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  トップページ > 中小施策のページ > 国会 > 全国商工新聞 第3045号 10月29日付
 
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復興予算の使途ただせ! 全中連が政府交渉

 全国中小業者団体連絡会(全中連)は18日、金融円滑化法の延長、原発被害の完全賠償、復興予算の増額、国保滞納による機械的な強制徴収の中止など45項目の多彩な要求を掲げ、中小企業庁、金融庁、財務省など9省庁と交渉しました。岩手、宮城、福島の被災地の業者など110人が参加。交渉に先立つ集会で国分稔・全中連代表幹事は「悪政を進める民自公の政治と国民の運動がせめぎ合っている。この交渉で大いに発言し、具体的な成果をかちとろう」と呼びかけました。

消費増税実施 経済状況も考慮=財務省

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網谷政務官(左)に申し入れる全商連の鎌田副会長(中央)ら

 網谷信介財務大臣政務官が応対した財務省交渉には、鎌田保・全商連副会長や宮城県気仙沼市から7人が参加しました。日本共産党の大門実紀史参議院議員が同席しました。
 鎌田副会長が、中小業者の営業と暮らしを破壊する消費税増税の中止や、福島原発事故に伴う損害賠償金をすべて非課税とする特別立法の制定を求めたのに対し、網谷政務官は「(増税は)デフレなどの経済状況を考慮するのが大事だと感じている」「賠償金の課税については調べさせていただく」と答えました。
 参加者が「復興予算が被災地に届いていない。被災地の復興に役立つよう使途を見直すべきだ」と迫ると、網谷政務官は「しっかりやっていかないといけない。こじつけと思われるものも確かに認められた」と述べました。
 気仙沼市の業者が「グループ等補助事業を継続してほしい」「平成23年度のグループ補助事業の認定において、来年3月31日までに工事が完了しない事業者が出ているので、補助金を取り上げないようにしてほしい」と求めました。網谷政務官は「復興については最重要事項。私の方からも働きかけたい」との姿勢を示しました。
 金融円滑化法の延長について、網谷政務官は「延長はしない方針だが、金融機関には円滑化法の下でと変らない対応を求める」と答えました。

グループ補助等 予算化を約束=中企庁

 経済産業省・中小企業庁交渉では、橋沢政實代表幹事が復興予算が被災地外に流用されていることなどを批判し「今こそ日本の中小企業行政をつかさどっている中小企業庁の出番。日本経済をどうするか。参加者の声に耳を傾けてほしい」と訴えました。
 宮城県気仙沼市、岩手県一関市の参加者らは、復興予算の使われ方について「とんでもない話」と怒りを込めて批判。1業種1地域と限定したグループ補助金の制限撤廃と6次を含めた予算の拡充、事業年度内に終了できない補助事業についても特例措置を講じること、小規模事業者を対象にした補助制度の創設などを強く要望しました。
 原発賠償問題では、東京都北区の業者が土地売買のため顧客から検査を求められたことから、放射線測定器を購入、その代金の賠償を東電に求めたところ「ゼロ回答」だったことに触れ、「経産省にも原発事故の責任の一端はある。行政として東電を指導すべきだ」と怒りを込めて告発しました。
 金融円滑化法の延長問題では、埼玉、静岡の参加者がすでに売掛金の差し押さえや貸し渋りが行われるなど、金融機関が期限切れをを見込んだ対応を始めている実態も伝えて、再延長とともに金融支援の強化を求めました。
 グループ補助について、中企庁は「6次の募集については予算要望をしたい」と回答。原発賠償については「賠償についての『中間指針』や運用についての問題点について被害業者の意見も聞き、政府・東電にも是正を申し入れてほしい」との要望に対し、「そうしたい」と答えました。

