7月29日に投開票された参議院選挙で、自民・公明与党は過半数割れに追い込まれました。自民党は37議席と改選議席を27議席減らし、公明党は4人の現職議員を落選させるなど国民の厳しい審判が下りました。全国革新懇代表世話人の三上満さんと、立正大学の浦野広明教授に参議院選挙の結果をどう見るかを聞きました。
「9条守れ」が底流に
全国革新懇代表世話人 三上満
参院選で国民は安倍政権に対して、はっきりとノーの審判を下しました。
この審判は、安倍首相の不人気といったものがもたらしたのではありません。それは小泉内閣以来続いてきた、国民いじめ、大企業・財界奉仕の「改革」路線に対して、国民が根本的に下した審判です。「政治を大本から変えよう」‐。これが今回示された国民の意思です。
「国民の生活第一」を掲げた民主党が、その願いを受け止める形になりましたが、この国民の意思を真に実現しようとするものにしか未来はないことも明らかです。
自民党はマニフェストの第1に憲法「改正」を掲げながら、争点にすることすらできませんでした。選挙公報では比例35候補のうち、「憲法改正」を掲げているのは2人だけでした。
「憲法隠し」という点では民主党も同じです。それは、憲法を変えるな、9条守れの国民の意思が底流に大きく流れていることを示したものです。
参院選の審判の本質をしっかり読み取り、暮らし、平和を守る運動を大きく広げましょう。
税金原則破壊を拒否
立正大学法学部教授 浦野広明
選挙民は日本国憲法の税金原則を破壊し続けた自公政権をはっきり拒否する成果を生みました。
公明党(神崎代表=当時)は99年10月に自民党小渕総裁の呼びかけに応じ政権に参加しました。自公政権の下で、配偶者特別控除の原則廃止(04年分から)、消費税法の1000万円免税点等の改定(04年4月1日以後開始から)、65歳以上の公的年金等控除の引き下げ・老年者控除の廃止(05年から)、定率減税の半減(06年から)・同廃止(07年から)、個人住民税の税率を一律10%化(07年度分から)などの改悪がなされました。
憲法は、負担能力に応じた税金の取り方と、税金は福祉に使うことを国政に命じています。この実現は選挙における意思表示なしにはできません。企業献金をもらっているひも付き政党にはできないことです。日本には企業献金・政党助成金に頼らない政党が存在します。このことをもっと重視すべきです。
悪政がいつまでも続くはずはありません。現状に一喜一憂せず、民主的な税制の担い手として頑張りたいものです。
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