全国商工団体連合会(全商連)は18、19日、東京都内で第47回総会第2回理事会を開催し、次の決議を採択しました。
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消費税増税と改憲を阻止する国民運動を強め、すべての組織が切実な要求実現と持続拡大に挑戦しよう |
一、はじめに
第1回理事会以降の1年、切実な要求実現と攻勢的な組織建設にとりくむとともに、大増税と改憲を許さない国民運動の発展に力を尽くしてきました。
この間の奮闘は、貧困と格差を広げ、改憲や大増税へ暴走する安倍政権に、参議院選挙で厳しい審判を下す力となりました。
自民・公明両党の歴史的な大敗は、「政治とカネ」やずさんな年金対応にとどまらず、今の悪政がこれ以上続くなら、日本の前途はたちゆかないと国民が判断した結果です。
安倍内閣は直ちに退陣するべきです。
民商・全商連は、住民税増税や高すぎる国保料(税)に抗議し、消費税闘争と結合した「集中行動」にとりくむなど、困難を共に解決する助け合いや、生活防衛の国民共同を広げてきました。
大型店に対する土地利用規制や「駆け込み」出店凍結を要求するとともに、地域経済振興策の拡大や下請け取引条件の改善などをすすめてきました。
政府系金融機関の再編・縮小や信用補完制度の改悪に反対し、保証協会や自治体への要請を広げるとともに、高利貸金被害の救済をすすめ、公的な相談体制の拡充を働きかけてきました。
保険業法から自主共済を守る共同行動を強め、業法「見直し」に向けた超党派での国会審議を広げてきました。
改憲手続き法、教育基本法をはじめとした教育改悪、イラクへの自衛隊派兵延長に断固反対し、日米軍事一体化をめざす米軍再編への莫大な血税投入や自衛隊の国民監視、国会議員の事務所費に絡む「政治とカネ」の腐敗にも厳しく抗議してきました。
組織建設では、多彩な要求運動で会内外の信頼を高め、「商工新聞中心の活動」を前面に持続拡大と活動改善を推進し、増勢民商を増やしてきました。
そして選挙に際しては、「消えた年金」問題への国民の怒りが広がるなか、大増税や改憲に各政党がどのような態度をとり、苦難にあえぐ中小業者の味方はどの党かを、商工新聞を通じて事実をもとに明らかにし、会員の自覚的な政治活動を積極的に保障してきました。
いま、参議院選挙の結果を踏まえ、政局は新たな激動を迎えています。
第1回理事会以降の諸運動の到達と教訓を深め合うとともに、情勢の変化に対応するなかで消費税増税や改憲を阻止する国民運動を広げ、営業と生活の危機打開への奮闘を直ちに開始します。すべての組織が持続拡大に挑戦し、組織の飛躍と新たな前進をめざしましょう。
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二、消費税増税をやめ、応能負担の税制実現を
1、「住民税増税を元に戻し、消費税増税やめよ」の大運動を
参議院選挙で大敗を喫した安倍内閣に、消費税増税を検討する資格はありません。また民主党も「消費税増税は当面しない」との公約を守る義務があります。
いま、参議院選挙での審判を力に世論と運動を広げるなら、社会保障の全面改悪や庶民増税の悪政を見直させる条件は広がっています。社会保障の拡充は本来、国の責任であり、大企業や大資産家に応分の負担を求めてこそ実現可能です。財政危機は浪費型の大型公共事業や増え続ける軍事費を削減してこそ解決の展望が生まれます。
「住民税増税を元に戻し、消費税増税やめよ」の世論と運動を巻き起こします。従来の枠を超えた団体申し入れや地域での学習会、パレードを無数に広げ、消費税増税計画を撤回させる国民運動に全力でとりくみます。消費税廃止各界連絡会が呼びかけた「年内1000万人対話・署名」の実現に貢献するとともに、地域各界連の再建に力を注ぎます。
新署名((1)消費税増税反対(2)地方税の累進税率復活(3)国保への国庫負担増額(4)後期高齢者医療制度の撤回)を全会員の力を結集し、1会員10人の目標で推進します。
「消費税増税・改憲阻止」を正面に掲げる10・28国民大集会に、募金も集めて「地方はすべての支部から、首都圏はすべての班から」代表を派遣し、集会成功と国民運動の発展に貢献します。
2、国税・地方税に「能力に応じた公平な負担」の原則と納税者の権利を
改悪消費税による2度の確定申告を踏まえ、消費税が広範な中小業者に「身銭」を切らせ、なりわいとは両立しない営業破壊税であることもいっそう鮮明になっています。輸出戻し税は下請け企業が負担した消費税を大企業がすべて懐に入れる不公平税制の極みです。
