九州北部豪雨 中小業者の被害救済へ
福岡県商工団体連合会(県連)は7月31日、県南部を中心に甚大な被害をもたらした九州北部豪雨の被害実態をまとめ、被災業者の切実な声をもとに、水害対策特別融資の創設、店舗・工場・営業用資産被害への直接補償などの緊急の対策を求めて県と交渉・懇談を行いました。県は交渉後、既存の融資枠とは別枠の「緊急特別融資」の創設を発表するとともに、返済猶予、国保税の減免についても実施することを約束しました。
水害対策緊急特別融資を創設=福岡
交渉・懇談には県連の田口剛史、緑豊重・両副会長はじめ10人が参加しました。
柳川民主商工会(民商)からは、精肉業者の冷蔵庫や中の肉、機械類が全部駄目になり、「注文を受けていた分はスーパーで100グラム1000円の肉を買って500円で卸している」とし、ござ製造でも「8台の機械が全部お手上げ状態で、車2台も駄目になった」と報告しました。
農業に携わる八女民商の会員は「床上浸水で家財は一切駄目。農機具だけでも1500万円の被害。1町7反の田が土砂をかぶりどうにもならない農家もいる。八女茶の茶畑も再生不能のところがある。早く支援してほしい」と訴えました。
土砂が流れ込んで機械が動かせなくなったと話す甘木朝倉民商の会員からは「事業は再開したいが、もし防災のために川の拡張工事が行われる場合はすぐには再開できない。代わりの場所があるのか。融資はしてくれるのか」と実情が出されました。
この日、県に要望したのは(1)年利、保証料ゼロで返済10年以上、据え置き3年の水害対策特別融資の創設(2)返済条件の緩和と返済猶予への柔軟な対応(3)店舗、工場、営業用資産被害への直接補償や休業補償(4)国保税や県民税などの減免、徴収猶予-の4項目です。
県は水害対策特別融資については、「提案を踏まえて検討する」と回答し、その1週間後、既存の融資枠とは別枠の「限度額3000万円、年利0・9%、保証料ゼロ、返済10年、据え置き2年」の「緊急特別融資」を発表しました。また、返済猶予の申し出については「柔軟に対応することは当然で、県として保証協会や各金融機関に通知した」と回答。国保税の減免についても「滞納がある場合でも、災害のあった日以降納期が到来する分は減免できる。滞納分も徴収猶予申請はできる」と答えました。
一方、直接補償や休業補償についてはゼロ回答で、参加者は「東日本大震災で実現したような助成金をなんとしても作ってほしい」と強く訴えました。
水害なんでも相談会 店舗浸水 再建支援要求へ=大分・日田民商
大分・日田民主商工会(民商)は8月17日、7月の大水害の被災者を対象に「なんでも相談会」を事務所内で開き、会外の3人を含め23人が参加しました。床上浸水、土砂災害に遭った会員も多く、深刻な悩みや相談が寄せられました。
相談会には日本共産党の大谷敏彰、日隈知重、権藤清子の3市議が同席。堤栄三県議、仁比聡平前参院議員も駆け付けました。
今回の水害に対して国は、激甚災害法を適用。被災者生活再建支援制度に基づき、り災証明で大規模半壊と認定された世帯は200万円、全壊世帯は300万円の補助が支給されますが、床上浸水は5万円が支給されるだけです。
参加者からは「家の中は泥だらけなのに『半壊』と判定された」「被災店舗への支援がないのはおかしい」など、実態に合わない制度への不満が続出。店舗や店舗部分には何の援助もないことへの怒りが出され、このままでは事業の再開・継続が困難として、支援の拡充を求める声が相次ぎました。
また、全壊、半壊などの判定基準へのあいまいさを指摘する声とともに、「再三異議を申し立て被害状況を全壊にさせた」などの教訓も紹介されました。
仁比氏は、阪神・淡路大震災時に民商をはじめ被災者が住宅への支援を求めた署名運動が、今日の住宅支援などを実現させてきたことを紹介。「銀行や大企業には公的資金を投入しています。中小業者も日本経済や地域を支えています。当然の権利として、国に援助を求める運動を行いましょう」と、参加者を激励しました。
市内で電気店を経営する浦塚俊弘会長は「廃業を考えている人もいる。被災業者の声を国、県に届けていこう」と話しました。
全国商工新聞(2012年9月 3日付)
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