全商連第3回常任理事会決議
全国商工団体連合会(全商連)は11月25日、都内で第3回常任理事会を開き、次の決議を採択しました。
一、はじめに
この2カ月半、第1回理事会決議に基づき多彩な運動を進めてきました。
「消費税増税は中止できる」と旺盛な宣伝・対話や申し入れで世論と運動を励ましてきました。改悪国税通則法対策の学習会を広げ、帳簿のデジタル・カメラ撮影や修正申告前の納税強要、預金や売掛金の差し押さえなどの違法・不当な徴税とたたかってきました。
金融円滑化法の恒久化を求めて政府・自治体への要請や金融機関との懇談を強め、来年3月以降も条件変更への柔軟対応を指示する金融大臣「談話」を発表させました。民商まつりやオリエンテーリング、商工交流会・商工フェアの成功に力を合わせるとともに、社会保険未加入を理由に仕事を奪う官僚の横暴を許さず、実態に即したルール確立を働きかけてきました。
被災地での営業再建へ、「グループ補助」の活用や「二重ローン解消」に道を開いてきました。原発災害の完全賠償を弁護士・税理士と一緒に東京電力に迫り、賠償金の非課税を広範な業界団体とも手を結び税務当局へ働きかけてきました。「11・11反原発100万人大占拠」行動をはじめ、TPP(環太平洋連携協定)反対やオスプレイ配備撤回など一点共闘にも貢献してきました。
そして、多彩な要求運動の発展と結び、組織の拡大・強化に奮闘してきました。第50回総会現勢回復をめざし「相談活動・拡大運動全国交流会」を力にするとともに、方針学習推進の「特別期間」の提起に応える幹部学校や支部役員学習会を活発に開催し確信を深めてきました。
いま、広範な国民が未曽有の危機に直面し、将来不安と悪政への激しい憤りを募らせている中で、野田首相は政権を維持できず解散に追い込まれました。
総選挙を「国民の世論と運動こそ政治を動かす力」と確信を持ってたたかいます。
民主・自民・公明の「3党談合」による消費税増税や社会保障解体の策動に断固とした厳しい審判を下します。同時に、原発再稼働やオスプレイの配備強行、TPP参加、改憲への暴走に痛打を与え、「海外で戦争する国づくり」や弱肉強食の「構造改革」の復活を葬り去るたたかいを推進し、地域からの景気回復をめざします。さらに「維新の会」など復古主義を持ち出し、悪政をより強権的かつ反動的に進める「第三極」勢力の台頭を阻止します。
総選挙勝利へ、持てる力を総結集してたたかうとともに、来年の「全商連・地方別活動交流会」を結節点に、切実な要求を一つひとつ実現する中で、民商の「値打ち」を太く押し出し、読者30万人の突破と会員20万人からの反転攻勢で中小業者の役割が正当に評価される社会への展望を開きます。
二、要求運動の重点
1、増税中止、納税者の権利守るたたかいを
消費税増税を中止させるたたかいに、広範な中小業者の死活がかかっています。これまでにも、取引の力関係で身銭を切らされ、多くの中小業者が廃業に追い込まれてきました。
同時に、消費税のない税制度、能力に応じて公平に負担する原則を確立してこそ、持続可能な社会への展望は開かれます。増税勢力が繰り返す「福祉」「財政危機」「将来の世代のため」などの口実は「真っ赤なウソ」であり、真の狙いは一握りの大企業への奉仕にほかなりません。
税率8%の増税実施を閣議決定する予定の2013年秋までを視野に入れ、直面する総選挙と7月の参議院選挙を政治戦の結節点と位置付け、「増税は中止できる」の世論と運動を巻き起こします。要求を掘り起こす署名に全会員の参加ができていない到達を真摯に検討し、春の運動で末広がりに賛同を広げます。
改悪国税通則法の1月施行を前にした「リハーサル調査」が横行しています。仕入税額控除否認の脅しや過重な記帳水準の押し付けなど、勝手な「ルール」を法定手続きのように思わせる策動は断じて許せません。2014年からの全業者への「記帳義務化」を見据え、納税者の権利を掲げて権力的徴税とたたかう民商の真骨頂を発揮する時です。
集まって話し合い、納税者の権利を身につけて自主記帳・自主計算を強めながら、仲間を増やして権利を守る春の運動を進めます。班会で立ち会いの意義を深め合います。年内から改悪国税通則法対策を呼びかける大量宣伝に打って出ます。
3・13重税反対全国統一行動を消費税増税中止の国民共同として成功させるため、全会員参加で取り組みます。
2、経営と暮らしを守り、切実な要求の実現を
