全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 政策・提言など
 
中小企業・中小業者の経営振興へ 公正な取引ルールの確立を
2000年1月17日
全国商工団体連合会
  はじめに

 いま、下請単価の果てしない買い叩きや突然の取引停止、大型店による原価割れ納入の強要や協賛金割り当てなど、大企業の中小企業いじめがひろがっています。資本力や販売力にものをいわせた大企業のルール無視と横暴がまかり通っている状態で、国の内外から「ルールなき資本主義国」とまでいわれています。まさに近代国家として恥ずべき実態です。
 財界・大企業は「企業行動憲章」や「倫理綱領」などを自ら決めて、事業者間の公正取引の確立をうたっていますが、実効性はなく、むしろ大企業の不公正な取引は増えています。
 政府は「自由競争を拡大する」ことを何よりも優先させ、大企業の違法行為は野放しにしたまま、その横暴を規制する法律は廃止・緩和する政策を強めています。大企業の一方的都合による突然の取引停止に、動かなくなった機械の前で中小企業者が途方にくれる、こんな横暴が許されてよいのでしょうか。
 このような大企業の行為と政府の政策が続けられるならば、中小企業・中小業者の健全な発展ははばまれ、日本経済の歪みがいっそう広がることになります。
 私たちは、いまの不況を打開するためにも、また、21世紀に中小企業がその持てる力を存分に発揮し、真に豊かな国民生活を実現していく方向へと日本経済を再生するためにも、不公正をなくして公正な取引ルールと秩序を確立することが重要だと考えます。
 今回の提言は、中小企業と大企業・大銀行との取引にある「法治国家では考えられない」実態を明らかにしたうえで、その改善方向について提案しています。
 私たちは、多くの中小企業団体をはじめ、各界のみなさんとともに中小企業・中小業者の振興のための公正な取引ルールの確立をすすめていきたいと願っています。
 この提言がその討論の素材となれば幸いです。

これ以上放置できない中小企業いじめの実態

1、独占禁止法違反の銀行の貸し渋り

 「銀行の姿勢をみると、貸し渋りとは控え目な表現で、むしろ融資拒否、早期回収、中小企業つぶしと言った方が実態に近い」。現職銀行員からこんな内部告発がされるほど、金融取引における不公正は目に余ります。
 新規の融資を約束して、これまで借りていた分の残額を一括返済させておきながら突然、融資を拒絶したり、依然として続く歩積・両建ての強要など、銀行のこれらの横暴が、独占禁止法で「不公正な取引方法」として禁止されている「取引拒絶」や「優越的地位の濫用」「拘束条件付取引」に該当する違法行為であることは明らかです。

2、再生産費用への考慮もなく、叩かれ続ける単価と工賃

 戦後、機械、建設や印刷などさまざまな業界では、事業経営が成り立たないような「際限なき単価の叩き合い」を未然に防止するために、技術・技能の正当な評価、事業経営者としての利潤、雇用労働者への賃金等、その他当然含まれるべき経費を踏まえた積算単価を確立する努力が続けられてきました。
 しかし今、「国際競争力強化のためのコストダウン」を名目に、無責任な「価格破壊」が財界・大企業と政府によって奨励される中で、この単価の算定基準の破壊が続いています。「市場単価」は買い叩きに歯止めがかからず、中小企業経営の再生産費用もまったく考慮しない、無権利で無法な状態がひろがっています。

3、設備投資費用さえ無視した突然の取引停止通告

 いま、大企業の多くは、「国際競争力強化」を名目に、下請中小企業や地域経済への責任をまったく放棄し、取引先の縮小・選別をつよめています。
 その結果、取引の継続性と計画性を前提に設備投資し、働いてきた下請中小企業は突然、発注を打切られ、倒産・廃業に追い込まれています。
 日産自動車は昨年10月、我が国の産業界でも例がない程の「大リストラ計画」を発表しましたが、それより早く昨年の3月、「三次以下の下請は使わない」という主旨の内部文書を一次、二次の取引先に回しました。ある三次下請の金型製造業者は、「日産関係の仕事が全部打ち切りとなり、当時持っていた図面50枚も引き上げられ、取引額月商700万円がゼロ」になっています。
 日産自動車に限らず、「設備を導入したら仕事を10倍まわす」といいながら、3年後には「内製化に切り換えだ」などの例は後を断ちません。下請中小企業振興法にもとづいて政府が定めた「下請振興基準」には、「継続取引による協力」関係の重視が明記されていますが、いとも簡単に踏みにじられているのが実態です。

