総会に対する常任理事会報告
民商・全商連の前進と共同の時代切り開こう 全商連事務局長 岡崎民人
安倍政権打倒へたたかいを合流
岡崎民人・全商連事務局長は、2年間の活動を振り返るとともに、情勢の特徴として、朝鮮半島をめぐる「非核化と戦争終結に向けた対話の流れ」に触れ、軍事的対応だけを煽ってきた安倍外交の破綻を指摘。「経済政策でも安倍政権の害悪は明らかだ」とし、「異次元の金融緩和」によって輸出大企業と一部の株主だけが儲かる一方、格差と貧困が広がっていることを厳しく批判しました。
さらにネット通販大手による市場の席巻と製造・販売・流通の仕組みの激変に言及。「公設の卸売市場が民間企業による『流通拠点』へと変質させられようとしている」と警告しました。
また、この間の「オール沖縄」のたたかい、原発ゼロと再生可能な自然エネルギーの推進、農と食の安全確保、核兵器禁止条約の採択など、長年の運動の成果に触れながら各分野のたたかいを「安倍政権打倒へ合流させよう」と呼び掛けました。
経営に強い民商発展に力を込め
岡崎事務局長の常任理事会報告を聞く代議員ら
要求運動では、小企業・家族経営の果たしている役割について「商売を続けていること自体が社会貢献」と強調。その上で、中小業者を冷遇してきた自民党政治の転換とともに、商工フェア、商売を語る会や次世代対策など「仕事と顧客確保」への努力をはじめ、「小企業・家族経営の支援強化」に取り組もうと訴えました。
また、「商売の強み、弱み、好機、脅威」を一緒に分析し、知恵を出し合う事業計画書策定運動の広がりに触れ、「経営に強い民商」へ発展させようと、力を込めました。
自治体要請では、この4年間で全自治体の42.7%にあたる764自治体を訪問し、提案型の懇談を展開してきたことを紹介。その中で、小規模企業振興条例上の「支援団体」として県連・民商を認める自治体が生まれたこと、振興条例に基づく施策検討会議への参加を県から要請された民商が生まれたことも紹介。「民商への新しい信頼と期待が高まっている」と強調しました。
同時に地域経済の疲弊を招くカジノを含む統合型リゾート(IR)について、ギャンブル依存症の拡大、既存の商店街を破壊するものとして反対を表明。大企業優遇を許さない共同の強化とともに、「自然エネルギー条例の制定」など地域循環型の多彩な条例や政策づくりへの取り組み強化を訴えました。
社会保険の加入強要、風営法を悪用した料飲業者への過度な取り締まり、損保業界の全国的な交流など「業種別・問題別対策」に力を入れ、交流を図ってきたことを強調。フリーランスの増加、中小業者の廃業、業界団体の地方組織の維持そのものが困難になるなど、変化に対応した政策提案、要求運動を呼び掛けました。
大規模災害による被災中小業者の営業再建では、福島原発事故の損害賠償の誤った課税指導をただしてきたと強調。国の生活再建支援金を300万円から500万円に増額すること、住宅支援の継続を求めるとともに、一審で国と東電に責任を認めさせ、勝利判決を勝ち取った生業訴訟への支援を訴えました。
大企業の横暴是正では、全商連として燃費不正が発覚した三菱自動車水島製作所を訪れ「下請け業者を守れ」と迫り、社会保険の無法な加入強要問題では、新日鉄住金本社に是正を求め、法律に則った対応を約束させるなど、大きな成果を勝ち取ってきたことを紹介。「大企業の優越的地位を利用したさまざまな横暴を是正できるのは民商・全商連の特質」と力を込め、公正な取引ルール確立のため力を合わせようと訴えました。
権利宣言を力に増税中止迫ろう
「納税者の権利宣言」(第5次案)を力に「税の在り方と使い道」を正す運動を呼び掛けました。消費税増税をめぐっては、複数税率の導入は際限のない税率引き上げの布石と指摘。
