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  トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第2892号 8月24日付
 
婦人部
 

国連女性差別撤廃委員会で56条の不当性を訴え

 国連女性差別撤廃委員会(CEDAW、注)が7月20日から8月7日までニューヨークの国連本部で開かれました。7月20日から3日間は日本政府にかかわる審議が行われ、日本からの45団体84人が傍聴。全商連婦人部協議会(全婦協)の大石邦子会長、牧野由子事務局長も参加しました。審議では所得税法第56条の問題も初めて取り上げられ、業者婦人の人権を否定する法律であることが国際的にも明らかになりました。

日本政府に強烈な批判 全婦協もレポート提出

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所得税法第56条の廃止を委員にアピールする大石会長と牧野事務局長
 日本政府への審議が行われた23日、委員の一人、プラミラ・パッテン氏(モーリシャス)は「家族従事者の必要経費を認めないという所得税法第56条はマイナスのイメージを女性に与えると思うが」と質問しました。しかし、内閣府男女共同参画局の岡島敦子局長は「具体的な記帳が行われていない限り、必要経費に認めることはできない。青色申告をすれば必要経費として認められる。56条は不合理でない」とひどい回答をしました。
 ほかの委員は「経済大国の日本でなぜ女性差別撤廃が進まないのか。成果を具体的に報告するように」と追及。旧日本軍の慰安婦問題にも質問が集中しました。「法的に解決済み」と繰り返す外務省に対して、委員から「それでは不十分だ。日本政府は、この問題を避けず、誠実に正面から取り組むべき」と強烈な批判が突きつけられ、女性差別撤廃に対する日本政府の施策の遅れが、あらためて浮き彫りになりました。
 審議に先立ち、20日には女性差別撤廃委員会主催で、各国のNGOから差別実態を聴取する会議が開かれました。
 全婦協は事前に「所得税法第56条が人権を侵害している」ことを示したレポートを提出し、廃止の勧告を求めました。全婦協を含めた日本の45団体から出されたレポートをまとめ、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)を代表して大谷美紀子弁護士が女性差別の実態を報告しました。
 22日の昼休みにはJNNC主催で、NGOの主張を聞いてもらう会を開き、CEDAWの委員11人を招きました。全婦協も加盟する日本婦人団体連合会(婦団連)を代表して平野恵美子さん(新日本婦人の会国際部長)が「共同報告」として所得税法第56条や年金、後期高齢者医療問題などを報告。全婦協の大石会長と牧野事務局長は「家族従業者の労働に対する報酬(給料)を認めない所得税法第56条は差別法規として廃止すること」と英文で大きく書いたメッセージを掲げ、委員にアピールしました。
 プラミラ・パッテン氏は「所得税法第56条の否定的影響はどうなっているのか」と質問。平野さんは「家族従業者の報酬(給与)を必要経費として認めていない。収入のある自立した存在になれず、所得証明書を受け取ることができない。そのため、さまざま不利益を被っている」とスピーチし、全婦協は具体的な例を示して文章で回答しました。
 CEDAWは、今回の審議を踏まえ、日本政府への勧告などを含む「最終見解」を8月中に発表します。

 (注)女性差別撤廃条約(CEDAW)とは
 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(公定訳)の略称。1979年12月18日、第34回国連総会で採択されました。企業や家庭などあらゆる領域で差別をなくし、法律だけでなく規則・慣習・慣行などの是正を求め、母性保護も規定しています。
 09年7月現在、国連加盟国196のうち締約国は186カ国です。日本は1985年6月25日に批准しました。
 女性差別撤廃委員会は、この条約に基づいて条約実施の進行状況を検討するために設置されました。23人の委員によって構成され、条約参加国から提出される条約実施状況についての定期的な報告書を審議します。日本政府の取り組みが審議されるのは今回が6回目。審議結果を「最終見解」でまとめ、報告国の評価や今後取り組むべき勧告などを行います。


経験今後に生かす
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CEDAWを傍聴する婦団連加盟の団体代表らとともに団連前で、大石会長(左から4人目)、牧野事務局長(同5人目)
 今回、国連で所得税法第56条の問題が審議されたことに、大変元気づけられました。国内での運動に弾みをつけます。
 私たちは56条の問題を書いたメッセージを高く掲げてアピール。その効果もあって、委員から「所得税法はどうなっているのか」との質問があり、問題点が明らかになりました。日本政府に対して同条廃止を求める勧告をと願っています。
 委員からは、日本の教育、雇用、従軍慰安婦への謝罪、ジェンダー問題などすべてに対して大変厳しい批判が相次ぎました。
 東京都知事の“ばばぁ発言”は「日本女性のみならず全世界の女性への差別」と強く批判されました。
 この貴重な体験をこれからの運動に生かし、56条廃止に向けてさらに運動を強めたいと思っています。
   
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