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全国商工団体連合会「営業動向調査」2009年上期(速報)
調査時期:2009年03月01日〜31日
有効回答:755人(調査対象1656人・有効回答率45.6%)
1、09年上期営業動向調査のポイント
(1)売上動向−経済・金融危機の影響 急激にひろがる
売上動向は06年上期を頂点に悪化し続け、09年上期はいっそう悪化度合いが強まっている。前年同期比で売上が「増加した」割合はついに5.0%(08年下期8.2%)にまで落ち込んだ(以下、文中のカッコ内の数値は08年下期の数値)。「変化なし」は18.3%(22.7%)、「減少した」は76.7%(69.1%)、売上DI(前年同期比で売上が「増えた」割合−「減った」割合)では▲71.7(▲60.9)と、08年下期より10ポイント以上の急落である。なお、「減少した」内、「減5割以上」が12.2%(6.1%)と、1割を越える業者が深刻な売上減少に悩まされている。
(2)利益動向−8割が売上・利益減「5割以上」も倍増
売上動向を反映して利益動向も深刻である。利益が「増加」した割合が3.8%(4.7%)、「変化なし」は16.2%(20.5%)と下降し、逆に「減少」は80.0%(74.8%)と8割に達した。利益DI値(前年同期比で利益が「増えている」割合−同「減った」割合)も▲76.2(▲70.1)と売上DI同様に悪化している。利益動向でも「減少した」内、「減5割以上」が13.2%(7.3%)と、まさに危機的状況である。
(3)原材料・商品の仕入れ値動向および単価・マージン動向
08年下期までは原油・原材料の高騰で仕入値は上昇を続けていたが、経済・金融危機を受けて、仕入値DI(前年同期比で原材料・商品の仕入れ値が「上がった」割合−同「下がった」割合)は52.7(80.4)と、急落した。同時に、単価・マージンの下落も激しい。販売単価・マージンは全体で「上がった」が5.7%(11.2%)と半減する一方、「下がった」が44.8%(33.6%)と2ケタの増加。単価・マージンDI値(前年同期比で単価・マージンが「上がった」割合−同「下がった」割合)は▲39.1(▲27.7)と、08上期の回復もつかの間、再び下降することとなった。原油・原材料高騰につづく経済・金融危機がダブルパンチとなっている様子がうかがえる。
(4)資金繰りの困難も増加 7割近い業者が困難
「資金繰りの状況」では「余裕が出た」「普通」の合計は29.6%(34.9%)と、3割を切り、調査開始以来最悪の値である。47.9%(45.2%)の業者が「窮屈」と感じており、「見通しが立たない」15.0%(12.3%)、「返済が滞っている」5.4%(6.2%)と、68.3%(63.7%)の業者が資金繰りに困難を感じている。取引金融機関の対応では、「新規融資に消極的」が8.9%(9.0%)、「新規融資拒否」3.2%(4.2%)、「一括返済を要求」0.4%(0.5%)、「担保・保証人の追加を要求」1.6%(1.4%)と、未曾有の金融危機の中、積極的な融資が求められ、政府の資金繰り対策が強められているが、ほとんど改善されていない。
(5)総合的にみた今期の経営
今期の経営動向を総合的に見ると、「良い」2.9%(4.5%)、「普通」12.5%(16.3%)と減少。一方「悪い」は84.6%(79.3%)と8割を超え、総合経営判断DI値(前年同期比で今期の経営が「良い」割合−同「悪い」割合)は▲81.7(▲74.8)と、悪化傾向を強め、ITバブル崩壊時を上回る、過去最悪の状況となった。
(6)次期(09年下期)の経営見通し