徴税攻勢による営業破壊を許さず、税務当局による「預かり金」宣伝の完全撤回と納税者の権利確立を迫ります。
「税源移譲」を口実に、地方税の平準化や受益者負担化が強行されているだけに、自治体の税制・税務行政にも「能力に応じた公平な負担」の原則と納税者の権利を徹底させます。
住民税が、介護保険料などさまざまな公的サービスの算定根拠にもなっていることを広く知らせ、地方税の減免条例を抜本的に拡充する運動を推進します。住民税や固定資産税、国保料(税)の集団減免や不服審査、直接請求に挑戦します。
引き続き、分納や納税猶予、延滞税の減免などにとりくみます。徴収法制を改善させ、欧米に比べて貧弱な生存権的財産の基準引き上げを迫ります。
経営実態に即した自主計算活動を推進し、節税の工夫や損益分岐を明らかにするとともに、消費税につぶされないよう経営力強化と取引改善の力にします。
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三、切実な要求実現と危機打開の多彩な運動を
1、助け合い、困難を共に解決する行動を
「弱肉強食」の構造改革がすすみ、中小業者も赤字による預金取り崩しや、本業だけでは食べられずに兼業、わずかな年金収入で食いつなぐという例が増えています。さらに、資材高騰での犠牲転嫁や消費税の「値引き」強要さえまかり通っています。
それだけに中小業者の得手を生かす経営改善をすすめ、まちづくりや仕事おこしへの「共同と連帯」を強め、生き抜く道を広げる運動が切実です。
中小業者には、困難な時代を生き抜いてきている知恵や工夫が蓄積されています。「商売、人生、民商」を大いに語り合い商売の展望を切り開きます。
「助け合い、困難を共に解決する」民商出番の情勢に応え、支部主催の「なんでも相談会」活動に挑戦します。支部が主役で、多彩な要求運動を推進し、税金・金融・社会保障の相談員育成をすすめます。
2、商工交流会を力に、経営改善と公正取引の前進を
「ふみ出そう憲法を力に。発信しよう中小商工業の輝きを」をテーマに開催される第15回中小商工業全国交流・研究集会(9月1日〜3日、静岡)を大きく成功させ、地域で商工交流会運動や業種別・問題別対策を推進します。
「ストップ貧困」へ、最低賃金引き上げをめざす運動を支持し、中小業者の経営実態と公正取引を踏まえた積算単価の引き上げを要求します。
資材高騰による犠牲転嫁や下請け代金の未払い、ダンピング強要を許さない運動を推進します。
PSE(電気用品安全)法での不当な規制を撤回させた経験に学ぶとともに、実態無視の駐車禁止規制や飲酒運転での料飲業者への不当な連座制など、官僚的規制には機敏に対応します。「行政ではつかめない業者の実態」を調査し交渉に生かすなかで業界団体との共同行動を追求します。
3、自治体へまちづくり・仕事確保の積極提案を
憲法の「地方自治」原則を生かす立場で、自治体施策を見直し、「抗議すべきは抗議し、提案すべきは提案する」運動を推進します。地域経済・中小企業振興条例の創設・改善とともに、小規模工事や耐震補強の地元優先発注、自治体官公需施策の改善にとりくみます。
改正「まちづくり3法」に対応し、政府主導の「選択と集中」政策に反対するとともに、「歩いて暮らせるまち」の実現と大型店の横暴規制にとりくみます。
地方交付税の削減・改悪に反対し、地方財源の充実を要求するとともに、切実な要求実現へ国・地方自治体や地方議会と向き合い、働きかけを強めます。
新潟・中越沖地震や能登半島地震で、地元住民の要求に徹した復興支援と、生活再建に役立つ「店舗・工場への個人補償」を迫ります。柏崎刈羽原発に対する事故の徹底調査や安全性が確認されるまでの操業停止を要求します。
4、政府系金融・制度融資の改善を共同の力で
ことし10月、信用補完制度に責任共有制度を導入し、また来年10月、国民生活金融公庫を(株)日本政策金融公庫に統合するなど、中小業者の融資獲得に重大な影響を及ぼす事態が広がっています。
大銀行の多くは1円の法人税も払わず、その一方で「政府系金融が民業を圧迫している」との勝手な言い分で、「もうけ口」を広げようとしていること自体が言語道断です。
「貸し渋り」や小企業融資での差別・選別など、銀行の横暴を許さず、制度融資や地域金融を守る共同行動を強めます。「融資困難な中小業者・国民大衆に必要な資金を供給する」という政策金融の役割発揮を迫り、「貸出半減目標」の撤回を要求します。
