「金融円滑化法に関わらず中小業者を支援」 金融機関一斉申し入れ=広島
広島県商工団体連合会(県連)と県内の民主商工会(民商)は9月19日、中小業者への金融支援と税務調査での預金者・納税者の権利保護を求め、県内の金融機関本店へ一斉に申し入れ・懇談を行いました。11民商から40人が参加。県内に本店を置く10の金融機関すべてが、来年3月末に期限を迎える金融円滑化法について、「円滑化法の有無にかかわらず、地域の中小業者の金融支援をする」と明言しました。
金融機関への一斉申し入れは20年来続いているもの。申し入れたのは、金融支援、税務調査の対応など9項目(別項)に及びました。
《金融支援について》
◆広島銀行
「円滑化法に沿ってほぼ100%対応している」と回答。その上で「仮に来年3月に打ち切られたとしても、この対応が変わることは100%ない」ときっぱり。
「地域の業者さんの成長・発展を支援するのが私たち金融機関の役割と考えている」と回答。条件変更中での追加融資の要望にも「条件変更中というだけで謝絶することはない」と述べ、「よく状況を聞き、事業計画も考え、必要とあらば支援する」と答えました。
◆しまなみ信用金庫
「金融円滑化法以前から他の金融機関と比べて当信金は条件変更には積極的に応じてきたと自負している」と回答。「円滑化法の下でも100%対応してきたし、来年4月以降も変わりない。即返済を求めたりなどない」と付け加えました。
◆もみじ銀行
「金融の取り扱いはこれまでと変わらないスタンスで今後も行う。法が終わっても同様」と、地元業者への金融支援を行うことを強調。
◆広島信用金庫
「当信金は『地域の中小業者あってのもの』という大方針の下で取り組んでいる」と切り出し、「円滑化法が終わったからといって手のひらを返すようなことはない」「お客様がよくなっていただいて当信金も成り立つ」と語りました。
◆広島みどり信用金庫
「頑張っている企業さんには期限いっぱいまで継続する」「法が終了しても決して機械的な対応はしない」と回答。さらに、融資について「書類審査だけに頼らず、主任クラスを一週間程度企業に派遣し、その企業の特性などを把握する試みを始めている」と答えました。
《反面調査への対応》
国税通則法が改悪され、消費税増税も強行成立させられた情勢の中で、申し入れでは「納税者の権利」を守ることの重要性、法的根拠を説明、税務当局の不当調査に手を貸さないこと、預金者(納税者)の利益保護の立場を貫いてほしいと要望しました。
今回申し入れた10の金融機関のうち、「民商さんの申し入れの通り対応してきた。今後もこの対応は変わらない」と回答したのは7行でした。
広島銀行は、「預貯金保護法の関係でも銀行が安易に預金者の財産を公表することはできない」と明快。もみじ銀行は、「行員のセミナーや連絡文書などでこの取り扱いを徹底している」と答えました。
広島信用金庫は、「全支店長に申入れ書をコピーして渡して徹底を図っている」とし、しまなみ信用金庫は、「任意調査という認識はもっており、担当者には預金者に必ず連絡するよう指導している。個人情報なので慎重に扱うよう指示している」と答えました。
(別項)
▼広島県連が金融機関本店に申し入れた要望事項
《金融支援について》
(1)中小業者の相談・申し込みにあたっては金融円滑化法の要旨に沿って対応し、仮に来年3月末に法が打ち切られても従前と変わらぬ対応を(2)「謝絶」ではなく「貸す」ためにコンサルタント機能発揮の審査を。借り換え、一本化などの支援も(3)中小業者に有利な公的制度融資の活用を(4)事業資金、住宅ローンの条件変更の積極対応を(5)条件変更中でも追加融資の支援を(6)金利引き下げ要求に積極対応を(7)責任共有制度の見直しに尽力を
《税務調査の対応について》
(1)税務署による反面調査の際には納税者に連絡を(2)預金者の承諾のない調査依頼に応じない
全国商工新聞(2012年10月22日付)
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