所得税法56条廃止へ 「さらに詰めて考える」 財務副大臣回答=全婦協
所得税法第56条廃止を求める自治体決議が全国に広がっています。全商連婦人部協議会は(全婦協)10日、所得税法第56条廃止の早期実現と消費税増税の中止を求めて、財務省と懇談するとともに国会議員への要請と、国会内集会を開きました。藤田幸久財務副大臣は56条問題について「さらに詰めて考えるよう指示する」と一歩踏み込んだ回答をしました。行動には首都圏から80人が参加しました。
財務省の藤田副大臣(右)に要請書を手渡す大石全婦協会長(左)と参加者
財務省との懇談には10人が参加。大石邦子会長は「現在、全国343自治体で56条廃止を求める意見書が採択されている。働いたことに対して対価を払うという問題だけではなく、人権問題として運動している」と強く訴えました。
藤田財務副大臣は「実情は把握している。具体的に56条をどう対応していくかを省内で検討する」ことを明らかにしました。
この間、56条問題については国会でも取り上げられてきました。09年には、与謝野馨財務大臣(当時)が参院財政金融委員会で日本共産党の大門実紀史参院議員の質問に対して「研究する」と約束していました。
参加者は「専従者控除の86万円が所得と見なされ、交通事故に遭ったときの生命保険の補償日額も2300円と低く査定される。これでは、安心して商売ができない。私たちの人権を認めてほしい」と実態を訴えました。
懇談には日本共産党の大門参院議員が同席しました。
議員要請で参加者は、地元の国会議員を訪問。茨城県連婦人部協議会(県婦協)は、民主党の小泉俊明議員本人に、651人分の56条廃止への請願署名を手渡しました。小泉議員は「中小業者のために頑張る」と紹介議員になりました。日本共産党の紙智子参院議員は「商業や農業に関わる婦人たちの人権問題として取り組みます」と激励しました。
参院内での集会であいさつをする大石全婦協会長
仲間増やして
参議院会館で開かれた国会内集会では、大石会長が「春の運動で仲間を増やし、56条廃止と消費税増税阻止の運動を強めよう」と呼びかけました。日本共産党の大門参院議員が国会情勢と56条廃止についての国会論戦を報告し、「全国の自治体の過半数の採択を」と激励。さらに、消費税増税阻止のたたかいで「皆さんの署名や駅頭宣伝の運動が政府を追い込んでいる。増税を許さないたたかいがさらに必要」と訴えました。
▼所得税法第56条問題
自営業者は、配偶者とその他の家族が一緒に働いている場合、その給与は事業所得等の必要経費として認められていません。長時間働いても事業主の所得から控除される働き分(自家労賃)は、配偶者は年間86万円、家族は50万円にすぎず、社会的にも経済的にも自立でいない状況を生んでいます。世界の主要国では「自家労賃を必要経費」として認め、家族従業員の人権・人格、労働を正当に評価しています。
全国商工新聞(2012年2月27日付)
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