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香川県議会が見直し意見書=香川県婦協
「やったー、ついに採択された」─。香川県議会は10月12日、所得税法第56条見直しを求める意見書を採択しました(県議会採択は10県目)。香川県連婦人部協議会(県婦協)が粘り強く働き掛け、日本共産党、自由民主党県政会、自由民主党志誠会が議員立法として9月議会に「所得税法第56条の見直し」を求める意見書(案)を提出し、賛成多数で可決されたものです。
「差別やめて」と議員訪問 3年越しの運動実る
56条見直しを求める意見書採択を勝ち取り、笑顔を見せる香川県婦協役員
本会議が開かれた12日、傍聴に駆け付けた県婦協の役員は採択された瞬間、みんなで手を取り合って喜び合いました。
ア田恵美子県婦協会長は「夢のようでまだ実感がない。いつも悔しい気持ちで議会を後にする連続だったので、採決時は胸がドキドキ。通ったと分かった時は足ががくがく震えていた。県議会での成果を力に自治体での採択を広げたい」と笑顔を見せていました。
県婦協は3年前から県議会に働き掛けてきました。はじめは「56条って何?」という反応が多く、自由民主党議員会との懇談でも「白色申告が嫌なら青色申告にすればいい」との意見が出され、「家族従事者の働き分が正当に認められないのは人権問題」などと訴えても、理解を得ることができませんでした。
しかし、婦人部役員たちはあきらめずに働き掛け、保守系議員も56条問題を勉強して問題意識を持つなどの変化が生まれてきました。白川容子前議員(共産)の働き掛けもあって自由民主党県政会の幹事長は「56条問題についての懇談会に積極的に参加したい」と伝えてきました。県政会では日本会議に所属する議員が家父長制度賛成という立場に立っていましたが、懇談時には好意的な態度で「議員の妻は秘書に登録できず、議員のために働いても無給になるのでよく分かる」と共感が広がりました。
力を入れたのは議員訪問です。各婦人部は地元選出の議員訪問を連続して行い、県婦協の役員も乗り込み、門前払いをする議員や「56条は単に青色か白色の制度の違いでしかない」と固執する議員もいましたが、ア田会長は「56条は個人の尊厳と両性の平等に反する差別的税制」などと訴え続けました。
「リベラル香川」の会長は全く会おうとしなかったため、自宅を突撃訪問して話をしました。採択後、リベラルの会長にお礼に行った時、「あなたたちの情熱には恐れ入った」と言われたことが印象的でした。
▼所得税法第56条とは
白色申告者の配偶者・家族が受け取る働き分(労働対価)を必要経費として認めない法律。配偶者は年間86万円、その他の家族は50万円の控除しか認められず、社会的・経済的に自立できない状況を生んでいます。
国連女性差別撤廃委員会は2016年2月、日本政府に対して家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しの検討を求める勧告を出しました。
全国商工新聞(2017年10月30日付) |