4、中小企業いじめの「価格破壊」・法律違反の「安売り」も野放し

 家電量販店での「3980円パソコン」、大手写真店の「0円プリント」など、大企業によるダンピング・不当廉売はとどまるところを知りません。
 大型店などの中小商店の仕入価格を下回る安売りの氾濫は、独占禁止法違反の「不公正な取引方法」です。かつて「1円テレビ」が氾濫した時に、公正取引委員会は「1円テレビが不当廉売かどうか調べてみなければわからない」という態度をとって失笑を買いましたが、不当廉売への規制は極めてあいまいです。
 世界の主要資本主義国では、ダンピングはもっとも恥ずべき商法という考え方が定着しています。違法な「安売り」は、「コストを引き下げて消費者によい品を安く提供する」というまともな商行為、経営努力とはまったく無縁です。

5、無法地帯のフランチャイズビジネス

 いまや5万店舗を超えるコンビニに象徴されるフランチャイズビジネスでは、本部が開発したノウハウの利用にともなう契約関係がもっとも重要です。
 しかし実態は、対等の立場での双方の権利・義務関係が明確にされた、本来の契約関係とはとても言えません。「加盟店に契約書を渡さない」とか、本部への日報をはじめ、入金手続き、在庫高の下限、機密保持、営業日・営業時間の設定、本部指導に従う等々について、加盟店主・オーナーの厳守すべき義務と、違反した場合の様々な罰則・罰金規定がこと細かに盛り込まれているにも関わらず、本部側の義務は全く明記されていないか、あるいは抽象的な努力規定になっています。さらに本部が一方的に契約内容を改悪するなど、著しく不平等・不公正な取引契約になっています。
 こうしたフランチャイズビジネスが、その前近代的な体質のまま、盛んに「新規開業の有効な手段」として宣伝され、加盟店主・オーナーの生活が成り立たない悲劇を生んでいるのです。

6、納入業者への負担強要

 スーパーや百貨店など大型店の納入業者に対する横暴が際立ってきています。
 繊維製品など本来、返品しない「買取制」の商品まで、不況で売れなかったことを理由にした大型店からの返品が後を断ちません。また豆腐製造や養鶏卵製造など生鮮食料品の納入では、大型店が頻繁に特売日の「目玉商品」として採算無視の納入を押しつけ、納入中小企業の経営が立ち行かなくなる例も増えています。
 この間、大手小売資本は、着々と独自の物流センター建設をすすめてきましたが、その維持経費が実は、出入りする運送業者や納入業者に一方的に負担をおしつけられていることも重大です。

7、新製品技術や特許のかすめ取り

 中小企業が限られた資金と時間の中で新製品開発や特許申請をおこなうことは並大抵の努力ではありません。政府は、新製品開発、新事業創出をさかんに奨励する一方で、大企業の中小企業の創意や苦労をかすめ取る違法行為を野放しにしていることは許せません。
 例えば、大阪では「共同開発と販路」を約束する中で、下請企業が開発した新製品の工程をビデオに撮影。いざ販売の段階に入った時に、約束を反古にして特許も横取りしました。こうした違法行為を告発しても、下請企業の「不注意」とされ、取り締まる体制もないのが現実です。

