年の瀬の資金繰り対策 制度融資を活用しよう=遠藤 強さん(全商連常任理事 経営対策部長)の手記
中小企業庁は1日、年末資金繰りに制度融資を活用するよう、ホームページで発表しました。平成28年度2次補正予算に基づき創設・拡充した政策金融や信用保証では、金利引き下げや据え置き期間の延長が図られ、10月19日より実施しています(別表)。大いに活用し年の瀬を乗り越えましょう。民商で学び、制度を活用した経験がある全国商工団体連合会(全商連)の経営対策部長・遠藤強常任理事に、安心の制度融資活用について手記を寄せてもらいました。
アベノミクスの経済効果は小規模業者に届かない一方、消費税率引き上げや原材料の高騰などにより経営環境は厳しさを増しています。こうしたことを背景に、「借入金の返済が重荷になっている」という事業者の増加は、最近の金融相談に見られる特徴です。特に、これから年末の資金繰りは厳しくなることが予想されます。私たちの運動がつくり出してきた成果をあらためて学び、金融機関との交渉に生かすことが大事です。
私自身も制度融資を活用し、土木工事の生業を維持してきました。創業時の設備資金や運転資金などの負債を抱えてきましたが、民商・全商連の活動の中で国の借り換え保証制度を学び、6年前には、それまで複数あった借り入れを一本化しました。その際、清水の舞台から飛び降りる決意で、金融機関に「保証人に過度に依存しないと国は言っていますよ。私に付いている第三者保証を全て外していただきたい」と伝えると「少し時間を頂きたい」と支店長。1週間ほど待つと、「本部がOKと言っています」と回答がきました。それまで、条件変更する度ごとに保証人に頭を下げてきましたから、「解放された」と感じた喜びは忘れられません。
5年前には、鶴岡市の長期安定化資金に挑戦。何よりも金利が0・6%と低利(現在は0・15%)であり、返済計画が成り立ちました。
今は条件変更も検討しながら、土木工事からの業態転換も進めています。金融機関の支店長には、週に1回商工新聞を配りながら、事業の成り行きを伝えています。仕事の経過や地域に果たす役割を、時々の情勢に照らして明らかにするよう心掛けています。
商工新聞や民商で学びながら、取引金融機関の支店長とも仲良くなることが、円滑な資金繰りに生かせると思います。
全国商工新聞(2016年12月12日付) |