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「構造改革」に審判を
「自公政権の構造改革に審判を下し、中小業者が希望を持てる新しい政治をめざして」―。麻生太郎首相は7月21日、衆院を解散し、総選挙が8月30日投票(18日公示)でたたかわれます。いま、国民・中小業者の間には自公政権を変えたいという要求が渦巻いています。自公政権が終わった後、どんな政治を進めるのか、今回の総選挙ではそのことが鋭く問われています。
業者が希望持てる政治に
「仕事がまったくなく、5月の売り上げは数万円。先の見通しが立たない」「朝、夜と清掃のアルバイトに出て工場の家賃を工面している」「これまで必死で踏ん張ってきたが、もう限界。廃業を考えている」―。昨年秋以降、製造業をはじめ下請け業者の仕事が一気になくなり、中小業者は「100年に一度の経済危機」といわれる厳しさに直面しました。
構造改革が原因
そもそも、日本経済がこれほどの危機に陥っている最大の要因は、自公政権が外需で大もうけをする大企業を最優先で応援する「構造改革」路線を続けてきたからにほかなりません。
小泉政権は「構造改革なくして景気回復なし」「官から民へ」をキャッチフレーズに郵政を民営化し、社会保障を切り捨て、地方への国庫補助金を廃止・縮減、交付税の見直し、不良債権の早期処理などを相次いで強行。国民・中小業者に耐え難い痛みを押しつけてきました。
下請け切り捨て
小泉政権後も自公政権は構造改革を引き継ぎ、将来が明るくなるどころか、格差と貧困を広げました。昨年秋以降、輸出頼みの日本経済のもろさがはっきりと表れました。
前年まで空前の利益を上げていた大企業は、今回の危機を乗り越えるために、下請け業者や派遣労働者をバッサリと切り捨てたのです。
大企業には手当
ところが、政府はこうした大企業の姿勢を正すどころか、「大企業には大盤振る舞い、国民には1回限りのバラマキ」と批判された緊急経済対策を打ち出しました(09年度補正予算)。
総額は約14兆円、史上最大の規模ですが、多くは借金でまかない、そのツケは消費税増税で国民に回そうというもの。対策の柱は「エコカー」「エコ家電」など。大企業の強い要望に応えたもので、「非常に強力な経済対策だ」(御手洗富士夫・日本経団連会長)と財界から絶賛されるほどです。
海賊対策を口実にした自衛隊の海外派兵の経費まで盛り込みました。
麻生首相で最悪
一方、麻生太郎首相は今回の経済危機から立ち直るには「全治3年はかかる」と言っていましたが、政府の「月例経済報告」(6月)では早くも「景気底打ち」を宣言。しかし、中小業者には景気回復の実感はまったくなく、むしろ事態は厳しくなっているのが現状です。
日本経済が行き詰まり、国民・中小業者が将来への展望を見失う下で、「自公政権はもうごめん」「退場を」と有権者の怒りが噴き出したのが、7月の東京都議選。「政治を変えたい」との思いが民主党に集まりました。
民主も構造改革
しかし、民主党もこれまで自民党と競って「構造改革」を推進、消費税増税を唱えてきました。「官僚政治打破」とは言っても大企業優先の「構造改革」の転換を言おうとはしません。
「構造改革」にも消費税増税にも、一貫して反対してきたのは日本共産党です。
どの党伸ばせば
今回の総選挙は自公政権を終わらせるとともに、新しい政権が誕生したときに、どういう方向で日本経済を立て直すのかが問われる歴史的な選挙になります。
輸出頼み大企業中心の経済から、中小業者を守り消費者の懐を温めて景気を回復させるのか、日本の経済の仕組みそのものを大転換させると同時に、どの党を伸ばせば、困難を打開し希望の持てる国のあり方を示せるのか、選択が迫られています。
痛み押しつけた竹中氏
竹中平蔵経済財政政策担当大臣(当時)は、経済財政諮問会議が出した「構造改革プログラム案」(01年5月31日)について次のように語っています。
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「小泉改革の痛み」を企画した週間ダイヤモンド(01年6月16日号)と竹中平蔵経済財政政策担当大臣のインタビュー |
「構造改革なくして景気回復なし」というのが小泉総理の強い意志です。そのためには、これらのプログラムをトータルパッケージとして、同時に進めていく必要があります。国民も、このままでは将来、はるかにひどい状態になると直感しています。
まず、失業者と離職者は違うということです。今回の改革で発生するのは、あくまでも一時的に職を離れる離職者です。離職者が発生しても、構造改革によって、それを上回る新しい雇用を作り出すことが可能だからです。確かに生産性の低い所から高い所へ資源を移転させるわけですから、痛みは生じるかもしれません。しかし、それはあくまでもプロセスに過ぎず、改革によって必ず将来は明るくなるのです。
都市銀行の破綻懸念先債権、12・7兆円を最終処理することで発生する離職者数は数万人から10万人程度だと考えています。
「構造改革」競った民主党
民主党(当時の代表、鳩山由紀夫氏)は、01年の参院選の届け出ビラ1号には「民主党は『構造改革』に賛成です」と大きく打ち出しています。
「同じ改革でも中身が違う」と、不良債権の最終処理など構造改革を競っていました。その責任は免れません。
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