高利貸金の被害救済をすすめるとともに、自治体の相談体制拡充の世論と運動を広げます。
5、社会保障の改善と「後期高齢者医療制度」の撤回を
社会保険庁の解体・民営化に合わせ、国民年金保険料を払えない庶民から国保証を取り上げる措置が強行されました。「国保加入の5世帯に1世帯」が国保料(税)を払いきれないのに、年金と医療の制度の違いさえ無視した制裁行政を断じて許すことはできません。介護保険でのベッド・車いすの取り上げや、障害者支援・生活保護の切り下げも相次ぐなか、「後期高齢者医療制度」が来年4月に導入されるなら、75歳以上の全員から年平均7万5000円の保険料が年金天引きされます。
「払える国保料(税)に」の運動を強め、減免と総医療費への国庫負担引き上げを要求します。
年金天引きなどの制度改悪や「後期高齢者医療制度」の中止・撤回へ世論と運動を広げます。広域連合議会や市町村に実態に即した減免規定や支払い困難な高齢者への親切な相談体制確立を働きかけます。
社会保障の全面改悪に反撃し、最低保障年金制度の実現を要求します。
6、助け合い共済を守り、保険業法の「見直し」実現を
自主共済を守る運動は、80万人分を超える署名や大規模に要請はがきを広げるなど、全国的な奮闘で新たな局面を切り開いてきました。自主共済を持つ団体の幅広い共同とともに、労働組合からも保険業規制に批判が広がり、また弁護士・自由法曹団や学者・研究者、マスコミのなかにも業法「見直し」を要求する声が高まっています。
金融庁は依然として、業法「見直し」を拒否する態度を変えていませんが、国会審議を通じ助け合い共済の「結社の自由」を制限する不当性が指摘され、超党派で業法の「改正案」が模索されています。
こうした変化を確信とし、広範な自主共済の適用除外と保険業法「見直し」をめざします。「共済の今日と未来を考える懇話会」をすべての都道府県で立ち上げ、共同の輪をいっそう広げます。
同時に、民商・全商連共済の制度と組織を守るため、国会議員要請や金融庁交渉にとりくみ、適切かつ機敏な対応を図ります。
第8回いのちと健康を守る学習交流会(全商連共済会主催、11月10日〜11日・横浜)を成功させ、県連としての交流と支部主催の集団健診活動を強めます。来年4月からの自治体健診の制度改悪を許さない要請にとりくみます。
共済会への全会員加入をめざし、会員加入率70%を早期に突破し、80%に挑戦します。
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四、憲法を生かし、平和・民主主義の擁護・発展を
参議院選挙での厳しい審判は、歴史をゆがめ、「戦争する国」づくりと憲法改悪に暴走する安倍内閣への国民的な批判の高まりを示しました。また、アメリカ議会下院本会議で「従軍慰安婦」問題決議が採択されるなど、国際社会からの孤立さえ招いています。
しかし自民・公明の政権与党は、秋から国会の憲法審査会で事実上の改憲原案の審議に入ろうとしています。アメリカと肩を並べて海外での戦闘を可能にする「集団的自衛権」の解釈変更もあきらめていません。
憲法改悪につながるあらゆる策動に監視と批判を強め、「憲法改悪反対」に国民過半数の世論を結集するため奮闘します。「憲法改悪反対共同センター」の活動を強化します。
教育改悪3法の具体化に反対し、沖縄集団自決に関する史実の改ざんを許さない運動を広げます。在沖縄海兵隊のグアム移転をはじめとする米軍再編への支援や自衛隊による国民監視に断固反対します。
運動の発展のなかで、憲法の平和的・民主的条項を完全実施させようとする世論と運動が広がっています。
切実な要求実現に憲法を徹底して生かす立場で、憲法の学習運動をすすめます。
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五、持続拡大で、組織的前進の新たな高揚を
1、減らさず増やす持続拡大で、毎月増勢に挑戦を
政局が激動するなか、中小業者の要求実現の最大の力となる仲間づくりの運動を追求します。
すべての民商が、月ごとの拡大目標を明らかにし減らさず増やす持続拡大をすすめ、秋の運動で商工新聞読者と会員の増勢に挑戦します。その到達に立って、来年3月末での年間増勢をめざします。
