎え入れるため奮闘しています。民商の支部ごとに会員比6割の婦人部建設めざし援助します。

2、若い世代と交流し、魅力ある民商建設を
 第10回全国業者青年交流会を結節点に、各地で多くの青年が集い、商売や生き方の展望が語り合われました。経営要求が高まるなか「仲間と勉強し成長したい」と、民商青年部に期待が広がっています。

 商工交流会運動などを通じ、会内外の業者2世や新規開業の若い世代と交流を深めることも大切です。引き続き、地域の業者青年を民商に迎え入れ、業者青年に魅力ある民商をつくります。
 交流会を力に「1万5000人部員」の実現に挑戦します。すべての民商での青年部建設を援助し、全青協第33回総会(11月16日)を成功させます。

七、財政確立と運動財政について

 全商連第48回総会での決定に基づき、全商連会費と商工新聞紙代の改定を10月から実施します。この間、購読料改定の「号外」を使った対話活動や、配達・集金体制の改善・強化、商工新聞の紙面刷新に取り組んできました。

 「基本調査」結果は、商工新聞紙代、会費の未収克服が依然として焦眉の課題であることを改めて示しています。この克服が財政健全化の基本であり前提条件です。秋から春に向けて、会費・商工新聞紙代改定を含む財政確立と合わせ、未収克服に全力をあげます。
 中小業者決起集会を視野に入れ、運動に見合った積極的な財政計画を立て、募金を訴えていくことが重要です。

   
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