非常に厳しい業況を示した09年上期であったが、次期への見通しも非常に厳しい。次期の経営見通しで「良くなる」と答えた業者はゼロであった。「やや良くなる」5.2%(4.8%)、「普通」16.7%(22.4%)は減少。「やや悪くなる」は29.4%(35.4%)と減少するが、「悪くなる」が48.7%(36.3%)と12.4ポイントの増加。経営見通しDI(次期の経営見通し「良い」−「悪い」)も▲72.9(▲65.9)と悪化している。売上も利益も上がらず、資金繰りも困難で非常に厳しい判断をしている。
(7)急激に悪化する金属・機械製造業の業況 経営判断「悪い」が9割超
業種別には金属・機械製造業の業況悪化が際立った。売上DIは▲82.3(▲53.7)と前期比で▲28.6ポイント、利益DIは▲84.9(62.1)と同▲22.8ポイントと、前期から急激な悪化を示している。経営判断DIでは▲91.8と、9割を超える業者が「悪い」と判断。経営上困っていること(上位3つ)に「資金繰り」をあげた割合は36.7%(18.8%)と倍加し、ITバブル崩壊時を上回る、過去最悪の状況。「仕事・顧客減少」74.3%(68.2%)、「低い下請け単価」38.5%(42.4%)も引き続き高水準で推移している。
2、営業動向調査の「ひとこと」欄から
仕事急減に不安、深刻化する下請いじめ、貸し渋りへの怒りが
経済・金融危機を反映して、前回調査より100人ほど多い328人から、切実な「ひとこと」が寄せられた。「仕事が全くなくなった」「ここまで仕事がない状態は記憶にない」など、仕事急減に対する不安の声のほか、深刻化する下請いじめ、銀行・保証協会の貸し渋りの告発などが目立った。
〈金属製品〉
・金型、プレス加工の仕事は、私も仲間も激減している。当社は3月24日現在、注文ゼロで1日も機械が動いてない。40年仕事をしていて初めての事です。
・2月は仕事が全くなかった。親会社も生き残るために、下請には仕事を回さなくなっている。月末に集金に行くと、工場内は必要最低限しか電力を使っていない所がほとんどだった。
〈電気機器〉
・工賃の値上げを申し出て、すんなり認めてくれたのですが、次回から仕事はなくなりました。その代り、別の業者が安い単価で入って来ました。
〈精密機器〉
・2月、3月の仕事量が激減してしまい、親会社(一次下請)も週3日休日。二次下請の私達は、月売上40万→10万に減、年金とバイトで補充しています。
・昨年12月以降、仕事が減少し、売上は半分以下が4ヶ月続いています。回復の見通しもなく、今後が不安でいっぱいです。
〈その他の製造〉
・信用金庫に利子3.5%が高いので、利率を下げるように申し入れをしたが、それは無理と言われた。理由を聞いても、全体のバランス(借入金と担保額)と言うだけではっきりしない。その上、「一括返済を迫らないだけましだ」と言う意味のことを言われた。
〈総合建築業〉
・経営、暮らし、下請単価、その事を考える前に、明日の仕事、来週の仕事をどうしようかで、頭がいっぱいです。今年になって本当に大変です。
・昨年、保証協会に融資申し込みするも、担当者から"あんたとこには貸せない"と高飛車な態度で、"借りても返されへんやろ"とまるで高利貸しに"お金貸して!"と頼んだような返事でした。担当者によって対応が違うのは許されません。又、中小業者を助ける機関なのに、人を見下し、バカにした態度も腹立たしい限りです。
・優越的立場を利用しての業者いじめ。納得いかずとも従うのみ? 自らに現場で働かず口ばかり。ええかげんにせいと思います。下請けは一番弱い。
〈土木工事業〉
・公共事業入札が最低価格の為、そのしわ寄せが下請業者の単価引き下げになっている。最低価格の引き上げをして欲しい。
〈職別工事業〉
・仕事量が激減している。仕事がなくても固定経費はかかるので、年金も支払いに使う有様である。
・仕事が終わってから、支払がしてもらえず、会社もなくなったり逃げられたりと言って、先にお金ももらえないし、家は従業員の支払、材料の支払など困ります。
〈設備工事業〉
・親会社の都合により、仕事がない時などあるので、その休み分の半分でも保障してもらいたい。