07年「基本調査」結果は、商工新聞読者数や会員数の後退をはじめ、厳しい組織実態をあらためて示しましたが、前年調査と比較して、読者で1県連107民商、会員で97民商、読者・会員ともで50民商が増勢です。
3月末に5課題を年間増勢にした民商では、拡大推進委員会の毎月開催とともに、「なんでも相談会」検討委員会で宣伝ビラの反応や会内外からの相談内容を検討し、持続拡大の力にしています。すべての支部に役員会を確立し、毎月の役員会では、必ず組織の拡大目標を議題とし独自追求しています。
悪政で、さまざまな業界にも「自民党離れ」が広がり、「民商出番の情勢」です。税金や金融での要求解決に限らず、会社設立やパソコン記帳など多彩な要求を入会に結びつけ、新規開業にも機敏な働きかけを強めます。
住民税の減免や国保料(税)の負担軽減をめざした「集中行動」などでの実績を会員に知らせ、「助け合いとしての紹介」運動につなげます。
地域の全中小業者を対象に商工新聞前面の宣伝を強め、ホームページの開設・改善など情報技術の積極活用を推進します。
全商連は9月1日を基点に11月末まで、週報で集約します。9月から来年3月まで商工新聞宣伝紙を10円とします。
2、商工新聞中心の活動のいっそうの推進を
商工新聞中心の活動は、運動、組織、財政の諸活動を統一的に前進させ、全国と地域を結んで発展させる要です。「読み、増やし、配達し、集金し、通信を送る」活動への会員参加を強めます。
この間、会員比150%の商工新聞読者をめざすと同時に、配達・集金体制と班・支部強化を中心に組織の活動改善をすすめ、商工新聞中心の活動を通じた仲間づくりをすすめてきました。
商工新聞が多くの中小業者を励まし、また要求実現に大きな役割を果たしていることを全会の確信にします。
また財政実務を改善するなかで、商工新聞還元金が財政的に果たす役割も明らかにし、財政確立の面からも商工新聞中心の活動を重視してとりくみます。
3、支部で「目標と計画」をつくり、学習を土台に組織の活動改善を
「なんでも相談会」や拡大行動を支部単位でとりくむ民商では、身の回りの要求や仲間を増やす意義が多くの会員に理解され、支部の「目標や計画」に基づく行動がすすんでいます。
地域の多数派めざし、業者比率での拡大目標の設定、どのような要求を取り上げ運動を展開するのか、配達・集金体制や班の確立について支部役員会でも議論することが大切です。
「目標と計画」を明らかにすることで、地域の実情に即した自覚的な運動がとりくめます。07年「基本調査」結果を支部役員会で議論し、活動改善へ一致するものから具体化します。
学習と討議を支部活動の土台に据えます。多くの会員が運動に積極的に参加できるように、「基本方向」や「全商連方針」を繰り返し学習します。民商・全商連運動が何をめざしているのか、どのような活動が必要かを深め、支部役員会を確立・拡充させます。若手役員を育成し、経験に富んだ役員との結合で、役員会の活性化を図ります。
励まし合って、経営や暮らしを守り、要求に基づく運動を全会員参加へと発展させるために、班会と班生活の確立に努力します。「あったか民商」づくりのなかで、商売のことや健康のことなど、何でも話し合える班会を通じて、「開催が待ち遠しい」班会をめざします。
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六、業者婦人・業者青年対策の強化を
9年ぶりに開催した業者婦人学校は、「基本方向」や全婦協の歴史・運動に対する確信を広げています。この力を婦人部の運動と役員・活動家づくりに生かします。
第10回全国業者婦人決起集会(全婦協主催、10月10日)成功のために援助を強めます。
侵略戦争を肯定する日本会議などが、両性の平等や女性差別の撤廃を敵視し、男女共同参画社会基本法の廃止運動を展開していることを軽視せず、地域から業者婦人の地位向上運動をすすめます。
青年部は、全国業者青年実態調査のとりくみを通じ、業者青年の経営と暮らしの状況をつかみ、要求運動と組織づくりを広げています。全青協第32回定期総会(11月18日)を1万5000人で迎えられるよう援助します。
「業者青年対策全国会議」に学び、県連や民商での具体化をすすめ業者青年対策を強めます。
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七、運動財政について
(略)
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