全国商工団体連合会(全商連)は8、9の両日、都内で第1回理事会を開き、次の決議を採択しました。
悪政への怒りと国民運動の発展を力に、消費税増税中止と切実な要求実現、組織の拡大・強化を
2012年9月9日
全商連第1回理事会決議
一、はじめに
総会から3カ月が経過しました。民商・全商連は、第50回総会方針を行動の指針として、国民運動の発展に力をつくし、消費税闘争や切実な要求実現、組織の拡大・強化に奮闘してきました。
消費税増税阻止では、「世論と運動こそ政治を動かす」と、6・23国民大集会を大きく成功させ、宣伝や署名、要請や申し入れに総力をあげてきました。増税法案は、民・自・公の密室談合によって強行されましたが、財界奉仕が暴露される中で国民の怒りは法案成立後も収まらず、国会会期末には3党合意と増税強行を断罪する内容の「野田首相・問責決議」が自民党も賛成して可決されるという事態に至りました。
原発ゼロとエネルギー政策転換を求めるたたかいでは、立場の違いを超えて17万人が参加した「7・16 さようなら原発集会」の成功に貢献しました。「デモに初参加」というような市民が、毎週金曜日に首相官邸前におしかけ、参加者は延べ100万人を超えました。全国各地で電力会社への要請や地域集会が途切れることなく広がり続けています。
TPP(環太平洋連携協定)参加に反対する運動では、政府が秘密交渉を重ねる中でも「主権を売り渡すな」「地域経済を守れ」と農・漁業をはじめとした幅広い階層との共同を各地で追求してきました。この世論と運動を背景に、政権与党の国会議員を含め超党派の議員が「TPP参加ノー」の声をあげる状況になっています。
欠陥軍用機オスプレイ配備をめぐっても新たなたたかいが広がっています。沖縄では「配備強行なら全基地即時閉鎖」と県知事が防衛相に抗議し、低空飛行訓練ルートが予測される地域の自治体首長が配備断固阻止の連携を強めています。
従来の枠をはるかに超えた一点共闘がさまざまな形で響き合い、国民運動として相乗的に発展しています。増税反対の世論が依然、多数を占め、悪政の根本にある財界支配と日米安保の存在があらわになっています。
仲間を増やし、国民世論で増税勢力を包囲する大運動に取り組みます。その力で、解散・総選挙に追い込み、「増税中止の国会」を実現します。
総会方針を全面実践する立場から、秋から春に向け、中小業者の生きる道ひらくたたかいに立ち上がりましょう。
二、要求運動の重点
1、消費税増税中止、納税者の権利を守るたたかいを
消費税闘争を通じ、中小業者の転嫁問題や輸出戻し税などへの国民的理解も広げ、応能負担という民主的税制への道筋も明らかにしてきました。社会保障のためという増税の口実はすでに破綻し、財界のための財源確保という本音がむき出しになっています。「10%になったら生きていけない」という中小業者の怒りや国民の苦悩はさらに広がっており、税率引き上げ中止という大義あるたたかいに確信を持つことが大切です。
消費税を財源とした浪費型の公共事業や軍事費の増額を断じて許さず、消費税の根本的欠陥や応能負担などあるべき税制の姿を地域で共に生きる多くの市民に示し、「一体改革関連法」を葬り去るたたかいを推進します。
新たな「消費税増税の中止を求める請願」署名を全会員参加で推進するとともに、外に打って出る宣伝・対話、申し入れを大きく広げ、消費税廃止各界連絡会の活動発展に力を注ぎます。
増税法成立と国税通則法改悪のもとで、徴税攻勢が強まっています。税務調査対策を抜本的に強化し、団結の力を発揮して、班・支部を基礎にした仲間の立ち会いを強めます。
記帳義務は訓示規定に過ぎないことを認めさせ、事前通知の法定化と税務運営方針を順守するよう迫ります。自主記帳を強め、商売や取引慣行に見合った帳簿を認めさせます。不当な徴収行政を許さず、粘り強く納税緩和措置の適用を迫り、差し押さえ禁止財産の範囲を広げるよう要求します。
税務署への申し入れを攻勢的に行い、納税者の権利を守る民商の姿を押し出します。
