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トップページ > 婦人部 > 全国商工新聞 第2828号 4月28日付

婦人部
 
  所得税法56条は廃止せよ
事業継承しやすい仕組みを
きめ細かい支援大切

国会で質問した吉井英勝議員と全婦協役員らが懇談
 
   日本共産党の吉井英勝衆院議員は9日、衆院経済産業委員会で中小企業の後継者問題を取り上げ、事業継承しやすい仕組みの整備とともに、親族への給与を必要経費として認めない所得税法56条の廃止を求めました。全商連婦人部協議会(全婦協)の大石邦子会長ほか、呼びかけに応えて埼玉・千葉・東京・神奈川の役員ら26人が傍聴しました。

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全婦協の役員ら(奥)が傍聴するなか、56条の廃止を訴える吉井英勝衆院議員
  吉井議員は「中小企業の後継者難は『ものづくり』の継承など日本経済にとって深刻な問題になっている。中小企業事業継続円滑化法案=下段に別項=では、相続税の猶予期間の弾力的運用など、きめ細かい支援が大切」と甘利明経産相をただしました。
  全商連青年部協議会(全青協)が07年に行った全国業者青年実態調査を引用し、「業者2世の6割以上が事業継承を望んでいる。事業の担い手である青年の働き分を正当に認めてほしいという声が多数上がっている。アメリカやイギリスなどでは業者2世や配偶者に支払う対価はどうなっているか」と質問。川北力審議官は「各国において(家族および第三者への給与は)必要経費として控除が認められている」と回答。
  吉井議員は「働き分を認めるのは世界標準だ。必要経費に算入しない所得税法56条は家制度のなごり。一人ひとりの個人の人格を尊重する人権意識が向上した現在の観点からすると、実態に合わない」と追及しました。
  さらに、高知県議会が56条廃止の意見書を全会一致で採択したことを紹介。全婦協のリーフも使って母親の所得証明書がなく保育所入所が困難、交通事故の所得保障でも家族従業者は日額2300円しか認められないという事例を挙げ、「56条廃止を含め、人権にかかわる不利益を受けない仕組みを検討するこことが大事だ」と迫りました。
  甘利大臣は「税制度の理屈を整理した上で形態を考えることは、あらゆる税制で取り組んでいく」と回答しました。
  傍聴した全婦協役員らは質問を終えた吉井議員と懇談しました。
  大石会長は「56条問題と合わせ青年の実態も取り上げられ、とてもよかった。地域から運動を積み上げていくことがいよいよ大切だと実感しました」と発言。「埼玉県の最低賃金679円に比べても白色申告配偶者の時給相当分358円は低すぎる」(埼玉県婦協)、「婦人の実態調査を渡しているが、県は56条問題を取り上げない。質問は大いに励みになる」(神奈川県婦協)、「業者婦人の実態調査2010人分を集約したが、パートで働く業者婦人が増えるなど本当にひどい実態」(東婦協)などが出されました。また「今後、56条問題にしぼって県に意見書を出したい」「事業主の自家労賃を認めさせるように運動していきたい」と抱負を伝えました。
  吉井議員は「皆さんの発言に逆に励まされた。今後も大いに取り上げていきたい」とさらに頑張る決意を述べました。

中小企業事業継続円滑化法案とは
  地域経済を支える中小企業の経営者が次の世代に事業を引き継ぐ環境を整えるため、相続による株式分散を防ぐ特例などを盛り込み、10月からの施行予定。09年度に予定される相続税の改正(事業承継税制の抜本拡充)の基礎となるものです。
  親族らで経営する同族企業が多い中小企業は、相続税を払うために資産を売却するなど、会社の存続に支障が出る場合があります。中小企業経営者の相続税に対しては、現行の措置として事業用宅地で課税の評価額を80%減額、非上場の株式では、株式総額が20億円未満の企業を対象に課税価格を10%減額しています。
  09年度に予定される相続税の改正では、対象を270万社程度ある中小企業全体に広げ、株式の軽減幅を80%に拡大し納税を猶予します。5年間の事業継続や雇用の8割以上の維持などが大幅軽減の条件。後継者が死亡するまで株式を持ち続けると、猶予分が免税となる仕組みです。
  全商連も事業承継税制の創設を掲げてきました。
  今回の「円滑化法案」では、後継者に経営権を集めるため、生前贈与する株式を、遺産として親族が最低限受け取る権利である「遺留分」から除外できるよう、民法の特例を創設。経営者の交代で必要になる相続税などの資金調達のため、政府系金融機関が中小企業の代表者に融資できる仕組みも整備します。
 
     
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