所得税法56条廃止求め国会議員要請=全婦協
「所得税法第56条を廃止に」「消費税増税の阻止を」-。全商連婦人部協議会(全婦協)は2月20日、衆参両院議員に要請を行い、10県婦協から業者婦人ら61人が参加しました。地元選出の議員を訪問し、不況に苦しむ実態を突き付け「消費税が上がれば営業が続けられない」と切実な思いを訴えました。報告集会では、要請行動の結果や日ごろの運動を交流しました。
要請書と実態調査アンケートを手渡す大石会長(中央)と河井副会長(左)
実態調査示して
来年の4月に消費税増税がされようとする中での議員要請は、「大好きな商売を消費税につぶされたくない」「私たちの働き分を認めない56条は廃止」と全国の民主商工会(民商)婦人部員が駆け付け、「2012年全国業者婦人実態調査アンケート」結果を手渡しながら要請しました。
全婦協副会長で福島県婦協会長の河井千代恵さんは、福島から選出の玄葉光一郎衆院議員(民主)を訪問。対応した秘書に「地震、津波、原発事故と被災地の業者は今も苦しんでいるのに、消費税が上がれば廃業は目に見えてる」と話し、増税の中止を求めました。さらに、実態調査アンケートの結果を示しながら、「約1万人の自営業で働く女性の実態が集約されている。56条があるために働き分が認められていない。86万円という全額は最低賃金に満たない額。経費として認められないというのは人間として見てもらえないということ」と訴えました。
千葉県婦協は、業者婦人の一言を集めた「国民の声を聞いて下さい」という資料を作成して参加。椎木保衆院議員(維新)を訪問しました。坂本良子県婦協副会長は対応した秘書に「地元、鎌ケ谷の中小業者の実態を知っていますか」と尋ねると、「業者の目線に立つことが大切なんですね。鎌ケ谷に戻ったら地域の中小業者を回ってみる」と答えました。
自治体請願強め
報告集会では、大石邦子会長があいさつ。「全国362自治体で56条廃止を求める採択がされている。この運動に引き続き取り組むとともに、業者の経営努力を無にする消費税増税を中止させる運動を広げましょう」と呼びかけました。
日本共産党の大門実紀史参院議員が情勢報告をしました。「56条廃止、増税中止は国民の声であり運動が大事。自治体請願の成果は、超党派で採択されることで大きな力になっている。地域の女性団体にも56条廃止への共同を広げ、自治体請願数をさらに増やそう」と激励しました。
3人で参加した群馬県婦協の参加者は「今回の議員要請を機に、地元の事務所にも継続的に要請に行く」と発言。神奈川・厚木民商婦人部は前日の19日に、1021人分の56条廃止署名を愛川町の議会議長に提出したことを報告。「地元議員と一緒に町民など800軒以上を訪問し、署名を集めた。必ず町議会で採択させたい」と発言しました。
▼所得税法第56条とは
日本の所得税法は、業者婦人など家族従業員の「働き分」を必要経費として認めず、申告の仕方で不当に差別するものになっています。白色申告では、配偶者は年間86万円、その他の家族は50万円の控除しか認めておらず、社会的にも経済的にも自立できない状況を生んでいます。
世界の主要国では「自家労賃を必要経費」として認め、家族従業員の人権・人格、労働を正当に評価しています。
全国商工新聞(2013年3月4日付) |