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新潟県に震災救援で要望(07.8.2)
新潟県商工団体連合会は7月31日、新潟県に「中越沖地震被災者救援・中小業者の商売再建と、商店街の再生・再建に関する緊急の要望書」を手渡し、要請をおこないました。対応した神保和男副知事は「できるものはすみやかにやりたい」と回答しました。要望書(全文)は以下のとおり。
中越沖地震被災者救援・中小業者の商売再建と、商店街の再生・再建に関する緊急の要望書
新潟県商工団体連合会 会長 能登惣五郎
日頃から県民生活の安定と中小業者の商売・くらし、地域経済の振興などに心をくばり、ご努力されていることに敬意を表します。また、この度の中越沖地震対策で被災された県民・中小業者の安全と生活支援などでご努力されていることに対しても感謝申し上げます。
3年前の中越大震災の記憶も覚めやらぬ7月16日午前10時13分、中越沖を震源地とする震度6強の強烈な地震は、柏崎・刈羽を中心に県内各地で深刻な被害をあたえています。今回の地震被害は、震源地が柏崎原発に最も近いところで発生した地震であること、柏崎市の中心市街地などの家屋の倒壊も多く、地域の経済を支えている商店街などの被害が深刻なことなど中越地震と違った特徴を持っており、原発の放射性物質の放出や放火体制も取られていない問題なども明らかになり、住民の不安も大きく、風評被害は全県の観光地、漁業などにも大きな影響を与え、地域の再生・再建にはこれまでにない特別の支援が必要かと思います。
ライフラインの回復が遅れており、最も暑い季節を迎えており、中越大震災の教訓も生かして、高齢者などに配慮した支援体制が求められています。災害ゴミの処理をどうするのか、被害判定がどうなるのかなどもあり、倒壊した住宅・店舗等の片付けなども出来ないでいる被災者も多く、見通しを含めて情報を早く伝えて、復旧に向けても被災者が踏み出せるようにすることが求められています。
被災地では多くの中小業者が自ら大変な被害を受けながらも、お客でもある地域の被災された住民を励まし、住民の生活を支えるために献身的な努力をされ、積極的な役割を果たしています。
多くの中小業者が住宅の被害だけでなく、店舗・工場が大きな被害を受け、商品・製品の被害も大きく、商売・営業を再開し、再建していくためには大きな困難があります。中越大震災に引き続いて被害を受けている業者も多く、国・県・自治体の大きな支援がなければ商売の再建は困難な状況にあります。
「余力が尽きている。自治体の大きな援助がなければ、商売の継続は困難」「この壊れ方をみるともう一度という気持ちになれない」「今ある借り入れ金がしばらく返済しなくてもよくなり、利子もいらない、数年間据え置きの長期の資金でもあれば…」など、あまりにもダメージが大きく、商売再開の意欲を失いかけている人や「廃業」を決めたという人もすでに出てきています。地域の商店街の再生・再建、地域から中小業者が消えてしまえば、地域の再生はありません。
国や県が従来の慣例や前例にとらわれないで、被災された中小業者がその被災を乗り越えて商売の再建に踏み出せるような希望の持てる抜本的な支援策を緊急に行ってください。
1、緊急な生活再建のための支援について
@家屋の全・半壊、一部損壊、工場・店舗などが地震で被害を受けた世帯に対する「緊急生活支援一時金」を県として早急に給付すること。特に、店舗・工場の被害も対象にいれること。
A全壊・大規模半壊などの被災者に対し、所得制限などの制限を設けず、県独自で全壊400万円、半壊200万円、家財等の損壊などの被災者には100万円までの助成を緊急に行うこと。
また、中小業者の工場・店舗などの全壊・半壊に対しても住宅に準じた助成を県独自で行ってください。
国の「被災者生活再生支援法」と関係なく、県独自の施策として行ってください。
*国・政府に対し「被災者生活再建支援法」を所得制限や年齢制限などを廃止し、被害の程度に応じ、無条件に適用するように強力に働き掛け、法律改正を待つのではなく、運用の中で直ちに実行するように要請してください。
また、その運用を中小業者の店舗・工場についても準用できるように改善し、実施を要請してください。
*災害救助法における「住宅の応急処理」について「所得等の要件」などを廃止し全世帯が受けられるようにすると同時に費用の限度を少なくとも200万円まで引き上げるよう国に働きかけてください。
そして被害認定を急いで行い、被害者が住宅の応急修理に着手できるようにし、被害者が地域の知り合いの業者に依頼した場合も適用できるようにしてください。
B倒壊した家屋、店舗・工場・作業所などの解体・除去費用等について、個人や自治体まかせにせず、被災者負担ではなく県が責任を持って行ってください。
