社会保険料滞納処分「先日付小切手」取り返す=大阪・福島
社会保険料の滞納を理由に、大阪・福島年金事務所から強制的に200万円余りの先日付小切手を切らされるなど不当な処分を受けた福島民主商工会(民商)のTさんは9月27日、納付の猶予を受理させ、小切手も返還させました。Tさんは「小切手が戻り安心した。自分で試算をしたことでよりリアルに経営実態もつかめた」と喜んでいます。
年金事務所の対応ただし
自動車関連の事業所を経営するTさんは9月20日、「30日が期日の100万円の先日付小切手が決済できない」と、民商に相談にきました。
Tさんは年金事務所に納付相談に出向いた際、職員から「滞納をしているあなたは経営者として失格。何を差し置いても社会保険料は払ってもらう」と言われて実現不可能な納付誓約をさせられ、全部で207万円の先日付小切手を切らされました。
Tさんは、優れた技術が認められ、自動車メーカーの2次下請けとして事業を展開してきましたが、大企業による工賃の切り下げなどで経営が悪化。634万円の社会保険料が滞納となっていました。
相談に乗った事務局員は「一緒に納付の猶予を求めましょう」とTさんを励まし、年金事務所と交渉。対応した徴収課長は当初、「納付の猶予の申請はほとんど例がない。猶予となっても1年以内に全額を納付しなければ認められない」と回答。
同席した事務局員が「1年以内に納付できるならば、それは猶予ではなく完納。納付の猶予の意味を曲解している」と抗議し、対応をただすと「申請用紙はすぐに用意する」と変化しました。
申請にあたってTさんは、昨年決算後の収支を確認し、どれだけの金額なら払えるかを試算しました。今年5月から8月までの月の平均売り上げが、前期の470万円から140万円まで減少していることを示すと、徴収課長も納得して納付の猶予の申請を受理。先日付小切手も返還しました。
民商では「道理ある交渉で納税者の権利を認めさせた」と確信になっています。
全国商工新聞(2013年10月28日付) |