改悪国税通則法に対応する「納税者の権利(新版)」パンフと「自主計算パンフ」の日常的学習を強めます。また、国民を管理し、プライバシー侵害と徴収強化につながるマイナンバー導入を許さないたたかいをすすめます。
「社会保障制度改革推進法」は、「自立・自助」を強調し、医療保険や介護サービスの縮小、生活保護の切り下げなど社会保障の制度と理念を解体するものです。民・自・公なれあいの「国民会議」による制度改悪を許さない共同を広げます。
2、経営危機打開、仕事おこし、地域経済振興の運動を
金融円滑化法は、多くの中小業者が繰り返し活用してきました。しかし、来年3月の期限が迫り、金融機関は独自に「債務者区分の見直し」を進め、すでに新たな「貸しはがし」も始まっています。このままでは、資金繰りが行き詰まり、廃業の危機が広がりかねません。金融機関との交渉・懇談の機会を持ち、金融円滑化法の活用をさらに強めます。国に対して円滑化法の恒久化や「日本版・地域再投資法」の制定を求めます。あわせて、信用保証制度、自治体の融資制度の改善をめざします。
危機打開の運動に正面から取り組むとともに、仕事と資金を地域に還流させ、景気回復をはかることが重要です。
地域密着の小企業・家族経営の利点を生かし、仲間の知恵を発揮して仕事おこし、顧客拡大に挑戦します。商売を語る会、経営交流会、商工交流会を多彩に開催します。住宅リフォーム助成制度の創設と活用をさらに前進させます。建設業許可との関わりなど業種別対策として、社会保険の強制加入や実態無視の徴収から経営を守ります。
民主党政権が閣議決定した「日本再生戦略」は、財界いいなりの国家づくりそのものです。「事業再生」や「金融資本市場での資金調達」などの名のもとに、中小業者の整理淘汰につながる危険な枠組みが示されています。「日本版・小企業憲章(案)」を力に、あらゆる業種の中小業者が役割を発揮できるよう地域経済・中小企業振興条例の制定運動と活用を強めます。実態と要求を出し合い、自治体への要請や懇談を深め、民商として「小企業・家族経営に焦点をあてた地域政策」づくりに挑戦します。
TPPへの参加は、関税の撤廃や外資への市場開放で、地域経済を支えるあらゆるルールを破壊する策動にほかなりません。食料主権を守り、農林水産業と中小商工業の連携も強め、参加を阻止する国民共同を強めます。
全国に広がり続ける原発事故を原因とする被害に対し、あらゆる損害を賠償させ、原発ゼロの運動を各地で創意的に取り組みます。地域ごとのエネルギー自給と再生可能エネルギーへの転換を中小業者の仕事おこしに生かす道を探求します。
全国中小業者団体連絡会が10月18日に開催する、政府要請・省庁交渉に切実な要求を結集します。また、来年1月29日の中小業者決起大会を大きく成功させます。
3、オスプレイの配備反対、平和・民主主義の発展を
国民の命と財産を直接的危険に巻き込むオスプレイの配備は断じて許せません。基地のあるまちのたたかいとも結び、日米安保条約廃棄をめざす世論と運動を広げます。米軍への思いやり予算の削減・廃止をめざす運動をすすめます。
衆議院の比例定数削減は、民意と国会とのねじれを増幅させ、国民の声が届かない政治を助長するものです。民意が正確に反映される選挙制度の実現と政党助成金の廃止を要求します。
原水爆禁止世界大会の成功を力に、2015年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議にむけて、非人道的、非道徳的な核兵器の禁止を求める運動の発展に貢献します。「アピール」署名運動や原爆写真展開催など具体的な行動を広げます。
尖閣諸島や竹島など「領土問題」もテコにした軍拡や改憲の策動を許さず、憲法を守れの国民世論を広げます。
三、組織建設の重点
1、旺盛な対話・相談活動と大志ある拡大を
総会方針は、中小業者の生きる道ひらく強大な民商・全商連建設へ、35万人の商工新聞読者実現と20万人会員からの反転攻勢を全国的な発展目標として掲げました。60年の歴史に学び、多数派結集の大志を持って、新たな前進をめざします。