「改正」国税法実施 税務調査は納税者の協力前提=国税庁

 国税庁交渉では、「改正」国税通則法の実施(来年1月)に伴い、税務調査は納税者の協力と承諾の下に行うよう徹底すること、税務運営方針を徹底することなどを迫り、国税庁側に「調査は納税者の理解と協力を得て行う」ことを確認させました。
 「岡山県笠岡税務署の職員が、白石島の民宿業者たちの事務所に勝手に入り込んで机の引き出しを開けたり、金庫の現金を数えるなどの違法調査を行った。民宿業者の承諾なしに反面調査もしているが、『理解と協力を得る』との国税庁の回答に反している」(岡山)と、不当な実態を告発し是正を迫りました。
 庁側は「勝手に入り込むことはやってはならない。長官に伝える。事実関係を確認した上で国税局に指導していく」と約束しました。
 「納税意思のある滞納者への納税緩和措置を積極的に行うよう」との求めに対しては、庁側は「納付意思がある納税者が一括納付が困難な場合、分納を認める。換価の猶予や滞納処分の執行停止に沿う事実が認められれば適正に処理する」と回答しました。
 また、福岡県飯塚税務署が税務調査中で税額が確定する前であるにもかかわらず、納税者に「国税の予納申出書」へ署名・押印をさせ、300万円を一括納付させた不当事例の是正を求めたことに対しては、「修正申告前に税金を納めるということは通常ない」とし調査を約束しました。

建設業許可 社保加入条件にせず=国交省

 国土交通省では東日本大震災の復旧・復興事業の地元中小企業へ優先発注や公共工事の設計労務単価の引き上げ、社会保険加入を建設業許可の条件にしないことなどを要望しました。
 建設業許可について省側は「社会保険加入を条件にしない」と回答。参加者は「単価が切り下げられる中で、社会保険に加入したくても加入できない」などの実態を訴えるとともに、「社会保険加入の適用除外となっている個人事業者にも親会社が社会保険の加入を指導している」(兵庫)、「一人親方が国民健康保険や国民年金の加入までチェックされ、回答していない業者名を張り出している」(千葉)など元請け業者の誤った指導が明らかになりました。
 また、「元請けに社会保険に加入していないことを報告したところ、仕事が入ってこなくなった」(埼玉)などの事態も報告されました。
 こうした問題が起きているのは、同省が「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を示し、下請け業者の社会保険加入の責任を元請け業者に負わせようとしているからで、参加者はガイドラインの見直しを強く求めました。
 省側は「現場が混乱しているのは認識している。元請け業者の誤った対応は指導する」と回答しました。
 参加者は「法定福利費が代金の中に確保されなければ社会保険に加入することができない。法定福利費が下請け業者まで行き渡るような仕組みをつくるべき」と再度要望しました。

貸付円滑化へ金融機関を指導=金融庁

 金融庁では期限が来年3月に迫っている金融円滑化法の再々延長と実効性ある二重ローン対策などを要請しました。
 省庁側は金融円滑化法について「終了の方針に変わりはない」と述べ再々延長はしない立場を固持。一方、「貸し付けを円滑に行うようにするのは金融機関の本来的役割で、その姿勢は変わらない。法が終わったからといって条件変更前に戻すということがないよう指導する」と明言しました。
 参加者は「印刷業の下請け単価は2年前の3分の1になり、景気はずっと悪くなり続けている」(東京)、「条件変更して払ってきたのに突然変更前に戻せと言われた。できないのなら預金を凍結すると言われた」(兵庫)、「条件変更をして返済してきたのに、納得できる理由もなく売掛金を差し押さえられ倒産させられた」(埼玉)、「円滑化の終了は二重ローンに苦しむ被災事業者にも大打撃」(宮城)などの実態を訴え、円滑化法終了の方針見直しを強く迫りました。また、条件変更中の企業に円滑化法終了がどう影響するか、金融庁の試算と見解を示すよう要請しました。

