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トップページ > 金融のページ > 融資制度 > 全国商工新聞 第2927号 5月24日付

 
金融 融資制度
 

過去の会社整理乗り越え緊急融資200万円実現


 「自然債務」が残っていることを理由に融資を受けることができなかった福岡・宗像古賀民主商工会(民商)のFさん=婦人服販売=は先ごろ、緊急保証制度を活用し、200万円の融資を実現しました。民商の仲間と1年半かけて福岡県信用保証協会と交渉したのが実りました。
 「自主記帳・自主計算が大きな力になった。要求された書類は迅速に対応し、過大な要求には緊急保証制度の趣旨を民商の役員と主張し続けた。満額ではなかったが、民商に入っていたからこそ融資が受けられた」と喜んでいます。
 Fさんは20年ほど前、株式会社を経営していたときに、土地・家屋を担保に銀行から9000万円(保証協会付)を借り入れました。その後、経営が悪化し、95年に債権者30社を集めて3回にわたる債権者会議を開き、会社を整理しました。負債額は3億円に上り、Fさんは任意整理をし、土地・家屋を競売。これで債務返済が完了したと思っていました。
 この間、保証協会からは何の請求もなく、個人で細々と事業をしていました。今回の不景気で運転資金が必要になったFさんは08年11月、県保証協会に融資の相談に行ったところ、初めて個人に保証債務が残っていることを聞きました。
 「説明では請求できない自然債務だと言われ、初めて聞く言葉だったし、請求ができない債務とはなんなのかと疑問だらけだった」と言います。
 「たった一度の失敗で一生借り入れができないのか」と途方に暮れていた時、税金の滞納があっても融資が受けられた商工新聞の記事に勇気づけられ、役員や事務局と一緒にあらためて保証協会保証業務部の部長と交渉。しかし自然債務の壁は厚く、話は平行線のまま。「あきらめずに再度、融資を申し込もう」とFさんは民商の仲間から励まされました。
 「自然債務で拒絶しない」
 県連が昨年12月に行った保証協会との交渉でもFさんの問題を追及。担当者は「自然債務とは、法的には請求できない債権。法的には請求できない求償権があることだけ。そのことだけで門前払いをするようなことはあってはいけない」と回答しました。
 民商では再度、対策を話し合い、県連のアドバイスなどを受け、民法第145条の「時効の援用」を活用することに。時効の利益(返済しなくてもいい)を得るためには、自らが「時効であり、支払義務はなく、支払いません」と明確に主張することが必要です。Fさんは保証協会に対し時効に伴う債務不存在と、支払いの拒否を明確にした文章を書留で送り、同時に600万円の緊急保証を申し込みました。
 その後、売上明細や試算表、経費一覧など書類の提出を求められましたが、融資が実行されるまでに電話を含めて10回以上交渉し、一つひとつをクリアしました。

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