60年の歴史に学び国税通則法改悪を阻止し、「税金の民商」の本領発揮を
全商連事務局長・岡崎民人
――新年を迎えました
あけましておめでとうございます。多くの会員・商工新聞読者の皆さんが大変な厳しさの中で新しい年を迎えられたことと思います。
今年は全商連創立60年周年の節目の年です。
民商・全商連の60年は、中小業者の要求実現を阻むものとのたたかいの中で培われ、団結の力で道なき道を切り開いてきた創造と探求の歴史でした。中小業者のあらゆる苦難に手を差し伸べ、国民全体の幸せと固く結びついて奮闘してきました。
この機会に積み重ねてきた歴史や政策提案、実績・成果を学び確信にしていくことが大切です。そして新たな時代を切り開く気構えで、多彩な要求運動を広げ、仲間を思い切って増やしたいと思います。
――経営と暮らしの状況は
内需の落ち込みで売上は伸びず、下請け単価たたきや不公正な取引の横行、資金繰りなどで中小業者の苦難は広がっています。
今こそ大企業の内部留保240兆円を吐き出させ、雇用拡大で国民の消費を増やし、内需を振興させる景気回復が切望されます。
にもかかわらず民主党・菅政権は、経済政策や税財政、平和と民主主義にかかわる重要な課題で自民党と悪政を競い合っています。「国民の生活が第一」という公約を投げ捨て、後期高齢者医療制度の改変、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加表明など大企業とアメリカ中心の政治を推進しています。
この流れを変えるためにも4月のいっせい地方選挙は大事です。中小業者の経営と暮らしが良くなる施策の実現めざして大いに奮闘したいですね。
――経営要求が切実ですが
いま「仕事の確保」の運動は重要です。商工交流会やフェア、料飲オリエンテーリングが各地で取り組まれ、売り上げを伸ばす経験が広がっています。住宅リフォーム助成制度は全国175自治体に広がり、住民からも行政からも地域業者からも喜ばれています。自治体に、身近な官公需や小規模工事の前倒し発注を働きかけます。
資金繰りでは、金融円滑化法と合わせ、国が100%保証し全業種対象の緊急保証制度の延長を求めます。制度融資や生活福祉資金の活用と改善を強めます。
集まって、話し合い、相談し、助け合う活動こそ民商運動の原点です。班・支部で商売を語る会を開き、まちづくり、地域経済振興、業種別対策を強めます。
――納税者の権利を守ることも切実です
政府は、大企業の法人税率の5%引き下げと証券優遇税制の延長を決め、その財源として庶民増税の方向を明確に打ち出しました。そして、今年半ばまでに消費税増税案を取りまとめることで自民党や公明党に協議を呼びかけています。
さらに、「納税者権利憲章」制定を契機に、国税通則法を改悪し課税庁の権限を強化しようとしていることは重大です。白色申告者の記帳の義務化、調査期間を5年に延長、罰則を強化し、修正申告の強要、事前通知しないことを法定するなど申告納税制度を根本から破壊するものです。
全商連が発表した「納税者の権利憲章」(第2次案)を学習し、急いで署名と要請はがき運動に取り組み、反対の世論を巻き起こし「税金の民商」の本領を発揮したいと思います。
――自主計算も大切ですね
商売の実態に合った自主記帳・自主計算は、融資獲得や公的負担の減免、積算単価交渉の根拠づくりの力になり、消費税につぶされない対策など営業と暮らしを守る基礎になります。
班・支部で集まって、商工新聞やDVD、「自主計算パンフ」で大いに学習します。今月28日の中小業者決起大会に切実な要求と署名を持ち寄りましょう。
――平和も重要な年ですね
政府は、北朝鮮や中国の「脅威」を口実に、軍備を増強し自衛隊を自由に配備・運用することをめざしています。いま求められるのは、緊張を高める軍備増強をやめ、憲法9条に基づく外交力を生かすことです。「基地に頼らない地域振興を」の世論と運動を広げ、普天間基地即時撤去、辺野古の新基地建設反対のたたかいを強めます。
――仲間づくりも期待されています
仲間の力を大きくしてこそ、切実な要求実現の力は高まります。
数々の成果や実績、仲間の温かさのある民商をぜひ地域の中小業者に知らせていただきたいと思います。「民商は良いよ」の紹介運動にご協力ください。
スケールの大きな対話と旺盛な相談活動を広げ、民商の「値打ち」をみんなの確信にしましょう。創立60周年の年に、力を合わせて民商の運動と組織をさらに元気にし、展望を切り開きましょう。
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