国民意識の変化や共同行動の発展と結んで民商の「値打ち」を押し出すとともに、要求を掘り起こす対話運動と相談活動の発展を拡大に結実させます。この運動推進のため、「相談活動・拡大運動全国交流会」(10月6・7日)を開催します。
署名や商工新聞を活用して民商への共感と信頼を広げるとともに、要求ある者が運動の先頭に立てるよう力を合わせ、「民商で良かった」の思いをみなぎらせます。
「仲間を増やす」を基点にした情勢討議を深め、実益獲得につながる「生きた情報」の交換と発信を強めます。商工新聞を「よく読む」活動や、パンフ「仲間が増えてみんな笑顔」に基づく討議を機関会議と支部役員会で行い、末広がりの読者拡大と「読者から入会へ」の拡大を追求します。
今日的到達を全国的にみれば、読者を10%増やすことが30万読者の回復・突破となり、会員を5%増やすことが昨年の5月末現勢突破となります。第50回総会からの折り返しとなる来年5月までを展望し、組織の拡大・強化を「目標と計画」に具体化します。
節目として、今年11月末での第50回総会時勢力の突破、来年3月末での読者10%増、会員5%増をめざして攻勢的な持続拡大に奮闘し、「全商連・地方別活動交流会」(来年の4月と5月に分け、8カ所で開催予定)に運動の成果を持ち寄ります。
2、商工新聞中心の活動と班・支部の強化を
「読み、増やし、配達し、集金し、通信を送る」商工新聞中心の活動と「集まって、話し合い、相談し、助け合う」班・支部の強化こそ、会員の活動参加を広げます。
基本調査の結果で、新たに商工新聞の配達に参加する仲間や、新任の支部役員・班長が、いずれも増えていることは、この間の貴重な変化です。機関役員が親身な指導・援助を強め、運動の担い手づくりと活動改善に取り組むことが大切です。
機関会議や班・支部活動の月サイクルを確立する中で、商工新聞の感想を出し合い、紙面を紹介し合う機会を増やします。また商工新聞で地域の多数派を組織することの意義を深め合い、読者前面の拡大行動を具体化します。
読者のつながりを生かす班・支部建設に取り組みます。民商の催しを広く知らせるとともに、商工新聞への感想や購読継続の呼びかけを強めます。
商工新聞の紙面充実へ、全国すべての民商がニュース・通信を毎月、全商連に送付するよう、県連としての援助も強め、支部から業者通信員登録を進めます。
班会や支部役員会に自覚的参加が広がるよう、アイデアを出し合います。会場の確保や事前連絡の徹底などに努力するとともに、商売の話や地域の出来事、健康談義などを大事にし、運動課題も押し付けでなく、「なぜ取り組むのか」への理解と納得を得る運営を心がけます。
3、学習・教育活動の強化と総合力の発揮を
情勢の激動に対応した運動発展と結び、方針学習推進の「特別期間」を設定し、「運動しつつ学び、学びつつ運動する」活動を推進してきました。
方針学習会や事務局員交流会を契機として、第50回総会方針の読了・討議が広がるとともに、幹部学校や支部役員学習会も取り組まれ、方針を実践の指針とした行動の具体化や、「地域にどんな民商をつくるのか」の討議に基づく「目標と計画」の策定が進んでいます。
「特別期間」における財政援助の増額措置(今年12月末まで)も生かし、より多くの仲間に豊かな学習の機会を提供し、要求運動と組織建設を一体的に推進する力を高めます。パンフ「ようこそ民商へ」も活用し、班・支部とのつながりを深める新会員歓迎学習会の定例開催に取り組みます。
共通性の高い要求で相談の担い手を広げる学習会を積極的に計画するとともに、自信を持って自治体や税務署、銀行などへの要請に取り組むため、「私たちの要求」を学び活用します。
民商の総合力が発揮できるよう、家族の要求を大切にし、力を合わせて困難を解決する民商建設に取り組みます。共済会や婦人部、青年部の役員を対象にした幹部学校の開催にも挑戦するとともに、それぞれの活動から、商工新聞の魅力と役割に確信が持てるよう援助を強めます。
四、民商らしい共済運動の発展を
