低利・安心の公的融資 民商で実現=東京・浦田民商
「事業拡大に必要な資金を」「経営の安定に運転資金がほしい」-。全国各地の民主商工会(民商)は、中小業者の資金繰りの相談に応え、低金利で安心の公的融資の実現をサポート。同じ経営者の目線で、事業計画づくりや金融機関との交渉をアドバイスして借り入れ実現を後押ししています。「獲得した融資を力に、さらに商売に頑張りたい」と喜びの声が届いています。
店舗の移転費用550万円 経営見通しや熱意示し
「ヴォヤージュ」の新店舗で新しいラーメンを手に張り切る貝原さん
移転したヴォヤージュの店内
「自分と家族が暮らすこの街で、20年、30年、長く商売を続けたい」-。東京・大田区でラーメン店「麺場voyage(ヴォヤージュ)」と「麺場ながれぼし」の2店を経営する蒲田民商会員の貝原光さんは、店舗の移転のため7月末に大田区の制度融資を実現。8月6日に新店舗がオープンしました。
「ヴォヤージュ」のラーメンは、ホタテオイルと生のマイタケ、シイタケ、シメジを素揚げしたフレークが味の基本です。海の香り漂う岩のりをのせた「潮」ラーメンで、女性も食べやすいと話題に。2013年には専門家による「東京ラーメン大賞新人賞」に選ばれ、雑誌の表紙になったこともある人気店です。
大学生時代にラーメン博物館(横浜市)でアルバイトした経験がきっかけで、多種多様なラーメンの世界に魅了された貝原さん。「1000円でおつりが出て、みんなが楽しめるラーメンを自分でも作ってみたい」と独立をめざして修業を重ね、7年前に「ながれぼし」を開業。2年後に「ヴォヤージュ」を開店し、事業を拡大してきました。
今年初め、大家から半年後の立ち退き通知が。6月に入ってから同じ4丁目内で新店舗の物件候補を見つけ、民商に資金繰りを相談しました。紹介された大田区の制度融資(別項)を申し込み、新店舗への移転費用を準備することに。
自主記帳が力に
創業時から民商の会計ソフトで日々帳簿を入力してきたため、金融機関に提出する売上計画書も問題なく作成し、7月初めには金融機関に相談ができました。
信用保証協会は応援してくれたものの、信用金庫では支出が多かった前年度の決算を理由に「考えさせてほしい」と回答。貝原さんは「経営を見直してより良い店をめざし、長く蒲田のラーメン屋としてやっていきたい」と訴えました。
その後も、不安なことは民商に相談し励ましを受けながら、週に一度は金融機関に顔を出して、新店舗の工事が順調に進んでいることや秋に大阪と名古屋で行われる全国区のラーメンイベントへの参加が決まったことなどを報告。売り上げ確保の見通しや熱意が伝わり、7月20日ごろに保証協会から電話があり、希望額550万円の融資が実行されました。
一番に民商に連絡し、喜びを伝えたという貝原さん。「今は安心して営業に集中できるのがうれしい。新店舗への移転をきっかけに、スタッフとも話し合って、今後の店づくりも見えてきたんですよ」と言います。これからは生まれ故郷・石川県の文化も伝えたい、と金沢の名産「麩」で作ったホタテをトッピングに追加。新しいラーメンを手に、明るい笑顔を見せてくれました。
▽「麺場voyage」大田区蒲田4の37の7 TEL03・6424・5596
全国商工新聞(2017年9月4日付) |