商工新聞活用し住宅ローン金利引き下げ実現
「電話1本で住宅ローン金利が引き下がった」―。本紙(9月20日号)に紹介した住宅ローンの金利引き下げの記事に、大きな反響が寄せられています。全国各地の民主商工会(民商)で金利引き下げを実現。さらに金融円滑化法に基づいて、返済猶予も実現しています。
金利を下げさせた田中さん夫婦と坪井副支部長(左)
月8,900円減額できた=大阪・八尾
2.475⇒1.175%
大阪・八尾民商竜華支部の田中浩司さん=洋菓子店=は住宅ローン金利が2.475%から1.175%に下がりました。「毎月の金利返済が8900円減額された。商工新聞に書いてあるとおりに言っただけなのに。民商に入っていて良かったわ」と家族は大喜びです。
日ごろから商工新聞をよく読んでいる田中さん。「電話一本で住宅ローン金利を下げた」という記事を読み、妻が「どんなものか」と銀行に電話して「金利を下げてほしい」と要望しました。後日「1回銀行に来てほしい」と連絡があり、出向いたところ、「下げます」との返事がありました。
その話を聞いた坪井新吉副支部長=仏壇製造=は「こんなに喜んでもらったのは初めて。運動していて良かった」と話します。田中さんが経営する「菓子工房ツインズパパ」は坪井副支部長がコーヒーをよく飲みに行っている店。1年ほど前、税金の問題で困っていたところ、坪井さんに相談して解決し、それをきっかけに入会しました。
田中さんの行動に励まされた坪井さんは、自分の娘にも金利引き下げを勧めました。「うちの金利は1.675%ほどで金利安いし…」と言っていましたが、しばらくしてから「金利が1・475%に下がり、月2000円下がった」とうれしい知らせが届きました。「商工新聞は役立つ新聞。どんどん勧めたい」と話しています。
全国商工新聞記事通りわずか10日で=愛知・瀬戸尾張旭
3.85⇒1.95%
愛知・瀬戸尾張旭民商副会長の江尻信之さん=不動産賃貸=は、住宅ローンの金利引き下げを伝えた商工新聞を片手に金融機関と交渉。金利を3.85%から1.95%へと1・9%下げさせ、毎月の返済額が8700円減額となりました。
江尻さんは20年前に自宅を購入。現在の利息は3.85%。毎月の返済額は10万8000円を超え、日常生活に大きな負担でした。そこに飛び込んできたのが「電話一本で住宅ローン金利引き下げ」の商工新聞の記事でした。
江尻さんはこの商工新聞と、他の銀行の借り換えの資料を持って、取引先の瀬戸信用金庫品野支店にさっそく足を運びました。
信金の窓口では単刀直入に「住宅ローンの金利を下げてほしい」と要望しました。
担当者は難色を示すどころか、「金利引き下げの相談に来ていただいて有難い」と話したうえ、「今、銀行はおまとめローンなどで、住宅ローンのお客さまが他の銀行に突然移ってしまうのがとても怖い。相談に応じるようにしています」と応対。「江尻さんの希望は」と聞かれ、「金利は2%以下、毎月の返済額を1万円ほど少なくしてほしい」と要望しました。
また、商工新聞を見せると「とても興味深い、参考にさせていただきます」との答えが返ってきました。
10日後、信金から3.85%から1.95%に金利を引き下げるとの連絡が入り、毎月の返済額は9万9千円余となりました。
引き下げを実現した江尻さんは「今は銀行が話に乗る時期。どんどん交渉することです」と語っています。
返済猶予を実現させた玉川民商の金坂さんと母親の明子さん
「円滑化法」を活用、23人が実現=東京・玉川
東京・玉川民商の金坂光久さん=弁当販売=は9月28日、金融機関から「3年間は毎月5万円を減額」との回答を得ました。「最初は半信半疑でしたが、金融円滑化法や民商の力をあらためて感じた」と話しています。
6年前に住宅ローンを借り入れた金坂さん。売り上げの減少や、子どもたちの教育費などが大きな負担となり、生活を切りつめて返済をしてきましたが、「もう限界」と7月14日に返済猶予を申し入れました。
当初、金融機関は「大学の授業料の明細書や、母親の年金証明書を持ってこないと申請を受け付けない」と冷たい態度でした。民商の仲間とともに、金融円滑化法などについて学び、粘り強く交渉したところ、2カ月後、金融機関は「子どもさんが大学を卒業するまで待ちましょう」と対応が変化し、返済猶予が実現しました。
また、佐々木賢三さん=建材=は、商工新聞1面の記事に励まされ9月29日、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)に金利の引き下げを要望。「7%から5%まで引き下げる」との回答を得ています。佐々木さんは「それでもまだ高い」と引き続き交渉しています。
玉川民商では金融円滑化法が昨年12月に施行されてから、各支部で地域内の20の金融機関に申し入れ、返済猶予や金利引き下げに応じるように要望。これまでに23人が要求を実現しています。
中小企業支援訴え10月から=東京・浅草
2.475⇒1.075%
東京・浅草民商の小池秀雄さんは、取引銀行と粘り強く交渉。2.475%から1.075%への引き下げを実現しました。
◇ ◇
埼玉県三郷市内でハンドバッグと靴の製造・販売をしています。1988年に自宅隣の土地を埼玉りそな銀行三郷支店のすすめもあり、30年の住宅ローンを組んで購入しました。
9月27日、三郷支店に電話し住宅ローンの金利引き下げを求めたところ「越谷支店にある統括部門に移されている」というので、同部門に連絡しました。その後、同支店の統括責任者から「住宅ローンは円滑化法の適用になりません」という電話が。改めて、金融円滑化法の説明をするとともに「住宅ローンの金利引き下げはどこでもやっている。なぜ埼玉りそなは、できないのか。おかしい」と話すと、「検討し、電話する」と応えました。
翌日、三郷支店から電話がありました。訪れた銀行員が「法人決算書を見せてください」というので、「ローン金利を引き下げる条件ではないはず」というと、話を持ち帰ることになりました。その後、私から三郷支店に出向きました。
銀行で「10年前に借り入れを申し込んだが断られ、仕方なく、他の金融機関から借り入れをした。この間、あなた方は、地元の中小業者である私どもに支援したことがあるのか」と思いの丈を話し、「現在、金利2.475%で借りているが、ホームページには最大限1.4%下げると書いている。だから1.075%にしてくれ」と申し入れました。応対した銀行員は「少し時間を下さい。支店では決められない」となりました。
10月6日に、銀行の担当者から電話で「申し入れ通りに金利を引き下げます」と連絡が入り、10月から適用されることになりました。(手記)
▼金融円滑化法とは
09年12月制定。中小企業や、住宅ローンを返せなくなった個人を救済するため、借り手から申請を受けた金融機関は、できる限り返済条件の見直しに応じるよう努めなければならないというもの。
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