大企業との対等な取引関係にむかうために

 公正な取引ルール確立の必要性については政府や財界でさえ強調しています。しかし彼等のいう公正取引の中心内容には「効率性」が位置づけられ、中小企業を非効率な存在とする見方、あるいは中小企業を市場取引から排除する動きを強めています。
 いま、個性あるモノづくり、消費者本位の流通・サービスなどが重要な時代であり、これまで中小企業が果たしてきた役割を正当に評価し、生かしていくことが望まれる時代です。こうした、中小企業者の役割が大いに発揮される取引ルールこそ、21世紀に求められることは明白です。
 新製品・新技術開発、多品種少量のモノづくり、お年寄りや若者もいきいきと働き、住めるまちづくりなど個性豊かな地域社会の存続と発展、さまざまな資源の活用と環境保全など、こうした役割を担う「21世紀の中小業者像」を私たちは提言してきました(「中小業者宣言」=1996年3月)が、公正取引ルールの確立は、新しい国づくり、豊な国民生活にとって欠かせない問題です。

一、国民の立場からの独占禁止政策の発展を

1、ただちに現行法にもとづく違法行為の取り締まり強化を

 すべての業種に適用される独占禁止法の「不公正な取引方法」をはじめ、「下請代金支払遅延等防止法」や「建設業法」などの法律が、当たり前に運用されれば、どれだけ多くの中小企業者が救済されるかはかりしれません。
 しかし、公正取引委員会が、ここ一年間に大企業の不公正取引を摘発・排除したのは、「優越的地位の濫用」に対する勧告が一件、「下請代金支払遅延等防止法」違反の勧告が一件という、まったく心もとないありさまです。こうした現実では、大企業による違法行為の再発防止にさえならないことは明らかです。
 法律に違反した大企業、親会社がその都度、きちんと社会的制裁を受けるのは、現代社会において当然のルールです。専任の下請検査官の思いきった増員や、都道府県等に立入調査・告発の権限を与えること、そして広範な中小企業・中小業者の勇気ある告発が報われるような違法行為の柔軟な認定を通じて、大企業の横暴を規制する独占禁止政策の積極的な執行をつよく要求します。

2、公正取引委員会は経済民主主義の原点に立ち返るべき

 独占禁止政策の執行機関である公正取引委員会が、政府や財界・大企業のすすめる「規制緩和万能」政策を無批判に取り入れ、「競争」政策に偏重する態度を強めていることは許せません。
 競争は本来、経済取引の手段であって、目的ではありません。公正取引委員会が「市場参入機会の確保」という名目で、大企業の「分社化」や市場支配を認め、結果として、中小企業の倒産、廃業が激増している現実をどう考えるのでしょうか。
 「公正かつ自由な競争」を促進することで、「事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んに」すること、そして「雇用と国民実所得の水準を高め」ることこそ、独占禁止法が求める、経済民主主義の原点に立ち返った政策の方向です。

3、中小企業者の団体交渉権の創設を

 製品の販路や価格決定権を、大企業が独占的に握る取引が放置され、中小企業者が個々バラバラの無権利状態に置かれている状況では、中小企業者がその社会的・経済的役割を発揮できません。
 それだけに市場取引において、中小企業者が大企業と対等に団体交渉し、大企業の取引や発注への姿勢、態度を厳正に評価、広く世論に告発できるような新たなルールが確立されるべきです。
 国連・国際労働機関(ILO)が1990年に採択した「自営業促進に関する決議」では、労働者の権利に準じて自営商工業者の団結権と、協同組合など中小企業団体の交渉力強化を奨励すべきであることが明記されており、こうした世界的な流れに沿った政策の発展を提案します。

4、業界みずから決めた「企業行動規範」の実行を

 経済団体連合会をはじめ、さまざまな団体・業界で、「企業行動憲章」や「企業行動規範」「企業行動倫理」などが自主的に作成されています。
 それらの中には、「銀行のもつ社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、健全な業務運営を通じて揺るぎない信頼の確立を図る」(全銀協・倫理憲章)とか「専門工事企業や資材供給企業に対して不適正な条件による契約を強いることを厳に慎む」(建設企業行動憲章)、「健全な商習慣に従い、取引先と相互に利益のある関係を樹立し、これを維持する」(イトーヨーカ堂グループ)等々、公正な取引を広げていくうえで重要な事項も見受けられます。
 法制度のいかんに関わらず、これら財界・大企業の自主基準が日常の事業活動と実際の取引で遵守されるならば、中小企業の経営安定に大きな貢献となることは間違いありません。私たちの考える公正な取引ルールは、大企業を除外・排除するものではなく、大企業がその社会的責任を果たしてこそ確立されるものだと考えます。
 財界・大企業が、広く国民との対話を通じて社会的良識を育て、これらの自主規範を厳格に守ることを強く要求します。

