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  トップページ > 金融のページ > 融資等 > 全国商工新聞 第3308号4月16日付
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仮想通貨 背景と対策は(中)

取引履歴を鎖状に連結 不可視性から不正横行
 「仮想通貨」への期待の背景にあるブロックチェーンという技術について、その基本的な特徴を見ておきましょう。

ブロックチェーンの仕組み
 ブロックチェーンとは、商品や金融の取引をした場合に、インターネットで結びついた取引参加者のコンピューター上に取引履歴(帳簿)を全員で持ち合う仕組みです。
 ブロックチェーンは、商品や金融の取引履歴を記録した多数のデータ(ブロック)を、チェーン状に連ねて保存したものなので、ブロックチェーンと呼ばれます。それはまた多数のコンピューターに分散されて取引履歴が保存されるので、「分散型台帳」とも呼ばれます。
 「仮想通貨」を利用する参加者は、インターネット上で取引業者が管理する「ウォレット」を開設します。ウォレットは、銀行口座のようなものと考えれば分かりやすいでしょう。
 しかし、ウォレットは、銀行口座のようなものといっても、それは政府や中央銀行が価値を保証する紙幣(たとえば日銀券)や硬貨のような貨幣を使うわけではありません。通常は開発者が発行し、特定の仮想コミュニティーの参加者間だけでしか通用しないのです。

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金融規制の対象外で投機が横行
 つまり「仮想通貨」は、第1回で述べたような《正の役割》の意味では既成の貨幣としての規制をまったく受けないという特徴を持っています。もともとネット上の台帳に記載されているだけですから、本来の「貨幣」(第1回でみた貨幣の《正の役割》)とは言えないわけです。
 他方では、ブロックチェーン(分散型台帳)による「仮想通貨」の導入が進むなら、中央集権的なシステムに伴うコストが大幅に軽減されます。伝統的な金融機関の仲介なしにネット上で決済や資金調達が行われるようになり、「究極的には、銀行や証券会社そのものが必要でなくなるかもしれない」などとまで言われています。貨幣の《負の役割》を大幅に改善できる可能性を持っているわけです。
 そこで、「仮想通貨」は、その将来の普及を先取りして、もっぱら「投機の対象」としての役割を果たしているわけです。

ブロックチェーンの不可視性
 ブロックチェーンによる「仮想通貨」の特徴はもう一つあります。すべての決済がインターネット上で行われるために、通常の貨幣による取引や決済に比べて、まったく目に見えないということです。
 この「仮想通貨」の不可視性ということから、不正な取引が横行するという特徴も生まれてきます。たとえば、マネーロンダリング(資金洗浄)や脱税、横領の道具となり、さらにサイバー攻撃の対象にもなりやすいという特徴もあります。

豆知識 ニュートン 貨幣制度の確立に貢献
 経済学にとって、「貨幣」の研究は、大きなテーマの一つです。「貨幣」の謎は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの時代からの難問でした。
 万有引力の発見で知られるアイザック・ニュートン(1642〜1727)も、イギリスの王立造幣局の長官を23年間も務めながら貨幣の研究をしています。当時のイギリスの王立造幣局のあったロンドン塔には、ニュートンが貨幣制度の確立に果たした膨大な資料が残されています。
 ユーラスツアーズ(電話:03-03・6453・6633)がイギリスの旅「『資本論』完成の足跡をたどる」(6月5〜13日)を企画。私も一緒に、ロンドン塔の造幣局跡地などの見学を予定しています。

全国商工新聞(2018年4月16日付)
 
   

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