中小企業信用保険法「改正」 宮沢経産相が答弁
信用保証制度の特別小口保険(保証協会による無担保・無保証人保証)を全額保証(100%保証)から部分保証(80%保証)に縮小する中小企業信用保険法の「改正」案が5月20日、参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立しました。
特定非営利活動法人(NPO法人)を信用保険の対象に加えるための「改正」ですが、特別小口保険について現行の「保証をした借入金の額」から「借入金の額のうち保証をした額」と条文を変え、部分保証にするという重大な問題が盛り込まれています。
特別小口保険は従業員20人以下(商業、サービス業は5人以下)の小規模企業者が対象で保証限度額は1250万円。自治体が行う制度融資でも広く活用されており、保証協会が100%保証するもので、資金力や信用力が弱い小規模企業者の資金繰りを支える「命綱」の役割を果たしてきました。
部分保証の導入は、金融機関の小規模企業者への貸し出し姿勢を弱めるもので、全国商工団体連合会(全商連)は特別小口保険の部分保証化に反対する世論と運動を緊急に強めることを呼び掛けてきました。
衆院経済産業委員会(4月1日)では、日本共産党の真島省三議員が「小企業の命綱を守れ。特別小口の部分保証は反対である」と追及。宮沢洋一経済産業相から「(NPO法人以外の小規模企業者については)引き続き、100%保証として運用(する)」との答弁を引き出しました。
参院経済産業委員会(5月14日)では日本共産党の倉林明子議員が「100%保証の継続を法律で担保するべき」と求めたことに対し、宮沢経産相は「法律の解釈、法律を実施していく上で、(NPO法人以外の小規模企業者は、引き続き100%保証として運用するとの)立法者の意思は尊重すべきであり、大変重い答弁をしている」と述べました。
また、倉林議員は「部分保証の拡大が地方自治体の制度融資にも広がると懸念の声が上がっている」と強調。北川慎介中企庁長官は「従来からの特別小口保険の対象としている小規模事業者については、今回の法改正を踏まえて見直しを行うことはない。引き続き100%保証を継続する。従って地方自治体の制度融資への悪影響を考えていないが、(政府方針を)よく説明し、注目したい」と答えました。
国会審議を通じて、政府はNPO法人以外の小規模事業者の100%保証の継続を明言した一方で、将来的には部分保証化を狙う姿勢も見られ、引き続き、特別小口保険の全額保証を継続させる運動が求められます。
全商連の遠藤強常任理事は「部分保証は信用保証制度の後退を招く危険性があり、小規模企業振興基本法の精神に反している。中小業者への全額保証については恒久化するよう国や自治体、関係機関に申し入れていくことが重要」と話しています。
全国商工新聞(2015年6月1日付) |