インボイス制度の導入で500万もの免税業者が取引から排除され、消費税率10%の引き上げで1世帯6万2000円もの増税が押し付けられることに触れ、「税制で商売をつぶすな」「増税中止、5%に戻せ」の宣伝・対話・署名の強化を提起しました。
マイナンバー対応では、住民税の特別徴収税額決定通知書への番号記載を撤回させた成果を紹介し、「憲法違反のマイナンバーは中止せよ」の共同を進めようと呼び掛けました。
応能負担の税制と納税者の権利に関連し、倉敷民商弾圧事件・禰屋裁判で、国税査察官報告書を鑑定書扱いした一審判決を高裁が破棄・差し戻した成果を強調。調査と徴収のあらゆる局面で個人の尊厳と適正手続きを守らせるたたかいの強化と「納税者権利憲章」制定を呼び掛けました。
国保の都道府県単位化についても自治体に「当面は値上げしない」などと約束させてきたことを指摘。小規模企業振興基本法の付帯決議に基づき、社会保険料率と延滞金の引き下げ、減免制度の確立を迫ろうと訴えました。
統一地方選挙は要求実現の好機
安倍首相が改憲への政治日程を公言する中で、民商の班・支部で「改憲反対決議」を上げたり、「憲法カフェ」の講師を民商役員が務めるとともに、3000万人署名に取り組んできたことを強調。来年の統一地方選挙と参議院選挙は改憲・大増税阻止を前面に、循環型経済振興などの要求を実現するチャンスと強調。「市民と立憲野党の共闘」を発展させ、政治の流れを変えようと力を込めました。
在日米軍基地強化反対では、辺野古新基地建設を阻止し、オスプレイの配備と訓練強化を撤回させる世論と運動の強化、日米地位協定の抜本改定を提起。11月に予定される沖縄県知事選挙への全国支援を呼び掛けました。
「増やしてこそ」 自覚を引き出し
組織建設ではこの2年間の総括的な視点として(1)「民商ならではの相談活動」を展開し、要求運動と組織拡大を一体的に進めてきた(2)「増やしてこそ民商」の自覚を引き出し、読者前面の拡大に力を発揮してきた(3)運動の継承・発展と併せ、小法人対策を抜本的に強めてきた(4)班・支部を再建強化し、民商を語る力を高めてきた-ことを列挙。
要求の掘り起しと毎月の持続的拡大では、「目に見え、音に聞こえ、口コミで話題になる」多彩な宣伝を強め、業種別・問題別対策を強めるとともに、すべての民商が変化への対応を強め、毎月の会員拡大に挑戦することを呼びかけ。民商の仲間の姿と思いが伝わるニュースの発行・全商連への通信を提起し、「民商・全商連の基本方向」を繰り返し学び、「知を力」として運動の担い手を増やすことを訴えました。
また、「会員が運動の主人公」となる土台は、足腰の強い班・支部活動にあると強調。創立70周年にあたる2021年8月を結節点に「読者30万人、会員20万人」の回復・突破を改めて呼び掛けました。
「助け合い共済」では、すべての民商が早期に80%を突破し、全会員加入への接近を提起。
業者婦人対策では、女性の地位向上、憲法擁護・立憲主義回復を求める運動の大切さを確認し、会員比6割以上の婦人部建設と10万人の全婦協の建設を呼び掛けました。
業者青年対策では、実態調査を通じて、多くの若者が事業や家業に向上心をもっていること、また民商に出会うことで「社会に向き合う目と、自ら考える力を高めている」と強調。北九州市で開催される第15回全国青年業者交流会(今年9月)に向けて援助を強化するよう呼び掛けました。
連合会組織の役割発揮と県連機能の強化では、県連の任務として(1)全商連方針・決定の具体化(2)県規模での運動の組織(3)支部役員の育成に向けた民商への援助(4)組織者としての事務局員の力量強化-について実践的な探究を呼び掛けました。
岡崎事務局長は結びとして「幾多の困難が横たわる中でも道理・団結・共同の理念を貫き、障害を一つひとつ乗り越えてきたのが民商・全商連の歴史」と強調し、「共同の時代を開くため、大いに奮闘しよう」と訴えました。
全国商工新聞(2018年6月11日付) |