【声明】
TPP参加表明に断固抗議する
2013年3月15日
全国商工団体連合会
会長 国分 稔
本日、安倍晋三首相がTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を表明した。これは衆議院選挙での「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対」との公約を裏切るものである。日米共同声明では「全ての物品が交渉の対象」と明記されているように、TPPは非関税障壁を含め例外なき関税撤廃が特徴となっている。それにもかかわらず、「(農産品の)聖域は認められた」「交渉次第では国益を守れる」かのようにごまかすことは国民への愚ろう以外のなにものでもない。
我々は、3つの理由で、TPP交渉参加は断じて容認できない。
第一は、TPPは国民生活と地域経済を破壊し、国のかたちを根底から変えてしまうからである。政府は、TPP参加によりGDPは3.2兆円押し上げる効果があると試算を発表したが、「例外なき関税の撤廃」の恩恵を受けるのは、アジアなどに生産拠点を持つ多国籍大企業だけである。農林水産業の生産額は低く見積もられた政府発表によっても3兆円落ちると言われている。参加は、農林水産など第1次産業でなりたつ地域経済の崩壊を招き、すでに40%弱に落ち込んだ食料自給率を際限なく下落させ、日本の食料を危うくする。震災被災地の復興にも水をさすことは間違いない。
ことは食糧分野だけではない。公共投資の入札など「政府調達」、さらに「保険・医療」の分野の市場開放がねらわれている。中小業者の仕事確保のための官公需法や地元優先発注のルールなどは存続の余地はない。官公需の奪い合いが外資を含め激化し、下請けに対する単価たたきも広がるに違いない。労働条件の悪化も進み、建設業など地域を支える産業にも大きな影響をもたらす。国民皆保険制度もなし崩し的崩壊をまねく。国民の安心・安全・いのちなども危うくし、国のかたち、くらしを根本から覆す。
第二は、TPPが条約でありながら主権放棄にも等しいことである。
TPPは交渉参加前には条文案を見ることができないと言われる。交渉に参加しても、交渉文案、各国提案、説明資料も協定発効後4年間は公表されない。これでは、秘密条約と言わざるをえない。主権者である国民が監視できない、意見も表明できないとすれば、アメリカへの無条件降伏ではないか。
第三は、中小企業の振興をはかり景気回復を求める私たちの要求とまったく相容れないことである。民商・全商連は、先に発表した日本版・小企業憲章(案)で農林水産業との連携や、公正な取引ルールの確立、内需拡大と循環型で地域経済振興をはかるという政策方向を掲げ、国民本位の景気回復のために奮闘しているが、TPP参加はあらゆる分野でアメリカ流のルールを押し付け中小企業の経営の存立基盤を奪い一層の格差拡大を招く。
交渉参加表明はされたが、国会で批准されねば発効はない。衆議院で2分の1以上の賛成がなければ可決しない。自民党だけでも205人の衆議院議員が「TPP反対」を公約しながら当選している。TPP断固阻止のため、国民諸階層とも手を結び、全力を尽くすことを表明するものである。
以上
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