全国業者婦人実態調査B【経営】=全婦協
事業継続へ支援策必要
全商連婦人部協議会(全婦協)がまとめた「全国業者婦人実態調査」。最終章の「経営に携わる女性の実態」では「業者婦人の役割と意義」「女性自営業者の実態」をテーマに、高千穂大学の川名和美教授が分析を行いました。増加する女性起業家に焦点を当て、必要なサポートや民商婦人部が担い得る役割も示しています。
本調査で、女性経営者の割合は約3割に当たる2112人。業種で多いのは、料理飲食が22%、生活関連サービスが18%、建設関連が14%です。「開業の動機・事業分野の選択の理由」は、「好きな仕事をしたい」が1位。サービス業などで「技術や資格を生かすため」「好きな仕事をしたい」という前向きな開業理由が目立ちました。
女性の起業を促進する動きが強まる一方で、開業時の問題点では「自己資金不足、資金調達」が約3割でトップ。女性として不利益・差別を感じたことは「家事・育児・介護」15・5%、「融資面」12・1%に上ります。
要望する支援策は「開業準備・資金調達などの相談窓口」と「女性に有利な融資、債務保証制度」がともに21・1%で、情報収集や学習の機会を求める事業者が多数を占めました。「家事・介護サービスの充実」(15・5%)、「保育園の充実などの子育て支援」(13・6%)が続いています。
「家族従業者が担っている仕事の内容」の質問では、「事務関係」55・5%、「帳簿」50・9%、「現場の仕事」31・3%、「資金繰り」17・7%の順に。川名教授は「業者婦人は、ほぼ経営者と変わらない仕事と役割を担っている。人手不足が進む中、業者婦人の柔軟なスキルや能力が求められている」と指摘しています。
総務省の「労働力調査」(14年)によると女性の労働力人口は前年に比べて20万人増加し、労働力人口総数に占める女性の割合は42・9%に上っています。川名教授は「女性の就業促進だけでなく起業や事業承継、経営継続のための環境整備が重要。後継者や子育て世代の起業者の声に耳を傾ける運動を広げ、業歴の長い女性事業主に蓄積された知恵やスキルを地域で生かしていくためにも、若手と情報交換、学習する機会を作っていくことが活路を切り開く」と提案しています。
全国商工新聞(2016年5月9日付) |