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公取に下請2法の徹底など要請


全商連と全労連は6月20日、以下の「申入書」の内容で要請をおこないました。公取側の回答と懇談の内容は別項のとおり。


公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課 御中
不公正取引、下請代金法違反の実効ある改善指導、規制強化に係る申入れ


 全国労働組合総連合議長 坂内三夫
 全国商工団体連合会会長 国分稔

 下請中小企業の振興・競争力強化、企業取引の公正化のために、下請二法の徹底をはじめ業種別ガイドラインの策定、公正取引強化月間など貴職のご奮闘に敬意を表します。

 私たち全労連(21単産・47都道府県・130万人)と全商連(47都道府県・26万人)は日頃より共同しながら、中小零細企業の経営環境の改善や、雇用の確保、地域経済の振興、地場産業の育成、まちづくりなどの課題を追求しています。

 ところがこの間、米国経済の影響による景気の減速、地域経済の停滞がひろがり、中小企業をめぐる経営環境は以前にも増して厳しい状況となっています。とりわけ、@原油をはじめ素材・鋼材などの急激な値上がりに歯止めがかからず、取引価格に上乗せできない状況がつづき、A親会社・取引先からの定期的な下請単価の引き下げ圧力も経営を圧迫しています。

 こうしたことから、主要大企業が6期連続で「業績拡大」を更新し、5期連続の「史上最高益」を更新しているなかで、中小企業と地方経済では規模別格差、地方格差がひろがり、ワーキングプアを生み出す一因にもなっています。事態を憂慮する内閣府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」では、この問題の解明と対応策に着手しているところです。

 私たちも事態改善のために、調査・研究や意見交換を重ねてきたところですが、企業取引の公正化、下請中小企業の振興・競争力強化のためには貴職の一層のご尽力が必要と考え、以下のような改善策について申し入れるものです。関係職員におかれましてはご多忙中のことと存じますが、よろしくお取り計らいのほどお願いいたします。
     


1.独占禁止法、下請二法の厳格な運用について
@下請中小企業への一方的な発注の停止・削減、単価の切り下げなど、優越的地位を濫用した親企業の不法・不当な行為についは、独占禁止法、下請二法(下請中小企業振興法&下請代金支払遅延等防止法)にもとづき、厳格に規制すること。
A今日の原油の急騰をはじめ、鋼材、材料費の値上げを適切に取引価格に反映できるよう、実態に即した行政指導をいっそう強めること。
B緊急事態に陥っている中小トラック運送業者を救済するため、「燃料サーチャージ」については、航空、海運の事例との整合性を重視した国土交通省の行政指導を尊重するとともに、経済団体、荷主団体への指導を徹底すること。

2.独占禁止法、下請二法の法改正について
@書面交付義務(下請代金法第3条)違反の罰則を強化し、書類作成保存義務(同5条)を延長すること。
A違反行為の予防を図るために「勧告」(同7条)を原則とする運用に改め、「必要な措置」を積極的に勧告し、被害救済と原状回復を図るようにすること。「勧告」に従わない事業者には行政処分もできるよう制裁規定を盛り込むこと。
B不公正な取引方法に対する罰則については「賠償金」方式を採用し、実効性を高めること。
C小規模事業者(10人未満)が協議して決める「協定料金」(カルテル)などは、独占禁止法の適用除外として配慮すること。

3.成長力底上げ戦略推進円卓会議との連携について
@内閣府の成長力底上げ戦略推進円卓会議で言及されている「最低賃金を引き上げるための雇用・労働政策の一体的運用」を実現するため、最低賃金引き上げ分を下請単価、取引価格に適正に反映させるよう、行政指導を強めること。

2008年6月20日


【回答と懇談の内容】

開催月日 2008年6月20日(金)午前11時〜12時10分
場  所 公正取引委員会 会議室
参 加 者 中山眞・全商連常任理事、渡辺、中島・全労連、藤好・建交労副委員長、三木・JMIU書記長
応 対 者 取引課課長補佐

《回答》 時間の関係で1について絞っての交渉となりました。

@について:19年度の下請法違反に対する勧告は13件、役務委託等における違反8件(うち道路貨物運送分野における違反7件)と過去最多になっている。勧告でいくより迅速・簡易に紛争を解決し早期に現状回復をはかるメリットを重視し「警告」が多くなっている。

AB、「サーチャージの導入をしなさい」「基準となる燃料価格を示す」などというのは公正競争を阻害するので、公取委としては難しい。しかし、合理性があるにもかかわらず転嫁を認めないのは「買い叩き」に当たる場合もあるので、監視強化をしていきたい。ガイドラインの普及・啓発には引き続き努力していきたい。

*参加者から実態調査などに基づき是正を求める声が会いつきました。
・価格交渉をしても『転嫁』が認められず、過積載や長時間労働などの引き金になっている。
・競争が激化するなかで、ますます状態は悪化している。
・働いても食えないという25条に違反する状態を拡大させることが「公正競争」の意図ではない。一方で「濡れ手で粟」の大もうけが放置され、他方で底なしの競争が強いられている。異常事態だ。国として健全なルール確立へ緊張感をもった対処を求める。

以上

   
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