所得税法56条廃止で業者婦人の地位向上へ
学習や懇談重ね2町で意見書採択=北海道・北見
北海道湧別町と大空町は、12月議会で所得税法第56条廃止の意見書を採択しました。北見民主商工会(民商)婦人部が提出したもので、各議会を訪問し、懇談を重ねてきた運動が実りました。
12月3日には婦人部長はじめ3人で湧別町議会を訪問し、議会事務局長と懇談。「青色申告なら控除も取れる。なぜ白色で申告するのか」と質問を受け、「業種や規模によっても帳面のやり方が違うので、その人に合わせて選んでいる」と説明しました。また、10月に行った大空町の議長、副議長との懇談では農業を営む議長から「私たちもこの問題は勉強して分かっている。大丈夫だよ」と心強い言葉をもらっていました。
12月議会には2町のほか、遠軽町と佐呂間町にも意見書を提出。遠軽町では継続審議になっています。婦人部長は「2自治体で採択を勝ち取れてうれしい。やってみないと分からないね」と喜びを話しています。婦人部では「今後も白色を選ぶ事業主の実情も理解してもらうため、青色申告と白色申告の違いをしっかり説明できるように学習していこう」と話しています。
議会で請願趣旨説明・今後も説明や学習に力を=静岡・藤枝
静岡・藤枝民主商工会(民商)婦人部は12月9日、藤枝市議会へ提出した「『所得税法第56条廃止』を求める意見書提出を求める請願」について、総務文教委員会で請願趣旨の説明をしました。
婦人部の副部長は「主要先進国では家族従業者の働き分を必要経費と認め、人格、人権、労働を正当に評価している。国連の女性差別撤廃委員会からも第56条に異議が出されている」と発言。議員からは「子どもの保育園入所が難しくなるという理由が分からない」と質問が出され、「白色申告の専従者は給与として認められない。働いている実態がつかめないこともあり、保育園に入園することに弊害がある」と訴えました。
「青色申告にすれば、専従者給与として給与をもらうことができる規定が所得税法第57条にある」という意見には、「14年1月からの白色申告の記帳義務化で青色と白色の記帳はほとんど変わらなくなった。青色申告は税務署の裁量によって取り消しすることができ、弊害が大きい」と説明しました。
他にも「所得の分割を抑えるため56条が必要では」との質問には、「親族間の取引であっても、第三者取引と同様に取り扱うべきである。ただし、親族間取引における恣意性による所得分割を排除するために、対処方法として法人税法第36条の2と同様の規定を所得税法にも設けることで対処が可能である」とする税務大学校研究部教官の論文を紹介して説明しました。
家族従業者への人権問題についても訴えましたが、討論では請願趣旨に対する質問や意見より「青色申告にすればいい」との意見が強調されました。結果は賛成議員2人、反対4人で否決でしたが、今後も議員への説明や学習に力を入れていきます。
全国商工新聞(2015年1月19日付) |