所得税法56条廃止求め静岡県婦協が県と懇談=静岡
静岡県連婦人部協議会(県婦協)は8月20日、静岡県くらし環境部・男女共同参画課と所得税法第56条(注)について懇談しました。23人が参加し、2月から婦人部員を中心に第56条廃止への思いを集めた「私のひとこと」をもとに、業者婦人の生の声を届けました。
くらし環境部長は「男女共同参画という意味で、働き分が認められないのは確かにおかしい」と発言。同席した県職員も「明治時代からの家父長制度の考え方が残っていることに驚いた。人権として考えると大変な問題だ」と語りました。
清水民商婦人部のSさん=下着小売=は「隣の店で仕事すれば給料が認められ、自分の家の商売では認められないのはどう考えてもおかしい。地域の業者が地域を見守る機能も低下してしまう」と訴え。県側は「確かにそうだ。家族を従業員として捉え地域活性化に結び付けるにはどうしたらいいか」と理解を示しました。婦人部員たちが「地域の業者が営業を続けられるよう、住民が地域の店や業者を使う施策ができないか」「地場産業や伝統工芸の多くは家族経営が支えている。それらを守るためにも56条は廃止を」と要望すると、県側が「人権問題だけでなく、地場産業や地域経済を家族経営が支えているという面をもっと強調してはどうだろう」とアドバイスする場面もありました。
参加した浜松民商婦人部のIさん=美容=は「創業する時、女性だからと融資を断られた。こうした差別がある限り、娘に商売を継げと簡単に言えない。56条廃止を実現したい」と決意を新たにしていました。寺田恵美子県婦協会長は「それぞれの地元で自治体や議員と懇談するなど、まずやれることから取り組みましょう」と呼びかけました。
(注)所得税法第56条
業者婦人など家族従業者の「働き分」を必要経費として認めず、申告の仕方で不当に差別するもの。
白色申告では、配偶者は年間86万円、その他の家族は50万円の控除しか認めておらず、社会的にも経済的にも自立できない状況を生んでいます。
世界の主要国では「自家労賃を必要経費」として認め、家族従業員の人権・人格、労働を正当に評価しています。
全国商工新聞(2014年9月22日付) |