「顧客や取引先に喜ばれる仕事をしたい」というのが中小業者の本来的要求です。同時に、倒産・廃業が開業を上回る異常事態が続く日本では「地域で商売をしていること自体が社会貢献」になっています。
商工交流会の成果にも学び、業種別や異業種の交流を強めて、仲間とともに仕事おこし・顧客拡大、ネットワークづくりに取り組みます。民商として「小企業・家族経営に焦点をあてた地域政策」の策定に挑戦し、地域経済振興条例を制定・活用する運動を発展させます。地元業者の技術・技能や専門知識を生かす立場から、再生可能エネルギーの活用について検討するよう、自治体との懇談を強めます。震災復興財源の流用や東京電力の賠償責任の放棄を許さない取り組みを進めます。
広範な中小業者を「不良債権」扱いにする金融行政の復活を断じて許さず、経営力の強化と結んで融資獲得の運動を推進します。金融円滑化法の延長と恒久化を強く求め、金融機関に条件変更への柔軟対応だけでなく、融資実行や謝絶の件数、謝絶理由などの報告を義務づけるよう迫ります。貸し渋り・貸しはがしを是正するとともに、「日本版・小企業憲章(案)」が示す小企業・家族経営の役割にも学び、「経営改善計画」の策定に向けた話し合いを強めます。
払いきれない税金の滞納や社会保険未加入への制裁行政を許さず、公務労働の正しい役割発揮を求めます。中小業者を極度の生活不安に追い込むのではなく、社会保障を小企業支援に生かす施策を拡充し、事業継続への意欲を引き出す対応を要求します。年金や生活保護の改悪に反対します。
中小業者決起大会(1月29日・全中連主催)を切実な要求実現の機会として、大きく成功させます。
3、中小業者の要求実現へ、全会員参加の選挙に
今ほど、中小業者の営業と生活が政治と直結している時はありません。民商・全商連は、一貫して大企業本位の政治を国民本位に改めさせ、「中小業者の時代」をつくるために奮闘してきました。時々の選挙に際しては、政策と姿勢が私たちの要求と一致する政党や候補者を明らかにして、全会員に政治参加を呼びかけてきました。そして、要求で一致する政党・議員と連携し、議会論戦や交渉を通じて税務当局や金融行政の横暴を正し、取引ルールや被災者支援を改善させるなど、中小業者を危機から救う数々の成果を広げてきました。
これまでその多くを担ってきたのが、日本共産党議員団であることも疑いのない事実です。
総選挙の最大の争点は「消費税の増税中止」と「景気回復」です。すべての中小業者の要求実現の立場からも、まともな政策や要求での一致もなく、談合や野合をくり返す党派に未来を委ねるわけにはいきません。一貫して消費税に反対し、中小業者の役割を正当に評価する日本共産党の躍進こそが情勢の大局からも求められています。
すべての会員が署名と商工新聞を持って、要求と政治を切り結ぶ旺盛な対話を進めます。会員の政党支持と政治活動の自由を尊重しながら、一人ひとりが意見と態度を明らかにして話し合えるようにします。「要求実現の選挙」として組織を挙げてたたかいます。
全会員が主権者として政治に参加できるよう呼びかけを強め、私たちの要求が反映する国会への展望を切り開きます。
三、組織建設の重点
1、要求を掘り起こし、攻勢的な相談活動と拡大を
この間、署名や商工新聞を活用した対話運動や、生き抜く意欲を高める相談活動に取り組み、読者・会員の第50回総会現勢突破をめざしてきました。全国の奮闘で10月には読者を増勢としましたが、会員拡大での反転攻勢には成功せず20万人から後退しかねない厳しい状況です。仲間を増やすことが、民商・全商連の運動、組織、財政の根本の力を高め、増税談合や復古・極右の勢力による悪政を転換する展望を広げます。
「相談活動・拡大運動全国交流会」の報告集から仲間の英知を学び、3月末での読者30万人の突破と会員の全国増勢に力を合わせます。
あらゆる相談に対応し、要求ある者が納得のいく解決を心がけて成果を広く知らせます。営業と生活に直接関わる話題を班・支部の力も生かして結集し、要求を掘り起こします。「生きた情報」を盛り込むニュースの発信や商工新聞紙面の紹介を強めます。
「仲間を増やす」を起点とした情勢討議を深め、改悪国税通則法対策としての申告準備や金融円滑化の制度改善と結んだ資金繰り対策などを拡大運動に生かします。テーマを持った相談会や説明会を企画し、苦労や喜びを分かち合う体験を通じて、相談活動の担い手を増やします。たえず相談の機会を拡大に結実させる構えで、対象者の紹介を広く呼びかけ、商工新聞の購読や入会を勧めます。
