所得税法56条廃止 「勉強したい」県が回答=愛知
愛知県婦人部協議会(県婦協)は2月21日、愛知県男女共同参画室と10年ぶりに懇談しました。県婦協から加藤三重子会長=飲食=をはじめ10人が参加しました。男女共同参画室からは牛嶋早苗室長と中野里美室長補佐が対応。56条問題で共感が示されました。
懇談の冒頭では牛嶋室長は「あいち男女共同参画プランから自営業者の女性施策が抜けてしまい、がっかりさせてしまいました」と発言しました。さらに原因を調査した結果を報告。「多くの意見が男女共同参画室に届いていたものの、認識が甘かったと思う。次回のプランの作成申し送りファイルにしっかり残す」と約束しました。
前向きな意見
参加者から「何度も商売をやめようと思ったけれど、多くの人に支えられて続けている」などの実態を訴えました。56条問題では「息子が事業を継いでくれているが、56条があるために、家族従業員の働き分が認められずにいる」と現状を訴えました。
牛嶋室長は「所得税法第56条の問題を知りませんでした。胸に迫る話を聞き、女性が元気に生きいきと暮らせるために何ができるかを勉強したい」と述べ、中野室長補佐も「実家が何代も続く商店です。皆さんの話を聞き、母の姿を思い出しました。できることを一緒に考えたいです」と前向きな意見を述べました。
抜けを指摘し
愛知県男女共同参画室はこの10年、県婦協との懇談の要請に対し、「調整機関なので回答ができない」「同じ団体で年に2回も懇談できない」と断り続けてきました。しかし、昨年12月の愛知県母親連絡会と男女共同参画室との懇談で斉藤ミチヨ副会長=古鉄商=が「あいち男女共同参画プラン2011―2015」から、「自営業者の女性施策」が抜けていることを指摘し、懇談を申し入れて実現したものです。
加藤会長は「前向きな発言を聞くことができ、いい懇談が持てました」と語りました。
▼所得税法第56条問題
自営業者は、配偶者とその他の家族が一緒に働いている場合、その給与は事業所得などの必要経費として認められていません。どんなに長時間働いても事業主の所得から控除される働き分(自家労賃)は、配偶者は年間86万円、家族は50万円にすぎず、社会的にも経済的にも自立できない状況を生んでいます。
世界の主要国では「自家労賃を必要経費」として認め、家族従業員の人権・人格、労働を正当に評価しようとしています。
全国商工新聞(2012年3月19日付)
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