二、中小企業団体の新しい役割

 いま政府は、中小企業の取引を適正化する政策の柱となってきた構造改善事業や、合理化カルテル調整政策から完全に撤退し、その中心的な担い手だった商工組合の役割についても、「今後は環境・リサイクル問題やエネルギー対策」に限定しょうとしています。
 広範な中小企業・中小業者が大企業の横暴と違法行為によって塗炭の苦しみを味わっている中で、これに対抗して、中小企業者の組織・団体が智恵を集め、創意を発揮して、その困難を取り除くために全力をあげることは大切な役割であり、当然の責務ではないでしょうか。
 また、中小企業・中小業者が、自ら要求して必要な組織を結成することは、憲法に保障された「結社の自由」です。  私たちは、戦後多くの中小企業団体が蓄積してきた単価の積算技術や仕入・販売・研究開発・金融などの経済事業、そして「分野調整法」「官公需法」を活用した大企業との市場調整の手法などが、公正な取引ルール確立の立場から発展させられるべき時期にきていると考えます。
 また、フランチャイズ業界等の業態においても、加盟店主・オーナー自らが自主的に「オーナー会」や「協議会」を結成し、大企業であるフランチャイズ本部に対等の立場での双方合意の契約を迫っていくことが、正常な商取引と契約関係を作り上げていく上で不可欠になってきていると考えます。
 いま、商工会・商工会議所や中小企業団体中央会、商店街振興組合をはじめ、民主商工会などの任意団体も含めて、すべての中小企業団体が、その存在意義をますます高めている新しい時代を迎えています。
 様々な中小企業団体が互いに切磋琢磨し、自由な発想で取引契約の改善への意見表明や行動を具体的に起こしていくことが求められています。

三、国・自治体の支援と中小企業者の自主的努力の方向

 こうした公正な取引関係を確立・普及するために、国・自治体の役割は重要です。
 政府のこれまでの姿勢が示すように、取引の「公正性」を「効率性」にすり替え、大企業のルール無視の違法行為、横暴を見逃すことは断じて許されません。
 ただちに国・自治体の責任として取り組むべきことは、現実に広がる不公正取引の実態をつかみ、国・自治体が連携して違法行為の摘発・防止を機敏に行うこと、そのために、自治体にも大企業の不公正取引をやめさせる権限を付与するなどの法整備を行い、体制を強化することです。
 また、「中小企業の発展こそ、消費者・国民の利益に貢献する自由な競争を生む力となる」という立場に立ち、中小企業が地域の基幹産業として発展するよう、中小企業者・団体のさまざまな自主的努力を支援する方向で、中小企業政策を拡充することです。
 公正な取引ルールを確立するためには、中小企業者自らが大企業の横暴を是正する運動に参加し、権利の主張を積極的に行なうとともに、経営環境の変化への対応を視野に入れた自主的努力を行なうことが欠かせません。例えば、契約書も作成せず、一方的に単価をたたくという親事業者の横暴に対しては、根拠を示して必要な単価の理解を求めるとか、「下請関連法」などを示して元請けと下請けの関係改善の提案をするなど、積極的な働きかけが必要です。
 また、商品の開発とその流通システム、販売政策、契約の仕組み等々、あらゆる面で従来型のくり返しや規模の追求では生き残れない経営環境になっています。この経営環境の変化をつかみ、そしてこの変化に対する対応を機敏に打ち出すことが事業経営者に求められている時代です。
 いま取引は、単に取引先相互の利益にととまらず、広く消費者・住民・労働者から支持されることも新たな時代の要請になっています。
 広範な中小企業・中小業者が、経営危機打開へ広く国民と共同し、公正な取引ルールの確立のために力を尽くす流れをつくりだすことこそ、社会進歩にもつながる道であると考えます。