広範な中小業者が民商と出会うきっかけや媒体も多様化していることを踏まえ、全商連として、フェイスブックやツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用を含め、情報発信・宣伝活動の発展を検討していきます。
2、豊かな学習を力に、行動参加を広げる活動改善を
幹部学校を41県連が開校し、支部役員学習会を15県連が開催するなど、方針学習「特別期間」の提起に応える学習・教育活動が従来にない規模で取り組まれてきました。講義や討議を通じて、「日本版・小企業憲章(案)」が示す家族経営の役割を、身近な仲間の経営努力や自らの業者人生の中に見いだしています。また、「集まって、話し合い、相談し、助け合う」活動の歴史と今日のありようを知り、民商・全商連運動の「値打ち」に確信を深めています。
大切なのは、学習の機会に培った誇りや決意を、要求運動と組織建設の一体的な推進としての行動に示すことです。全会員参加の運動をめざし、班・支部活動の推進・援助や商工新聞中心の活動改善に取り組みます。
確定申告もあり、最も大勢の会員が集まる時期を迎えます。班会や支部役員会への参加を丁寧に呼びかけるとともに、「春の運動」DVD(2013年版)や「ようこそ民商へ」DVD(新版)を観賞する機会も増やし、励まし、助け合う取り組みを強めます。この中で、新たな班・支部づくりに挑戦し、より多くの会員が身近な班や支部に所属してもらえるよう働きかけます。
読者のつながりを生かす班・支部建設を推進します。商工新聞を「よく読む」活動とともに、民商の催しも知らせる組織配達・組織集金に力を合わせ、読者に対する入会や購読継続の呼びかけを強めます。
月サイクルの機関会議を中心に、寄せられている相談や運動の様子、成果を多くの会員が共有できるようにし、専門部の活動も生かして運動の発展を保障する組織運営を進めます。
3、総合力を発揮し、地方別活動交流会の成功を
会員とともに家族の要求を大切にし、共に困難を解決できる民商建設を推進してきました。
原発災害とたたかう福島県で、いのちと健康を守る学習交流会も開催し、小企業・家族経営の健康実態や班・支部建設に沿った助け合い共済の活動が強められてきました。また婦人部は、業者婦人の実態調査結果を地位向上に生かしつつ部員拡大に力を合わせ、栃木と福井の両県婦協結成により、初めて47の県婦協が足並みをそろえ、全婦協第29回総会を成功させました。青年部は、被災地・宮城県で開催した第12回全国業者青年交流会を大きく成功させ、全青協第37回総会で団結を固め合いました。こうした奮闘が「中小業者運動のナショナルセンター」の役割を担う民商・全商連運動をより豊かにしています。
全商連は、2013年の4月と5月、全国8カ所に分けて地方別活動交流会を開催します。中小業者の生きる道ひらく強大な民商・全商連の建設をめざし、第50回総会から約1年の折り返し点で、現場の最前線で活動する民商三役とともに、共済会理事長、婦人部長、青年部長も集い、要求運動と組織建設の総合的な検証と交流を図る機会とします。
この歴史的な活動交流会に向け、多数派結集の大志を持った読者前面の拡大に力を合わせます。共済会や婦人部、青年部でも商工新聞を「よく読む」活動に取り組み、女性や若い世代のつながりを生かして購読を訴えます。
30万読者の突破と20万会員からの反転攻勢、助け合い共済への全会員加入に挑戦するとともに、婦人部と青年部の部員拡大と結び、すべての民商での結成・再建を援助します。
四、年末・年度末の財政活動の強化を
例年にも増して厳しい年末・年度末を迎えます。
会費支払いなどが困難な状況に陥っている会員をはじめ、すべての会員と対話し、励まし合って乗り切っていく意欲を高めます。運動体としての民商の役割と魅力、財政活動の重要性を話し合い、経営と暮らしを守る対策も強めながら、未収克服に取り組みます。
班・支部建設と結び、「財政活動の5点改善」を堅持し、未収を生まない組織づくりに取り組みます。
消費税増税中止、改悪国税通則法対策などを強めるため、積極的な運動募金を呼びかけます。
全国商工団体連合会会長
国分 稔
全国商工新聞(2012年12月3日付)
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