全会員調査を力に自治体交渉=大分県連
大分県商工団体連合会(県連)は、「経営・暮らし・健康の向上」全会員調査を会員比43・2%にあたる911人分(2日現在)を集めています。県内の民主商工会(民商)では、会員との対話を広げ、調査によって明らかになった切実な要求の実現に向けた機敏な取り組みも始まっています。
会員95%分の調査もとに 市長に国保税下げ迫る=日田民商
日田民商は、全会員調査に積極的に取り組み、会員の約95%分を集めています。
調査を通じてこれまで把握できていなかった会員の国民健康保険(国保)税の滞納実態が明らかになりました。これを受けて前民商会長の後藤兵進さんが会長を務める「国保を良くする会」と共同で1月30日、原田啓介日田市長と懇談し、中小業者の実態を訴え、国保税引き下げを求めました。
平均7200円の国保税引き上げに対し、「消費税が8%に増税され、国保税も上がり生活が苦しくなっている」と訴えました。そして(1)資格証明書の発行中止(2)短期保険証は1カ月単位でなく3カ月単位に(3)滞納処分は、滞納者の実情を十分調べた上で親身に対応すること-を求めました。
原田市長は「今日出された皆さんの要望に添えるよう、可能な限り努力します」と答えました。
差し押さえ実態つかみ 交渉で延滞金を半減
県南民商では、全会員調査の対話で、電気工事を営む会員が固定資産税を滞納し、差し押さえられていたことが判明。臼杵市と交渉し、延滞金の減額を実現しました。
この会員は世代交代し、息子さんが事業を営んでいます。一線から退いた会員は早くに妻を亡くし、一人暮らし。脳梗塞で入院したこともあり、介護が必要な状況で、年金生活の大きな負担となっていました。
国保税の支払いは続けてきましたが、固定資産税の滞納が本税58万円、延滞金19万円あり、“葬式費用のために”とためていた100万円の定期預金を差し押さえられたことが、息子さんとの対話で分かりました。民商と対策を話し合い、市納税課と交渉。固定資産税の滞納額は支払うが、延滞金については、市の対応や説明が本人に伝わっておらず、市としても本人の体の具合や介護状況などの把握が不十分だったと指摘し、減額を求めました。
市は2月16日、「本税には減免制度の条例はあるが、延滞金には減免制度がない。しかし実情も伺ったので、本税の条例を準用して延滞金を減額したい」と提案し、延滞金はほぼ半額に。「市は、一人で話した時には事務的だったが、民商と一緒に交渉すると全然違った。減額もでき、全会員調査を記入し、民商に相談して良かった」と息子さんは喜んでいます。
全国商工新聞(2015年3月16日付) |