活用しよう 就学援助 制服代や給食費も応援
子どもたちが新しい友達との出会いに胸を膨らませる新学期が近づいてきました。しかし、教育費の負担が家計を直撃。保護者からは悲鳴が上がっています。憲法26条では「義務教育の無償化」がうたわれ、それに基づいてつくられたのが「就学援助制度」です。各地の民主商工会(民商)婦人部では制度の充実を求めながら活用を広げています。制度の内容を紹介します。
【制度の概要】市町村が実施
学校教育法(19条)は「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては市町村は必要な援助を与えなければならない」と明記しています。
就学援助は小中学生がいる家庭に学用品費や入学準備金、通学用品費などを支給する制度です。市町村が実施し、国が2分の1を補助します。
【対象】生保が基準に
文部科学省が示している対象は(1)生活保護を受けている(2)生活保護受給世帯に準ずる程度に困窮している―世帯です。実際に受けられる基準は「生活保護基準の1.1倍」などのように自治体が決めています。
文部科学省の調査(2013年度)によると152万世帯が就学援助制度を活用し、全小中学生の6人に1人が受給しています。受給率は同省が調査を始めた1995年の6.10%から2013年度は15.68%に上昇。貧困と格差が広がっていることを表しています。
【支給項目】入学準備にも
2017年度の支給内容と金額案は左上の表のとおりです。生活保護制度の一時扶助に合わせて入学準備金を増額しました。
自治体によっては支給項目を増やしたり、補助額を上乗せしているところもあります。
しかし、一方で安倍政権は2013年度から15年度までに段階的に生活保護制度の基本となる生活扶助基準を過去最大規模で切り下げました。多くの自治体は就学援助を認定する所得基準を生活保護基準に定めているため、就学援助の支給基準を引き下げたところもありますので、改善を求めることが必要です。
【手続き】教育委に申請
教育委員会への直接申請と学校申請の方式があります。
民商婦人部は地域の民主団体などと一緒に教育委員会に集団で申請書を提出し、制度の改善なども求めています。
【支給方法】保護者口座に
教育委員会から保護者の口座に振り込まれます。
学校で現物支給されている場合は、子どもに精神的な負担をかけないように口座振り込みへの変更を求めましょう。
支給は年3回や項目ごとに支給日を決めるなど自治体によって異なります。また、入学準備金は「必要な時期に支給してほしい」との要望から入学前(3月)に支給をする自治体が増えていますが、入学後に支給している自治体もありますので、改善を求めましょう。
全国商工新聞(2017年2月20日付) |