【抗議声明】
「特定秘密の保護に関する法律案」の閣議決定に断固抗議する
2013年10月25日
全国商工団体連合会
会長 国分 稔
安倍自公政権は、本日、「特定秘密の保護に関する法律案」(以下、法案)を閣議決定した。日本国憲法が保障する基本的人権を侵害する治安立法など断じて許すことができない。私たちは以下の理由から断固抗議をするとともに法案の提出・審議入りをやめるよう、強く求める。
法案は「我が国の安全保障に関する事項のうち特に秘匿することが必要なもの」を@防衛、A外交、B特定有害活動(スパイ行為等)の防止、Cテロ活動防止の4分野について、行政機関の長が「特定秘密」を指定し、その秘密をもらした公務員や、聞き出すなどの行為者に、最高刑懲役10年の重罰を科するという内容である。
そもそも、行政機関の長が「特定秘密」を一方的に指定すること自体、範囲も期限も歯止めなく広がりかねない。国民には何が秘密であるかさえ明らかにされず、民主主義を根底からくつがえす危険性がある。
さらに、以下のような重大な問題点がある。
- 国民の「知る権利」や報道機関の取材の自由を大幅に侵害しかねないことである。
24日、政府担当者が市民団体との交渉の場で、原発に関する情報も「秘密指定にされうる」と認めた通り、本来、原発事故など国民に公開すべき情報でも政府や官僚の都合で秘密にでき、永遠に葬り去ることも可能になる。国民の生命、生活よりも秘密保護を優先する可能性を認めたもので許しがたい。
- 思想の自由やプライバシーの権利が侵害され、国家による国民監視がすすむ危険がある。
法案は特定秘密を扱う公務員、家族に「適性評価」と称して犯罪、懲戒歴や病歴、飲酒の節度や借金などプライバシーを侵害する調査を義務付けている。秘密を漏らすおそれがあるかどうかを口実に、これが実施されれば、調査する側の一方的な判断で範囲や対象が際限なく広がり、思想調査にもなりかねない。実際、これまでも、防衛庁や自衛隊が市民運動を監視していたことが明らかになったが、こういったことが公然とまかり通ることになる。
- 「特定秘密を取り扱う業務」は、公務員だけでなく、「契約業者の役職員又は都道府県警察の職員」も含まれており、契約業者もともに「適性評価」の対象にされることになる。
「特定秘密」や政令による「特定秘密の取り扱いを行わせる職員の範囲」の定め方次第では、防衛施設の業務を委託・請け負いし、出入りしている一般業者さえも「適性評価」の対象とされ、拒否すれば仕事から締め出されることになる。このようなことは、憲法第22条(営業の自由)のみならず、憲法第14条(法の下の平等)、第19条(思想及び良心の自由)に反する。
民主主義の土台は情報統制ではなく、情報公開にあることは言うまでもない。守秘に値する情報は既に「国家公務員法」などで保護されている。防衛情報については、「自衛隊法」や「日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法」で守られており、屋上屋を重ねる必要はない。
思想調査を制度化するなどは、戦前の治安維持法を彷彿とさせ、秘密警察や相互監視の暗黒社会を復活させるもので断じて許されない。
全国商工団体連合会は、中小業者の営業と生活、諸権利を侵害する悪法の制定を阻止するため全力で奮闘する決意である。
以上
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