全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 金融のページ > 融資等 > 全国商工新聞 第3309号4月23日付
相談は民商へ
 
 
金融 融資等
 

仮想通貨 背景と対策は(下)

経済改善の可能性開化へ 規制の強化は喫緊の課題
 ブロックチェーンを利用した商品や金融の取引は、既存の通貨や金融の法制度の対象外になるために、これまでは有効な規制が行われてきませんでした。言い換えれば、第1回で述べた《正の役割》の意味では、従来の貨幣や金融の仕組みを使わないので、法の網の目にかからなかったのです。
 そのために、詐欺まがいのずさん経営の交換業者が群がって、いまや「仮想通貨」は世界で1400種類以上あり、市場全体の時価総額は100兆円に迫るとまでいわれています。

《改正資金決済法で規制》(注1)
 日本では、「仮想通貨」が初めて金融的な規制の対象となったのは、2017年4月に施行された改正資金決済法です。
 改正資金決済法で「仮想通貨」交換業者は登録制になり、利用者の本人確認も義務化されました。これまでは登録審査中の営業も認めてきましたが、この「みなし業者」も検査し、体制が不十分なら登録を認めないとしています。ただし、資金決済法による規制は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策や利用者保護が中心なので、投機的な活動をあおる交換業者への規制は極めて不十分です。

《厳格な規制を求める声も》
 日本には、日本ブロックチェーン協会や日本仮想通貨事業者協会があります。業者の中からも「このままでは業界全体が信頼を失ってしまう」という声が強まり、ようやく業界のルールづくりや利用者保護にあたることになりました。
 金融庁も、最近の交換業者・コインチェックのNEM流出事件を受けて、交換業者への立ち入り検査を行い、3月には7社に業務改善などの行政処分、4月には3社に業務停止を命じました。
 しかし、「仮想通貨」をめぐる不正が拡大するにつれて、資金決済法ではなく、金融商品取引法の対象にして、もっと厳格に規制すべきだという声も強まっています

《G20では、「通貨」と認めず》
 今年3月に開かれたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)では、「仮想通貨」問題を議論し、共同声明に盛り込みました(別項)。
 発表された共同声明では、「仮想通貨」とは呼ばずに、「暗号資産」(注2)と表記して、「暗号資産は通貨としての主要な特性を欠如している」と明記しています。この点は、日本の改正資金決済法で「仮想通貨」という用語を明記し、その定義をしているのとは対照的です。
 G20声明では「消費者及び投資家保護、市場の健全性、脱税、マネーロンダリング、並びにテロ資金供与に関する問題」が生まれていると指摘しています。そのため「暗号資産」としての活動に対して監視を強め、規制強化の国際基準を整えると述べています。
 しかし、同声明では「暗号資産の基礎となる技術を含む技術革新が、金融システムの効率性と包摂性及びより広く経済を改善する可能性を有している」ことも認めています。
 いずれにせよ「仮想通貨」をめぐる政策的対応は、国際的にも国内的にも、喫緊の課題となっています。

Image

注1 改正資金決済法は2016年5月に成立した「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部改正法」に含まれています。
注2 ちなみに、「暗号資産」は英語では、crypto_assetsと表記されています。
(終わり)

全国商工新聞(2018年4月23日付)
 
   

相談は民商へ
ページの先頭