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  トップページ > 金融のページ > 融資等 > 全国商工新聞 第3307号4月9日付
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仮想通貨 背景と対策は(上)

 コインチェック社という「仮想通貨」の交換業者から「NEM(ネム)」という大量の「仮想通貨」が流出したことから、「仮想通貨」に対する関心が高まっています。そこで、そもそも「仮想通貨」とは何か、その仕組みは? なぜ問題が起きたのか、貨幣政策との関係は? などについて、経済研究者の友寄英隆さんが3回に分けて解説します。

資本主義での貨幣二つの側面
 「仮想通貨」については、さまざまなニュースの報道とともに、その仕組みについても、詳しい解説がなされています。それらを読んでも、いまひとつストーンと胸に落ちるようにわからない方が多いと思います。
 「仮想通貨」の問題がわかりにくいのは、今なぜ急に問題が起きたのか、なぜ「仮想通貨」が投機の対象になったのかということが、あまり理論的に解説されていないからです。そこで、第1回では、少し遠回りに見えるかもしれませんが、資本主義社会における貨幣の役割から考えてみることにしましょう。

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貨幣の「正の役割」
 資本主義社会で貨幣が果たしている役割には二つの側面があります。
 一つは、貨幣によって、商品の価値を測ったり、商品の売り買い(交換)がなされたり、支払いを決済することができるということです。こうした貨幣の機能については、われわれは日常的にお金を使っているので、よく理解できると思います。(別表のA)。
 忘れてならないことは、こうした貨幣の機能は、資本主義社会では、そのまま貨幣資本の機能に引き継がれて、資本の活動にとっても不可欠の重要な役割を果たしているということです。ここでは、それを貨幣の《正の役割》と呼んでおきましょう。

貨幣の「負の役割」
 このように、資本主義社会では貨幣はなくてはならないものですが、しかし、それは、別表の(B)で示したように、「社会的富からの控除」であり、「空費」(無駄)であり、できるだけ少なくてすませられれば、それに越したことはないということです。
 「仮想通貨」の問題が出てくる背景には、こうした資本主義社会で貨幣の果たしている「負の役割」があるからです(※)。

新しい技術
 現在、投機的な対象として問題になっている「仮想通貨」は、こうした資本主義における《負の役割》と深く関わっています。それは、21世紀に入るころから、コンピューターやインターネットの技術が飛躍的に発展し、そこからブロックチェーンという技術が開発されてきたからです。
 このブロックチェーンという技術については、第2回で説明しますが、こうした新しい画期的な技術を社会的に利用できるようになると、資本主義のもとで必要な「社会的空費」(無駄)としての貨幣を大幅に節約できる可能性が生まれてきます。
 そこから、将来の展望を先取りする形で、ブロックチェーンを利用した「仮想通貨」への期待が膨らみ、われもわれもと投機的な資金が群がる異常な動きになっているわけです。すでに「仮想通貨」といわれるのは、世界で1400種類にも上り、参入業者は刻々と増えています。
 また、こうした投機的な動きに拍車をかけているのは、「仮想通貨」に対する国家的規制が各国でほとんど確立していない、放任されているという事情があります(この点は第3回で取り上げます)。
※ 資本主義社会での貨幣の機能については、マルクスが『資本論』の中で詳しく解明しています。

全国商工新聞(2018年4月9日付)
 
   

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