全国商工団体連合会は3月24、25の両日、東京・目白の全商連会館で第4回常任理事会を開き、次の決議を採択しました。
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要求実現の運動と組織建設を攻勢的に推進し、改憲・大増税阻止の展望を切り開く政治の実現を |
一、地方税・国保料(税)の負担軽減と消費税闘争の前進を
改悪消費税による2度目の確定申告を踏まえ、重税を払いきれない納税者の苦難に心を寄せたたたかいを推進するとともに、地方税・国保料(税)の負担軽減を要求する行動を広く展開します。
「税源移譲」による6月の住民税「10%化」に向け、政府や自治体は「所得税と住民税を合わせて負担は変わらない」と宣伝しています。しかし、住民税は所得税よりも基礎控除や扶養控除など人的控除が低いため課税最低限が低く、定率減税の全廃により低所得者ほど大増税、高所得者は負担減となります。一律10%のフラット化は自治体税財政における受益者負担化をより明確にするものです。これは、「能力に応じた公平な負担」という税制の民主的原則に反しています。
また国保料(税)が「高すぎて払いきれない」世帯も過去最悪の480万世帯に上ります。にもかかわらず、今後2年間にわたる高齢者への国保料(税)の値上げが相次ぐなど、広範な中小業者・国民の間に苦悩と怒りが渦巻いています。
生活費に食い込む地方税・国保料(税)の負担軽減へ、世論と運動の飛躍をつくるため、「集中行動週間」(6月18日から24日)を設定し次の点を具体化します。
「庶民大増税反対・国保充実」署名を大きく広げます。地方税と国保の自治体「減免条例」を調べ、積極的に活用しながら相談会を開催し、集団減免申請を組織します。
自治体職員や地方議員と一緒に、「地方税シンポジウム」や「緊急集会」を積極的に開催します。
大規模な宣伝・対話、自動車パレードなどにとりくみます。その際、銀行の「法人税ゼロ」や輸出大企業に対する「莫大な消費税還付」、大富裕層向けの証券優遇税制の拡大・延長や、減価償却「改革」による大企業減税の不公平も広く知らせます。
国保や社会保障の制度充実を願う世論を「逆手」にとった消費税大増税への世論誘導を許すことはできません。税務署や自治体の完納強要や、生存権を脅かす滞納整理と機敏にたたかうとともに、記帳を要求運動として発展させ、班・支部を基礎に「納税緩和措置」の権利を学び、滞納整理でつぶされない対策をすすめます。
消費税廃止各界連絡会の強化に力をつくし、「消費税実施19年目・怒りの宣伝行動」(3月30日〜4月2日)を成功させます。地域各界連を再開・活性化させ、全自治体で宣伝行動を広げます。
「消費税増税反対」を選挙の争点に押し上げ、増税勢力を圧倒的な世論で包囲します。
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二、危機打開の多彩な運動と助け合い共済を守る共同行動を
安倍内閣は、経済的苦難におかれている中小業者・国民の実態を無視し、「格差と貧困」を拡大する07年度政府予算案を衆議院で強行しました。大企業優遇、大型開発、無駄遣いを温存する一方で、生活保護費を削減し、福祉・社会保障の連続改悪や雇用対策予算の半減、最低水準の中小企業対策費の据え置きなどを当然視する政治姿勢は言語道断です。
安倍内閣の「構造改革」路線は、大企業の不祥事にはほおかむりしながら、実態無視の駐車違反取り締まりや自主共済への保険業規制など、規制緩和を旗印に中小業者・国民に「官僚的な規制」を強要するものです。公共事業への民間資本導入や「市場化テスト」など、大企業にだけ「もうけ」を保障する国策と相まって、自治体でも大企業を呼び込むための社会資本整備や補助金の「ばらまき」が広がっています。
いま、こうした国や多くの自治体による住民いじめ、大企業呼び込みの「逆立ち」政治を正すため、雇用と地域経済を守る共同行動を広げることが大切です。「住民の福祉の増進を図る」という地方自治本来の役割を果たさせ、地域に根ざす中小業者の役割が発揮できる「まちづくり」や「仕事おこし」の運動に挑戦します。