・下請で請負すれば、元請から値段を決めて発注するので、仕事の意欲が失われる。市の小規模修繕工事登録の工事の依頼が増えた為、昨年11月頃から今月まで、売上が20〜30%増えました。大変仕事が少ない時だけに助かります。
〈建築設計〉
・消費不況により、企業の設備投資の減少、個人住宅の持家分譲マンション等の着工件数も、北海道では4万戸割れ、ピーク時の40%程度の仕事しかありません。その上に、本州より大手資本のハウスメーカーが北海道に上陸し、地元中小建設業者の仕事がなくなる状態です。住宅建設促進の政策を考えて頂きたい。
・今年の取引先の仕事(建設業)が少なくなったのではなく、全くなくなった。取引先約20社のオーナーすべての声。今までは例外があったがそれもなし。
〈運輸業〉
・仕事が昨年12月から急激に落ち込んで、8割減少しています。利益は前同期比で7割以上も減っています。生活の足しにもならず、妻の給料で何とか生計を立てる状態です。国保料も1年以上の滞納分があります。保険証がもらえないので、保険料は少しずつ払っていますが、なかなか滞納分が減らない。このままでは資金を借りるしかないか! 返済出来るかが心配です。
〈飲食料品小売〉
・私は米屋を営んでおりますが、景気が悪くなり、外食を控えているのか、飲食関係の売上が悪くなっている。特に個人経営の食堂なんかはダメ。得意先がこの3月で2店舗廃業します。
〈金融・保険代理業〉
・代理店手数料を30%以上減らされ、妻のパート収入でも生活費(高1、高3の教育費、86才母の老人ホーム入所料を含む)が毎月足りない。わずかばかりの預金を取り崩して、毎月穴埋めしている。生命保険・火災保険すべて解約した。数年先の生活の見通しが立たず不安だ。
〈不動産業〉
・不動産業(賃貸アパート)競争が激しく、仲介者が安くしないと入居者がない。安くすると経費が多く採算取れない。
〈一般飲食店〉
・営業している時は楽しい。久しぶりのお客様と話したりすると、自営業で良かったと思う。年齢72才、もうやめようかと言いながら、年金が少ないので元気なうちは営業することにした。でも赤字で年金から不足分を繰入れしている。病気になったらどうしようと、不安がいっぱいです。
・高金利融資をしていますので、返済が苦しい。
〈大衆酒場・スナック〉
・とにかく売上がない。金融機関からはいっぱい借入している。返済がやっとで生活費が出来ない。
〈宿泊業〉
・不況のため、取引先、従業員への給料等は、預金、子供の生命保険等を解約して支払っているが、それも底つく。
・例年なら5月連休の予約がポツポツ入る頃、今年は全く問い合わせなし、開店休業状態。
〈専門サービス業〉
・単価云々の前に、仕事がありません。取引先メーカーは、先が見えない事から設備投資を先送りしています。いつまでこの状態が続くのか不安でなりません。今は不足分を生命保険の解約や貯えの切り崩しで補っていますが、いずれ底をつくのは目に見えています。過去の不況の時を振り返ってみても、ここまで仕事がない状態は記憶にありません。
〈洗濯・理容・美容・浴場業〉
・社会保険料及び、分納消費税、住民税源泉の支払いが遅れて来た。08年11年以降売上が10%落ち、支払いが窮屈になって来た。クレジットカードのキャッシングもストップした。(消費税のために、キャッシングで対応して来た)
・50年以上理容業に携わって来ましたが、今回ほどすべてのお客さんから、一気に暇になったと聞くのは初めてです。
〈その他の生活関連サービス〉
・商店街の活力低下。中心街がゴーストタウンになって来ている。
・過去の前年比較で、売上が20%〜30%減った経験がないので、この1〜2月の落ち込みは驚いている。要因をよく分析して対応を考えるが、目下打つ手がなしの感じです。
〈廃棄物処理・修理・整備業〉
・商売をすればするほど借金が増える。こんな商売おかしいと思う。 明日のこと、来月のこと、来年の見通しがつかず、夜中に目が覚めると眠れなくなる。
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