活用しよう就学援助制度
新しいランドセルや制服に心を躍らせる子どもたちの姿が見られる季節が近づきました。各地の民主商工会(民商)婦人部では、入学準備に必要な費用を助成する「就学援助制度」の活用を呼びかけています。生活保護基準が引き下げられたことに連動し、就学援助制度にも悪影響が出ている中、民商婦人部では、制度の改善や拡充を求める運動にも取り組んでいます。
就学援助制度は、「すべて国民は…ひとしく教育を受ける権利を有する」「義務教育は、これを無償とする」とうたっている憲法26条に基づき、小・中学生のいる家庭に学用品費や入学準備金(新入学児童生徒学用品など)、給食費などが補助される国の制度です。対象は、生活保護を利用する「要保護者」と生活保護に準じる経済的に困難な「準要保護者」です。
2005年度から就学援助への国の補助金が削減され、国庫補助の対象が生活保護世帯と要保護世帯に限り、準要保護世帯は地方交付税(地方の一般財源)で措置されています。
また、生活保護基準の引き下げが2013年8月に実施され、就学援助や最低賃金、住民税非課税限度額の算定などに連動し、就学援助の対象範囲が狭められる懸念があります。それに対し、援助を受け続けられるように動いた自治体もあります。例えば、生活保護の1.2倍で就学援助を支援していた東京都世田谷区では、援助の対象外になった世帯が今まで通りの援助が受けられるように実施概要を改正しました。
支給内容
国が補助を出す項目と額の目安は、表の通りです。自治体によっては、独自で補助項目を増やしたり、国の補助額に上乗せして支給しているところもあります。東京都墨田区では、メガネ、コンタクトレンズの購入代(上限2万200円)、中野区では、修学旅行費は上限6万5000円まで支給、小中学校卒業記念アルバム代は上限1万1000円まで支給されます。
手続き
申請は市区町村の教育委員会に直接申請する方法と、学校を通じて申請する方法があります。申請用紙と前年分の所得を証明するものなどが必要です。民商婦人部では、子どもたちのプライバシーを守るために市区町村に直接申請を求めて、地域の他団体と共に要請行動をしています。しかし、自治体によっては直接申請を認めず、受付窓口を学校に一本化する動きが年々強まっています。
申請は制度上、一年を通じて、いつでも受け付けることになっていますが、在学生が前年度の12月から3月、新入生は4月と時期を決めている自治体もあります。年度中途の申請であっても、4月にさかのぼって支給させる運動が大切です。
支給方法
教育委員会が銀行振り込みで保護者に直接支給する方法と、現金や現物を学校を通して渡す方法がとられています。学校を通す方法は、子どもたちに負い目や差別感が生まれ、心を痛める子どもが少なくありません。銀行振り込みを要求していくことが大切です。
支給が早い市区町村でも6月以降となっているため、入学準備金が必要な時期に間に合いません。近年では、給食費や教材費などの学校集金の未納が増えていることから、保護者に渡される就学援助費から未納分を差し引いた残額を支給する自治体も増えています。
長引く不況や生活費にまで食い込む重税の下で、就学援助申請は昨年、過去最高の15万世帯となっています。教育の機会均等を確保するため、国の責任で就学援助に対する補助の増額を求めていくとともに、集団申請、制度充実と改善の運動を広げましょう。
運動で成果 3割が制度活用=神奈川
神奈川・大和民主商工会(民商)婦人部も加盟する「就学援助制度をすすめる会」では毎年4月、大和市内にある全28校の小学校の入学式に、就学援助制度を知らせるビラを配る宣伝行動に取り組んでいます。
また、対市交渉も行い、生活保護基準の引き下げ後も変わらずに援助が受けられるように、自治体の予算を使うなど改善を求めた結果、「当面は、維持していく」と市から回答を得ています。
長年、取り組んできた運動の成果もあり、大和市では、就学援助制度を活用している世帯が小学校で約3割、中学校でも3割を超える高いものとなっています。
制度を活用する内装リフォーム業の会員は「進級や進学の説明会で必ず制度の申請書などが配布されることで、安心して活用することができる。民商婦人部をはじめとする多くの人の運動で、活用しやすくなってきている」と語っています。
全国商工新聞(2014年2月3日付) |