小企業・家族経営が正当な役割を発揮していくためにも、健康問題への対応が欠かせません。夫婦どちらかが病気やケガで働けなくなれば、経営と暮らしが立ち行かなくなるのも共通した特徴です。
民商会員とその配偶者が「年齢や健康の状態に関わらず加入できる」よう門戸を開いてきた助け合い共済に、多くの仲間を迎え入れます。
また「目くばり、気くばり、心くばり」を行き渡らせるには、班の共済係り、支部の共済役員を増やしていくことが大切です。健康への関心が高まっていることも踏まえ、健康に関する情報交換を共済係りや共済役員中心に進めます。
こうした民商・全商連共済の強化が、あらゆる共済制度をもうけの道具に変質・解体させるTPP参加の策動をはねかえし権力の介入を許さない力を高めます。
「第10回いのちと健康を守る学習交流会」(10月13・14日、福島県、全商連共済会主催)は、福島原発による放射能被害と生存権について深め合い、集団健診や明日の活力ともなる多彩な活動を発展させる契機となります。すべての県連共済会でも取り組めるよう援助を強め、より民商らしい共済をめざす運動の発展に力を合わせます。
五、業者婦人・業者青年対策の強化を
1、業者婦人に心を寄せ婦人部への支援を
多くの業者婦人は家業に加え、保育・教育や介護を担うとともに、パートを掛け持つ状態の中でも日々の記帳に励んでいます。
こうした苦労と努力を台無しにするのが、社会保障と税の一体改革であり国税通則法の改悪です。実態と要求を出し合い、女性の感性を生かしたたたかいを進められるよう援助を強めます。
女性団体との共同を強め、所得税法第56条廃止を国と自治体に働きかけ、自家労賃の実現を迫ります。
女性の視点を生かした仕事おこしや商売交流を支援し、起業する女性の要求にも応えられる民商運動をめざします。
業者婦人実態調査の結果を学びあうとともに、広く懇談や交渉に活用することで地位向上に生かします。
基本調査や婦人部組織実態調査の結果を分析・検討します。くらしと営業、健康について、集まって話し合い、一人ひとりの業者婦人を大切にする婦人部建設を進めます。
支部で6割以上の婦人部建設をめざし、全婦協第29回総会(10月27・28日)の成功を援助します。
2、若い力を育てる取り組みの強化を
大震災と野田政権の暴走を契機に国民的な意識の変化が広がる中、「黙っていられない」と多くの青年も行動に足を踏み出しています。
時代の転換期だけに、互いに生き方を模索し商売の魅力や可能性を語り合える仲間を広げていくことが重要です。
第12回全国業者青年交流会を成功させ、被災地で営業再開に奮闘する仲間とともに、若い力で地域を再生していこうという気概を高めあいます。
事業承継や新規開業の対策を強め、業者青年に魅力ある民商建設に取り組みます。
業者青年実態調査の結果を自治体交渉に生かすとともに、民商として異世代の交流・懇談を深めます。青年部を卒業した2世を含め、若い力が商工交流会運動や民商まつりなどで発揮できるよう援助を強めます。次世代を担う業者青年が、民商運動の歴史や理念、役割を学べる機会を増やします。
すべての民商で青年部を建設・確立し、全青協第37回総会(11月18日)を「1万5千人の青年部」で成功できるよう援助します。
六、財政活動の改善・強化を
基本調査結果では、商工新聞紙代と会費の未収克服が焦眉の課題であることを示しています。役員が正面から向き合い、実態をリアルに認識するとともに、役員と事務局が団結して財政活動の改善に取り組みます。
未収者への総訪問を強めることで、会費を払えない会員の苦難にも心を寄せ、ともに打開の道をさぐっていきます。
「財政活動の5点改善」を堅持し、15日集金など月サイクルの活動を確立し、未収を生まない組織づくりを進めます。班・支部などの組織建設と一体で財政改善に取り組みます。
消費税増税中止をはじめ、悪政に立ち向かい中小業者の切実な要求実現の運動をすすめるために、積極的な財政計画を立て運動募金を訴えます。
(以下略)
全国商工新聞(2012年9月17日付)
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