「商売を語る会」や商工交流会運動にとりくみ、官公需・公共事業の獲得への意欲も高め合うようにします。駐車違反取り締まりのガイドライン「見直し」や飲酒運転に対する「連座制」、大型店の「駆け込み」出店などに対し、「行政ではつかめない業者の実態」を調査・告発するとともに、業界団体との懇談や共同行動を推進します。
「部分保証」の拡大や銀行の横暴を許さず、制度融資と自治体の独自施策の拡充を求め、自治体や信用保証協会、金融機関と交渉します。
助け合い共済を守るため、引き続き、保険業法の見直しを求める国会議員要請を強めます。「自主共済の今日と未来を考える懇話会」をすべての県で立ち上げるとともに、団体自治に基づく助け合い共済に不当な干渉をしないよう改めて金融庁に働きかけます。
自治体検診の縮小・後退を許さず、いのちと健康を守る集団健診の存続と助成拡充を要求します。
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三、改憲手続き法阻止へ力を集中した運動を
憲法9条改悪と地続きの「改憲手続き法」を断固阻止するため、力を集中した運動を推進します。
自民・公明の与党案には、憲法改悪を通しやすくする極めて不公正で非民主的な仕組みが数多く盛り込まれています。最低投票率の規定がなく、3、4割の投票率でも投票が成立し無効票を除いて有権者の1割台でも改憲案が承認される仕組みです。また国会発議から最短60日での投票となり、国民に十分な議論を保障するものではありません。約530万人に上る公務員・教育者の自由な意見表明を規制することも明記されています。そして有料テレビCMが2週間前まで野放しで、改憲派が金の力で独占する危険性があります。
改憲を狙う背景には、アメリカの世界戦略と、それに追随し海外権益を守ろうとする日本の財界・大企業の要求があります。日米軍事同盟を世界的規模で運用し、自衛隊の海外派兵を通じて日本を「戦争する国」へと導こうとしています。
安倍内閣は、あくまで「改憲手続き法」の今国会成立をたくらみ、国会法を「改正」し、改憲を発議する「憲法審査会」の設置を狙っており、事態は緊迫しています。
国会の憲法特別委員や地元国会議員、政党に対して、電話やファクス、メール、はがきなどを活用し緊急に要請行動を強めます。地域での宣伝や、「憲法改悪反対」署名、「改憲手続き法を廃案に」の署名運動を推進します。
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四、仲間づくりをすすめ、「元気な、あったか民商」の建設を
1、日常的な持続拡大で、毎月増勢を
記帳や自主申告、滞納や分納の相談、金融や多重債務、大型店問題から経営要求まで、中小業者の経営と暮らしにかかわるあらゆる要求を相談できる民商・全商連だからこそ、拡大の条件は広がっています。4月以降、「頼りになります元気な民商」「あったか民商をすべての業者に」を太く打ち出し、会員比150%読者を追求し、減らさず増やす持続拡大で、毎月増勢に挑戦します。地域や要求の変化を踏まえ、「どのような民商をつくるのか」を大いに議論し、商工新聞を前面にした拡大運動の高揚のなかで各組織の総会を成功させます。同時に、「目標と計画」を見直し・充実させます。
民商とその実績を知らせるために、全業者対象の宣伝や実績ニュース・パンフでの対話を引き続き重視します。また、「なんでも相談会」のとりくみやパソコンでの記帳学習会を通年で開催するなど、民商の魅力を高めて拡大に結び付けます。
拡大推進委員会を民商まで確立し、仲間を増やす運動を独自に追求します。
2、迎え入れた新しい会員・読者への働きかけを
春の運動で迎え入れた新しい会員に、「私たちの民商」と「基本方向」のパンフレットを必ず手渡し、民商運動への理解を広げて、班にきちんと所属してもらいます。
「私たちの民商」ビデオも活用して、班や支部で新会員歓迎・学習会を開催します。仲間の力、「あったか民商」を実感できるようにし、拡大でも新たな力を発揮してもらうようにします。
新しい商工新聞読者には、日常的に民商の活動を知らせ、行事へのお誘いをするなどして対話を強め、民商の魅力を伝えます。