おわりに

 日本における独占禁止政策は、戦後の財閥解体にはじまり紆余曲折の道をたどりながらも、経済民主主義を求める国民の世論と運動によって発展させられてきました。たとえば、「独占禁止法」では、「私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止」することなどを通じて、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ことを目的にかかげています。しかし、これまで述べてきたように、法規制より企業の利益を優先させる大企業のやりかたによって、中小業者の経営努力や権利が一方的に踏みにじられているのが現実です。
 政府も、法律や制度はつくっても、体制や予算は貧弱で、中小企業者が訴えても実効ある対応はなかなかできないばかりか、逆に中小企業者が大企業に対抗して団結をすることが取り締まりの対象となるいびつな法運用をしています
。  しかし、資本主義国家としての成り立ちは、公正な競争条件が確保されていることが前提であり、中小企業者の利益が不当に侵害されたり、被害が十分に救済されないということは、健全な経済の発達にとって重大な障害になることは明らかです。
 私たちの今回の問題提起は、不公正取引の被害をもっともつよく受けている中小企業者の叫びの一端をまとめたものです。広く各界のみなさんのご批判をあおぎ、よりよいル−ルの確立へ向け、ともに努力を続けたいと考えます。
--------------------------------------------------------------------------------
新しい法整備についての全商連の提案

 私たちは、これまで明らかにしてきた政策提言と、「事業者は不公正な取引方法を用いてはならない」と明記した独占禁止法第十九条の主旨を生かして、新たに、大企業による中小企業者に対する不公正取引を禁止する法律 「公正取引確保法」(仮称)の制定と、「下請代金支払遅延等防止法」の改正が必要だと考えます。その骨子を、以下のように提案します。

〈「公正取引確保法」(仮称)の制定〉

目 的 
 公正な取引ルールを確立し、中小企業者の利益を守り、その経営基盤をつよめることをつうじて国民経済の健全な発展に寄与する。

法案の概要
(1)製造業、サービス業、卸・小売業、金融業など全ての業種に適用。
 これによって、すべての中小企業者が公正な取引ルール確立の担い手の役割を発揮できる条件がひろがります。
(2)独占禁止法上の「不公正な取引方法」を基本に、禁止される行為を明確にする。
(3)大企業側に、法令に違反しない行為である旨の「挙証責任」があることを定める。
 現状では、大企業の行為を違法であると告発した場合に、中小企業者の側がその証拠をととのえることが要求されることがほとんどです。もし、大企業の側が、「違法でない」と主張するのであれば、情報力等でも優位な大企業の側が、「違法でない」ことを証明する「挙証責任」を負うようにすることで、中小企業者が活用できる法律になります。 (4)中小企業者・団体の告発、調査申請権、交渉権及び行政の回答義務規定を定める。
 中小企業団体の交渉権を法的に確立します。個人・団体を問わず、調査の申請をできるようにします。公正取引委員会や行政機関は、申請に対して回答する義務があることを明確にします。
(5)大企業による報復措置禁止規定を設ける。
 大企業の行為に関して告発等をしたことに対する報復措置は、その口実、期間のいかんを問わず、厳しく禁止します。
(6)大企業の社会的責任条項を定める。
(7)違法契約の無効、排除規定、及び罰則規定を定める。

〈「下請代金支払遅延等防止法」の改正の要点〉

(1)中小企業団体の交渉権の保障。
(2)適用業種に運送、サービスを追加する。
 現行の下請関連法は、「製造」と「修理」業者を対象にしていますが、現実には、運送業や幅広いサ−ビス業者が、親事業者からの委託を受けて事業をし、下請代金に関わるさまざまな問題も起きているところから、これらの業種を追加するのが適当です。
(3)製造加工・運送・サービス委託取引について、資本金1億円を超える事業者を親事業者とする。
 中小企業基本法の改正にともない、中小企業の資本金が3億円に上がりましたが、資本金1億円を超える企業であれば、親事業者としての当事者責任があるという立場からの定義です。
(4)発注元大企業の責務規定を設ける。
(5)都道府県・政令市に立入調査権等を付与、取締り体制を強化する。
 
全商連トップ ページの先頭