中小業者支援求め省庁交渉
全国商工団体連合会(全商連)は11月18日、全国労働組合総連合(全労連)とともに中小企業庁、金融庁、公正取引委員会、厚生労働省(17日)と交渉。金融円滑化法の延長や不公正な取引の禁止、国民健康保険料(税)・社会保険料徴収の改善などを求めました。金融庁はその後、金融円滑化法を1年延長する(12年3月末まで)方針を決めました。
金融円滑化法の延長などを求め金融庁、中小企業庁と交渉
中企庁・金融庁交渉 金融円滑化法延長へ
中小企業庁・金融庁交渉では、来年3月で期限切れとなる金融円滑化法や中小企業向け融資を100%保証する「緊急保証制度」の延長など4項目を要望。金融庁は、自見庄三郎金融特命担当相が国会で「(金融円滑化法の)延長も視野に入れて検討している」と答弁していることを紹介し「要望を踏まえ検討したい」と回答しました。
参加者は「中小業者の売り上げは7割減。円滑化法は県の貸付制度ともリンクしており廃止された場合、中小業者は命取りになる」と指摘し「ぜひ円滑化法の延長を」と要望しました。緊急保証制度についても「制度が廃止されれば自治体の政策も変わる」「菅首相も担当相に『来年度予算に向けさらに検討をお願いしたい』と表明している。ぜひ存続を」と求めました。
また、住宅支援機構が住宅ローン金利の引き下げに応じない実態を指摘。金融円滑化法の施行にあたり亀井金融担当相(当時)が発表した談話(住宅ローンの貸付などを行っている政府関係金融機関などが、法の趣旨を踏まえて対応する)に沿った対応を行うよう指導を求め、金融庁は所管の国土交通省に伝え状況を掌握することを約束しました。
交渉には日本共産党の佐々木憲昭、吉井英勝両衆院議員が同席しました。
下請けいじめなどを禁止する法律の改正と厳正な運用を要望した公正取引委員会との交渉
公取委交渉 下請けいじめ 調査約束
公正取引委員会(公取委)との交渉では、下請けいじめなど不公正取引を禁止する法律の改正と厳正な運用を要望。「製造原価を下回るような不当廉売を繰り返していれば、課徴金の対象」「大企業から一方的な低い単価で受けざるを得ないような事態は『優越的地位の乱用』にあたる」と回答しました。
また、岡山・津島民主商工会(民商)会員が親企業に対して、下請法に反する違法な下請け代金の減額などの被害について損害賠償を求めている問題を取り上げ、調査の是正を要望しました。「10年間で不当に減額された代金5000万円に対して、中国経済産業局は、当初の1年間しか調査せずに親会社の違反を認めたのは40万円だけ。いまだにそれすら支払われず、行政の指導が止まったまま」と実態を訴え。「下請けいじめを禁止する法律を厳格運用しているとは思えない。下請代金法に基づいて何を調べ、どのようにしたのかを公取委として調査し、報告してほしい」と要求。「求めがあれば公取委としてあらためて調査する」と述べました。
厚労省交渉 社会保険料滞納 細やかな対応約束
全商連は17日、厚生労働省と交渉。(1)国民健康保険(国保)、社会保険の滞納徴収について、納税者の実情に配慮すること(2)生活福祉資金貸付制度ついて、正確で迅速な運用を徹底し、誰でも借りられるよう指導すること(3)全国建設工事業国保(工事業国保)加入事業所を協会けんぽに強制加入させる際、実態を確認できるものは「除外適用」を認めること(別項・解説)-の3項目について改善を要請しました。
「滞納者が倒産すると訴えれば、その前に差し押さえなければと売掛金80万円を全額差し押さえた」(石川・金沢白山)、「生活福祉資金の審査もせずに資金を貸さないと門前払い」(広島・三次)など訴え。
工事業国保問題では「2年さかのぼって保険料を納めろ」という行政指導の問題を追及。「滞納を理由に、無保険状態になる人や国保や社保に加入を拒否される事例も出ている」(北海道・札幌東部)、「社会保険に移行となれば延滞金含め1000万円を払わなければならない。これでは倒産してしまう」(神奈川・川崎中原)など、切実な訴えが出されました。
厚労省は「滞納者と接触し、減免・分納などきめ細やかな対応を行う」(国保課)、「納付困難となっているところと面談し、経営状況・今後の見通しを聞きながら分割納付を勧める」(年金局)などと回答しました。
〈解説〉
厚労省は9月9日、工事業国保が本来加入資格のない人を多数加入させていたとして、行政処分(是正改善命令)を行いました。これにより、無資格と認定された加入者(6月30日時点で7283事業所、2万7898人)は6年前にさかのぼって組合員の資格を喪失。新たに国保や社会保険に加入することになりますが、過去2年分の保険料(保険税は3年)を負担する必要があり、多額の保険料に苦しむ業者が全国各地で出てきています。
全国建設工事業国保組合は、全国鳶工業連合会(日鳶連)、全国中小建築工事業団体連合会(全建連)、日本造園組合連合会(造園連)などを母体とした組合で、被保険者数は約21万人。
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