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経済・金融危機突破へ、全商連が「5つの緊急要求」を政府などに申入れ
全国商工団体連合会(国分稔会長)は4月14日、「中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを―経済・金融危機突破への5つの緊急要求―」の提言をまとめ、政府関係省庁や各政党などへ申入れました。全文は以下のとおり。(ワード版)
中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを
―経済・金融危機突破への5つの緊急要求―
世界的な金融危機を引き金に、日本経済は戦後最悪の不況に直面しています。
麻生内閣は、昨年10月以降、原油・資材高騰対策、金融経済対策、2009年度予算を組み、大企業・大銀行への税金投入や定額給付金のばらまきなど、75兆円規模の事業を実施してきましたが、景気は悪化するばかりです。新たに政府が打ち出した15兆円規模の「経済危機対策」は、整備新幹線や高速道路網・港湾の整備などの大型公共工事を復活し、自動車や省エネ家電の買い換えへの助成を行うなど、「100年に一度の経済危機」を大義名分にした大企業支援が中心です。しかも、その財源の大半は赤字国債です。
麻生首相は、2011年度までに消費税増税法を成立させ、赤字国債の穴埋めや法人税減税の財源にしようとしています。
万が一にもそのようなことになれば、中小業者・国民の前途は真っ暗闇といわざるをえません。このまますすめば、中小業者の仕事や資金の確保も冷え込んだ家計を暖めることもできず、直面する経済危機を打開することは不可能です。
いま、求められていることは、世界市場での競争力強化のために一部の輸出型大企業だけを支援し、中小業者・国民の経営とくらしを切り捨ててきたアメリカ追随の構造改革路線の誤りを認め、その転換をはかることです。輸出型大企業や大銀行に社会的責任を果たさせ、中小業者を支援し、地域経済を振興することこそ必要です。
中小企業は全事業所数の9割、雇用の7割を占めています。わが国経済の中心的役割を担い、大企業に負けない、優れた技術・技能を持っています。この中小企業が元気になることなくして危機打開と地域再生はありえません。「持続可能な地域づくり」をめざし、草の根から真の地域経済再生のために、私たちは以下の5つの緊急要求を掲げ、その実現を要望するものです。
1.個人消費を拡大するため、消費税をただちに減税するとともに社会保障予算を大幅に増やし、雇用を守る。
(1)緊急措置として、消費税の税率を3%に引き下げ、免税点を年間売上3,000万円に戻す。
(2)国保料・税を引き下げ、無条件で正規保険証を交付し、窓口負担を軽減する。国保への国庫負担を総医療費の45%に戻す。
*後期高齢者医療制度を廃止し、差別医療をやめる。
*医療費抑制策を転換し、医療・介護崩壊に歯止めをかける。
(3)雇用調整助成金の申込窓口を増やし、給付までの時間短縮、給付期間と日数の延長を緊急に行う。
*小規模・家族経営の事業主には雇用保険への加入を認め、雇用調整助成金や失業給付を支給する。
*大企業の身勝手な解雇を規制し、雇用を守るルールを確立する。
*雇用保険料、労働保険料を大幅に引き下げる。
2.中小業者に必要な資金をまわす緊急対策を実施する。
(1)緊急保証を全業種対象にするとともに、融資することを原則とするネガティブリスト方式にし、保証期間を延長するとともに、据置期間を3年にする。
*日本政策金融公庫の融資姿勢を資金調達困難な中小業者に積極的に融資するという国民金融公庫以来引き継いできた本来の姿に戻し、金利を引き下げ、返済期間・据置期間を延長する。
(2)「貸し渋り」「貸し剥がし」を防止する。
*BIS基準による全国一律の規制をやめる。
*金融機関に融資拒否の説明責任を義務づける。
*信用組合、信用金庫の監督責任は都道府県に移管する。
*融資実行までの時間を短縮するよう、金融機関への監視・監督を強化する。
(3)自治体の「制度融資」の改善・拡充を促し、利息・保証料補助を実施する自治体への財政措置を拡大する。
(4)生活福祉資金を拡充する。生業費は、無担保・無保証人で低利、長期・3年据置とする。
3.自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し、中小業者の仕事を増やす。
(1)公共事業を住民生活・福祉充実型に転換して中小業者の仕事を増やす。
*学校建物等の耐震化や公共施設への太陽光パネル設置工事は分離分割発注で地元中小業者にまわす。
*地元産建材や自然エネルギーの使用をはじめ、小規模工事希望者登録制度、住宅リフォーム助成制度など、地域を主体にした創造的な公共工事への助成制度を拡充する。
(2)受注業者が赤字となる公共事業をなくし、中小業者の受注を増やす。
*地元建設業者への発注を重視する入札改革の実施。
*標準生計費を基準にした設計労務単価を保障する。
(3)中小企業への官公需発注を緊急に70%まで引き上げる。
*「官公需法」を順守し、中小企業の受注分野への大企業の参入を規制する。
(4)地元の中小商店や飲食店での消費拡大をめざし、取扱い事業者に負担金をかけないプレミアム付商品券の普及を促進する。
4.大企業による一方的な下請切りを許さず、「休業補償制度」を創設し、地域産業、下請製造業の生き残りを支援する。
(1)国と大企業の拠出で基金を創設し、下請製造業者の「緊急休業補償制度」を実施する。
*中小貸し工場の家賃をはじめ、下請業者の固定費補助を行い、廃業を食い止め、モノづくりの技術・技能の継承を支援する。
(2)大企業の横暴・違法行為の根絶へ下請法の改正を。
*書類作成保存義務(下請法5条)の保存期間を延長する。
*下請法違反について違反金制度をもうけ、被害金額の3倍を損害賠償として加害企業に課すようにし、被害企業救済を実効性のあるものにする。
*下請振興基準を厳守させるよう、行政指導を強化する。
(3)「環境」「自然エネルギー」分野など、新たなものづくり基盤を担う中小業者の新技術や新製品の開発を支援する。
5.財源は、消費税増税ではなく、不公平税制の是正と大企業の内部留保を活用し、確保する。
(1)税制「改正」法付則に盛り込まれた「2011年度までに必要な法制上の措置を講ずる」という消費税増税計画を中止・撤回する。
(2)大企業の法人税や所得税の最高税率を消費税導入前(1989年)の水準まで引き上げ、証券税制の優遇税率を20%に戻す。
*研究開発減税や海外子会社の配当非課税措置など、大企業優遇税制をやめる。
(3)政党助成金を廃止し、軍事費や大手ゼネコンだけが潤う不要・不急の大型公共工事などの無駄を削る。
(4)株式配当に使われた大企業の内部留保を下請業者支援や雇用確保に活用させる。
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