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  トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第2897号 10月5日付
 
婦人部
 

全国業者婦人の実態調査

 全商連婦人部協議会は、「全国業者婦人の実態調査」を4月から6月まで実施しました。3年ごとに実施している大規模な調査で、今回が12回目。8825人から回答が寄せられました。駒澤大学の吉田敬一教授がその結果について解説します。

 アメリカ発の国際的金融不況が日本経済を直撃する中で、中小商工業の存立基盤は大きく掘り崩されました。しかし他方では「好きな商売を続けたい」という志を胸に秘めて、業者は日々必死の経営努力を続けています。
 全商連婦人部協議会が今年4月から6月まで実施した、09年全国業者婦人の実態調査では、危機の実態が如実に示されている一方、活路打開の新たな可能性も明らかになりました。その一端をご紹介しましょう。

赤字経営が51%副業で生活守る

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 今回の消費不況は中小業者の営業を直撃しています(図1)。所得が200万円未満の階層は3年前と比べて12ポイントも増えているのに対して、500万円以上の階層は8ポイント減少しています。赤字経営は過半数の51%に達しており、売り上げ減はとくに零細な白色申告経営で目立っています。

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 地域別では近畿、業種別では料理飲食の落ち込みの大きいことが注目されます。モノづくり関連(製造、下請け、建設)では、1カ月の就労日数で10日未満の営業が16%にも及んでおり、仕事減と低工賃のダブルパンチにあえいでいます。その結果「営業収入だけでは生活できない」は3軒に2軒という高率に達し、副業で営業と生活を守る業者が少なくありません(図2参照)。
 こうした中で政策支援要望に関して、「企業支援」の項目が初めてベスト5に入ったこと、経営努力では「取引先の開拓」や「同業者の共同」など、攻めの戦略に取り組む業者が少なくない点は評価されます。

消費税転嫁向上56条の認知進む

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 消費税は業者の営業を苦しめている大きな要因ですが、税の転嫁状況は改善されています(完全転嫁は03年調査の38%から45%へ向上)。もちろん規模別・業種別・地域別にばらつきはありますが、業者の経営力強化の反映と見ることができます。
 また先進国では例外的な自家労賃否認の問題に関して、業者婦人の運動の高まりの結果、所得税法第56条を「知っている」と答えた業者は58%で、06年調査の19%を大きく上回っています。経済のグローバル化の中で中小業者の役割が終わったから苦しいのではなく、経済・金融・税制の政策が業者を無視した形で実施されていることが危機の原因です。図3が示すように欧米の中小業者が安定した発展の道を歩んでいることからも、中小業者の社会的意義に確信を持ち、正当な政策的扱いを要求することが必要です。

健康面変わらず営業環境改善を

 業者婦人・女性事業主は、営業の担い手であるとともに、家事・育児あるいは介護など二重三重の負担を抱えています。心身の健康問題は相変わらず改善されておらず、3人に2人は体調不良・病気持ちです。
 これに資金繰りや仕事確保などのストレスが加わると取り返しのつかない事態に陥る危険性を調査結果は示しています。
 しかし業者婦人の生活上の要求の多くは勤労女性や主婦の要求と重なる点も多く、地域を基礎にした共同の運動を強め、業者の社会的役割の認知度を高めることも不可欠な課題です。
 総選挙ではアメリカ追随の自公政権にノーが宣告されました。持続可能で幸せな社会づくりの基本は、個性的な地域社会づくりです。
 地域特性を生かした「地産・地商・地消」の担い手は地域に根ざした中小商工業です。この調査結果を土台にして、運動の到達点をしっかりと固め、地域・業種・規模別に見られる問題点・課題の特徴を踏まえて、営業環境改善運動に取り組みましょう。

   
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