*被災した建物の中にはアスベストを含んだ建材が使用されているものもあり、専門的な知識を持った業者などに頼らなければならないものもあり、すべて被災者の負担となった場合は解体・撤去も費用の点でも出来ない人もでてくることになり、放置すれば周辺に二次災害を広げることになりかねません。二次災害が広がらない万全の体制を自治体任せにしないで県として講じてください。
*住宅の倒壊等の解体・撤去を自治体で責任を持つという自治体でも倒壊した中小業者の店舗・工場、農家の作業場などは対象にしないところがほとんどで、そのままでは中小業者は廃業することになり、地域の経済を復興させることにはなりません。中小業者の店舗・工場、農家の作業所等について解体・撤去費用を県の大きな援助で関係自治体と共同し、中小業者が商売継続の希望の持てる支援策を講じてください。
C家屋の診断(補修・補強工事などで住めるのか、取り壊しが必要か)が出来る専門家を自治体と協力し災害地に派遣し、被災者がトラブルに巻き込まれないように急いで対応してください。
2、中小業者の営業再建に向けての支援策について
@被災にあった中小業者の事業の再建のために「中越沖地震災害対策緊急特別融資」(仮)を従来の融資と別枠で様々な条件をつけないで無条件に借り入れが出来る制度として直ちに創設してください。
特別融資は、融資限度額七千万円、三千万円までは無担保・第三者保証人なしで、据置き期間5年、返済期間15年以上、無利息、信用保証協会の保証料の負担なしの緊急融資にし、中小業者が希望の持てる融資制度にしてください。
*金融機関等による業者の選別・貸し渋りがおきないように、自治体の被災証明があれば、県信用保証協会を窓口にして「斡旋保証」とし、必要とする中小業者が確実に利用できる制度にしてください。
*この制度の融資を実行した取扱金融機関から実行状況の報告書の提出を求めるようにしてください。
* 「風評被害」は全県の観光地、それに関連する中小業者に影響を与えており、そうした中小業者も利用できる緊急融資として急いで具体化していただきたい。
A既存の県の制度融資について返済期間を3年以上延長し、「3年間程度の据置きが出来るものとする」措置を取り、希望する中小業者が返済の凍結、返済猶予などが無条件に出来るようにしてください。
*据置期間の「利子補給」も県が行って支援してください。
B県内のすべての金融機関に対し、住宅ローンを含め中小業者向け貸付金の返済に対する凍結・返済猶予など中小業者が申し出たら無条件に相談に応じ、中小業者の希望にそって抜本的措置が取られるように県知事として要請文書を各金融機関に出すなど緊急に対応し、国に対する要請も緊急に行ってください。
*金融機関及び関係機関に対し、プロパーの融資、既存のローン等についても返済猶予措置など親身になって相談できるように県として強力に要請してください。
*経営が困難に追い込まれた中小企業が国の「産業再生法」などによって、既存の金融債権等の「大幅な減額措置」や債権を「ゼロ」にすることなどで、企業が継続できるようにする中小企業支援策が国の施策として行われておりますが、今回の震災による中小業者の経営困難は、個々の業者の営業努力とは関係なく自然災害によって経営が困難に追い込まれたものであり、そうした中小業者・中小企業こそ、既存の金融債権などを「ゼロ」にするなどして商売の再建が図れるよう、二度の大震災を経験している県として強力に国に働きかけをしていただきたい。
C返済凍結や返済猶予などをした業者が、今後の取引で不利益を受けないように、金融機関に対する要請と合わせて国や関係機関に対する要請を県として行ってください。
D今回の震災のために休業を余儀なくされている中小業者が生活が維持できるように県独自の「災害休業補償金」(仮)を実施してください。
*被災した企業で働く労働者に対し、操業再開までの期間の失業給付を「災害特別給付」として別枠ですぐ受けられるように国に働きかけてください。
E今回の震災で下請け業者が発注先企業から契約不履行などで損害を請求されたり、仕事が打ち切られるなどの心配があります。県知事として業界団体などに要請するとともに、国に対しても働き掛けを強めるようにしてください。
県の相談窓口も充実させ、相談があった場合、当該企業との話し合いなどにも積極的に係わり、中小業者の仕事が継続できる支援を行ってください。
F柏崎市の中心商店街のほとんどが壊滅的な被害を受けており、商店街としての再生のためには「共同店舗」(店舗の建物が続いていない独立した店舗も含めて)などを県や自治体で建設して商店街に提供するなど思い切った支援策を検討して商店街が再生できるようにしてください。
*倒壊した雁木などの再建は、個々の商店の負担とせず、「公的支援」で再生するなど支援策をとってください。
G 「風評被害」に対する特別な対策を県として急いで講じてください。
H 全国から寄せられる義援金の配分に当たって、中小業者の店舗・工場等の被害も考慮に入れて配分するようにしてください。
2007年7月31日
新潟県知事 泉田裕彦殿
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