上限額など規制は急務 制度融資拒み誘導も
金融緩和の長期化で銀行が不動産や銀行カードローンに傾斜している実態が浮かび上がっています。近く金融庁が公表予定の「金融レポート」でも「脱・担保依存」が進まず、いまだに融資姿勢が変わっていない実態を踏まえ、「顧客本位の業務運営への是正を求める」と報じられています。
銀行カードローン問題については、日本弁護士連合会(日弁連)が昨年10月、過剰融資の例を示し、消費者金融と同様に「原則年収の3分の1以下」にすべきだとの意見書を全国銀行協会(全銀協)などに提出。同年12月、金融庁が任意の実態調査を開始。今年9月には大手行などにカードローンの検査を行うと公表しました。
こうした動きを受け、9月14日には、全銀協も自主調査と「貸しつけ自粛制度」などの追加策を公表しています。
岩手・一関民主商工会(民商)は、会員からの相談事例(別表)から、「金融機関が制度融資を使わせずにカードローンに誘導している実態」を指摘。「円滑化法廃止後は中小企業とりわけ小規模事業者に対する金融機関の対応は誠実さを欠いている。地域密着型融資なる方向性が絵に描いた餅にならないように、自主規制にとどめず抜本的過剰融資対策と中小企業金融の円滑化がなされるよう強く指導すべき」と求めています。
貸付額の総量規制を=日本共産党 大門実紀史参院議員
この数年、銀行の個人向けカードローンが急速に貸し出しを伸ばしてきました。貸金業には総量規制(利用者の年収の3分の1を超える貸し付けは禁止)がありますが、銀行のカードローンには制限がありません。
金融庁の調査によれば、いまカードローンを利用する一番の理由は「生活費の不足を補うため」となっています。貧困と格差が広がる下で、特に大銀行はアベノミクスの「異次元金融緩和」政策で日銀からジャブジャブに供給されたお金を、生活の苦しい人たちに最高15%もの高金利で貸し付け、食いモノにしているのです。
これがこの間、自己破産が増加してきた主な原因です。
今年3月28日の参議院決算委員会でこの問題を初めて取り上げました。麻生大臣は「かつてのサラ金に代わって大銀行が同じ『手口』のやり方になっている」「貸し付けのエスカレートには危惧を抱いている」と答弁。安倍首相も「大銀行というのは信用があり社会的責任が大きいから自らしっかりと対応すべき」と答えました。
金融庁も早速、銀行業界への指導に乗り出しました。
これらの動きを受け、しぶしぶ全銀協が打ち出した「自主規制」は、今後は過剰貸し付けに注意します程度の努力規定で、なんら実効性のないものでした。その無責任な姿勢は日弁連やマスコミからも厳しく批判され、私も連続して国会で追及しました。ようやく銀行業界も具体的に総量規制や審査の厳格化などを打ち出さざるを得なくなり、金融庁もこの問題だけで特別検査に入るという異例の措置に踏み切りました。
上限金利の引き下げを含めた法的規制を念頭に入れながら、多重債務者をこれ以上増やさないための実効性のある措置を求めていきます。
全国商工新聞(2017年10月23日付) |