共済会への加入、婦人部、青年部への入部など、それぞれの運動と組織の前進を図るようにします。
3、「基本調査」のとりくみを生かして、班・支部建設を
班・支部建設や財政活動を前進させるなかで、「基本調査」にとりくみます。「基本調査」は数値の集計だけに終わらせず、班や支部の状況、役員構成や事務局体制の変化を踏まえ、役員会で「基本調査」やその結果について議論し、班・支部づくりをはじめ、組織の活動改善の方向を明らかにします。
支部役員会を確立し会議を定期開催して、地域に責任を持ち、日常的に要求運動と組織建設が推進できるようにします。また、すべての会員が班に所属して話し合いの場に参加できるように、班長を選び、みんなの力で班を運営します。班を基礎に会員参加を広げ配達・集金体制の確立を図ります。
「制度学習大綱」に基づく学習活動を強め、運動への自発的・自覚的な参加と役員づくりを強めます。
4、業者青年対策の強化を
中小業者が社会的役割を発揮し、民商・全商連運動を発展させるために業者青年対策はますます重要な課題です。業者青年の要求と対策を明らかにした「第3回業者青年対策全国会議」の内容を各県連・民商で具体化します。
全青協がとりくむ「全国業者青年実態調査」活動が成功するよう援助します。
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五、全国的選挙戦を改憲・大増税阻止と要求実現の力に
すでに、いっせい地方選挙の火ぶたが切られ、参議院選挙も目前に控えています。
安倍首相が「改憲を争点」とし、また選挙後に「税制の抜本的議論を始める」と明言しているだけに、憲法と消費税が根本から問われる選挙戦です。
いま大切なことは、民商運動として切り開いてきた数々の成果そのものが、国会や地方議会での審議など政治に深くかかわるなかで実現してきたことを確信にすることです。
先日付小切手の提出強要や売掛金の差し押さえなど、むごい徴税に対しても国会で実態を暴露・告発したことが横暴是正の確かな力になってきました。大型店の郊外出店がまちを荒廃させるなか、国会と地方議会での審議を通じて、「まちづくり3法」の改正や大型店の広域調整条例を実現してきました。電気用品安全法によるPSE規制や自主共済への規制でも、実態との矛盾を国会に伝え、画一的な官僚的規制を見直させる力にしてきました。地域経済の振興とともに中小業者の仕事確保につながった「小規模工事希望者登録制度」や「リフォーム助成」も、その多くが地方議員との連携のなかで実現してきました。高利貸金業の規制でも、与党の巻き返しを許さず、国会内外の世論と運動で「グレーゾーン撤廃」という法改正を現実のものとしてきました。
こうした運動の成果がどういう経過で実現してきたかを、改めて深く学び合い、中小業者の切実な要求実現に尽力できる国会・地方議員や首長を増やす奮闘が求められています。
財界が主導し、マスコミが盛んに宣伝する「保守2大政党づくり」では、自民党と民主党による悪政の競い合いにしかならないことを事実で知らせていくことが必要です。改憲や大増税を推進し、「貧困と格差」を広げる悪政を強行してきた政治勢力に、中小業者の願いを託すことはできません。
たたかえばまちがった政治は変えられます。中小業者・国民の手に政治を取り戻すため、「政治活動の自由」を保障して奮闘します。
班や支部、婦人部や青年部などの集まりで、経営と暮らしの実態を話し合い、一人ひとりの切実な要求に各党がどのような態度をとってきたか、大増税と改憲問題で、どのような政策を持っているのかを大いに語り合います。
営業と生活を守る力、政治革新の力となる商工新聞読者、会員を大いに増やすために、選挙のなかでも、拡大を意識的に追求します。
家族や友人、取引先などとも実態、要求や政治を語り合い、主権者として一人ひとりの一票が大切なことを話し合います。
同業組合や商店会などでの特定政党支持・押し付けには反対し、広く中小業者として共通する要求の実現をめざし奮闘します。
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