保険料徴収 ひどい対応は調査・指導=厚労省

 厚生労働省では、社会保障制度改革推進法の廃止と消費税増税の中止、国保料(税)や社会保険料、国民年金などの徴収には憲法や税法に基づく誠実な対応を行うことなどを要請しました。
 担当者からは「消費税は社会保障の充実のためのもの」「保険料は必ず払っていただくもの。滞納徴収は適切に行われている」などと答えるなど、要請を真摯に受けとめる姿勢が見られず、参加者の怒りが噴き出しました。
 「国民年金滞納の納付相談で『死ぬか破産すれば払わなくて済む』など暴言を吐かれた」(石川)、「社会保険料滞納者が納付猶予の申請を希望しても『そんな用紙は置いていない』と言われた」(兵庫)などの実態を告発。「厚労省の言うことと現場で起きていることはまったく違う。現場への指導はどうなっているのか」など同省の姿勢を正しました。
 省側は「ひどい対応については事実関係を調査し指導したい」「後日調査結果を連絡する」と回答しました。参加者は「今までも『指導する』と言ってもまったく改善されていない。厚労省の姿勢に根本的な問題があるのでは。中小業者の実態は深刻なだけに命と健康を守るという厚生労働省本来の立場に立つべき」と強く要請しました。

就学援助の改善 神戸市指導を約束=文科省

 文部科学省では、就学援助制度の申請先を学校に限らずに、教育委員会や自治体に申請できるように窓口を広げること、関連文書などは児童に手渡すのではなく、保護者へ郵送すること、3月中に申請を受け付け、認定時期を早めること、中小業者の所得確定は直近3カ月の収入で確定することなどを求めました。
 兵庫県からの参加者は「30年以上、教育委員会へ直接申請を行ってきた神戸市が、2年前から新システム導入を理由に、直接申請を受け付けなくなった。振り込み明細は学校を通じて配ると一方的に通告してきた」「子どもが教室で担任から名前を呼ばれ、クラスメートの前で明細書を手渡されるなど、配慮がなく子どもたちの心を傷つけている」と実態を訴えました。
 文科省は「文部科学省の通達42号(2009年3月11日付)に基づき、保護者や児童、生徒に配慮が欠けているようであれば、県の教育委員会を通して神戸市に指導する」と約束しました。また、「震災の影響を受け、間接的被害で対象児童が増え、支援が必要な家庭が制度を活用できるように引き続き周知徹底を行う」と回答しました。

税徴収や駐禁取締 改善を要請=総務省・警察庁

 総務省交渉では市県民税の徴収に関わって「税金逃げ得は許さない」と特集を広報で組んだ千葉県香取市の事例や、窓口に警察や税務署のOBを任用していることを告発し、丁寧な相談と適切な対応を地方自治体や地方税滞納整理機構に指導するよう求めました。
 省側は「都道府県税務課長・市町村課長の会議で滞納処分にあたっては個別事情を踏まえて対応し、差し押さえは納税者が著しく窮迫する場合は執行停止するよう指導している」と回答。全国各地で起きている人権侵害の実態に対しては「機械的な徴収はあってはならない。個々の具体的な事情を把握することにつきる」と答えました。
 警察庁には違法駐車取り締まりについての改善を求め、すべての警察署、交番、駐在所で「駐車許可申請手続き」が受けられることなどを要望しました。

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来年1月29日に決起集会

全中連が幹事会開く
 省庁交渉に先立ち全国中小業者団体連絡会(全中連)は、12年度の幹事会を開きました。業者団体の代表ら40人が参加。1年間の活動を振り返るとともに、消費増税阻止、納税者の権利を守る運動、原発ゼロをめざすと同時に再生可能エネルギーの利活用を進めていくこと、来年1月29日に東京・日比谷公会堂で中小業者決起大会を開催することを確認。国分稔代表幹事ら新役員を選出しました。

全国中小業者団体連絡会(全中連)とは
 全国商工団体連合会(全商連)、全国保険医団体連合会(保団連)、全国FC加盟店協会、全国貸本組合などで構成。今月2日に40周年を迎えた。中小業者の要求を総結集し、中小業者決起大会を毎年開催している。


全国商工新聞(2011年10月29日付)
 
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