全国商工新聞 第3355号2019年4月1日付
「私たちの働き分を認めて」。全国の県連婦人部協議会(県婦協)、民主商工会(民商)婦人部、民商役員らは「統一地方選が迫るこの好機をとらえ、議員に訴えよう」と所得税法第56条廃止の意見書採択をめざして行動。3月議会での意見書採択が相次いでいます(3月18日現在、516自治体に到達)。
仙南民商婦人部、宮城県婦協の役員は3度目の陳情で議会の変化を実感
宮城県白石市では、宮城・仙南民商婦人部の陳情に基づき「所得税法第56条廃止を求める意見書」が採択されました。3度目の挑戦で採択となり、議会の変化を実感しています。
本会議(3月8日)には婦人部長、歴代の部長ら7人、宮城県婦協からも役員が駆け付けました。賛成16、反対1で採択されると、参加者は大感動。「ここまできたね」と喜び合いました。
白石市への陳情書は、これまで2010年、14年に2回提出しましたが、議会運営委員会にかけられることもなく、退けられてきました。しかし、「業者婦人など家族従業者の働き分を必要経費として認めず、申告の仕方で不当に差別するのは許せない」と粘り強く活動し、2月8日、3度目となる陳情書を議会に提出。2月18日の議会運営会議では堂々と意見陳述を行い、採択にこぎつけました。
「市議会が議案を十分討議してないという批判や、統一地方選が迫っていることで、住民から出された意見にしっかり向き合うようになっている。議会の姿勢が変わっていると感じる」と仙南民商の小室さとみ事務局長。活動地域での未採択は角田市のみとなり、この機会に働きかけていく予定です。
「家族労働を認めない56条はおかしい」と話す松田博さん(右から2人目)と、役場を訪問した仁淀川民商会員ら
高知県仁淀川町議会は3月7日、全員賛成で意見書を採択しました。仁淀川町に請願書を提出したのは今回が初めてです。
県連・県婦協からの訴えを受け、仁淀川民商会員の松田博さん=農業=が奮起しました。「家族労働を認めない第56条はどう考えてもおかしい。保守も革新も党派に関係なく一致できるはず」と、県婦協の田村成子会長、仁淀川民商の上岡孝雄会長、地域の市民活動家・藤堂賢太郎さんとともに、3月議会に提出を決めました。
藤堂さんが議会運営委員長やつながりのある議員に働き掛け、自民党議員が紹介議員に。傍聴にもみんなで駆け付けました。
仁淀川民商は、土佐市、いの町、日高村に加え、活動地域の全ての自治体で採択を達成しました。
松田さんは「採択の瞬間は、やった!と拍手しそうになった」と喜び、「運動の主体は私たち。議員頼みでは、主体的な力が弱くなってしまう。今回の採択を機に、いろいろな要求を実現していきたい」と話しています。
業者婦人など家族従業者の「働き分」を必要経費として認めず、申告の仕方で不当に差別するもの。白色申告では、配偶者は年間86万円、その他の家族は50万円の控除しか認めておらず、社会的にも経済的にも自立できない状況を生んでいます。
世界の主要国では「自家労賃を必要経費」として認め、家族従業員の人権・人格、労働を正当に評価しています。