全商連、政策公庫に改善求める=借り手の声聞き融資を
年度末を控え、資金繰り需要が増す中、全国商工団体連合会(全商連)は17日、衆議院議員会館で日本政策金融公庫(政策公庫)と交渉しました。西村冨佐多副会長をはじめ埼玉、神奈川、広島などから12人が参加。貸し渋りの事例を示し、融資の実行を迫りました。日本共産党の吉井英勝、佐々木憲昭両衆院議員が同席しました。
年度末に向けて融資の実行を迫った政策公庫などの交渉(左から3人目が西村副会長)
納得できぬ理由で拒否
交渉では、政策公庫から融資を断られた2人の民主商工会(民商)会員が訴えました。
100万円の運転資金を申し込んだ神奈川・相模原民商のSさん=プラスチック加工=は15日、民事再生中の会社の仕事をしていることや残債が多いことなどを理由に融資を断られました。「事業計画や仕事の注文書を出し、面接官は融資に前向きだったが、『審査では多数決で融資ができなくなった』と、納得できない理由で拒否。月末までに資金がどうしても必要」と迫りました。
6人の従業員の人件費払えない
「6人の従業員の人件費が払えない」と声を詰まらせたのは広島・福山民商のYさん建築設計。昨年10月から3回にわたって300万円を申し込みましたが、残債や税金などの滞納を理由にいずれも実行されませんでした。「6000〜8000万円あった売り上げは、建設不況の影響で昨年7月の決算では2400万円まで落ち込んだ。しかし、今年は3000万円を超える売り上げが見込まれるので融資を受けて頑張りたい。仕事の契約書を示したが『信用できない』の一点張り。このままでは会社を閉めざるを得ない」と訴えました。
政策公庫の鎌田輝雄融資課長は「『信用できない』という言葉は適切ではなく、申し訳ない。融資できない説明が不足している。親身になって話を聞き、どうしたら売り上げが伸びるのかなどコンサルティング機能を発揮することが重要」と述べ、事例については「調査して対応する」と約束しました。
参加者は政策公庫がほかの金融機関や保証協会よりも審査が厳しく、改善を求める声が全国から寄せられていることを指摘。「金融円滑化法」の趣旨を生かして政府系金融機関としての役割を発揮し、税金滞納や過去の事故・免責、赤字決算などがあっても門前払いをせずに親身に審査をすること、申込者が信頼する第三者の同席に柔軟な対応を求めました。鎌田課長は「説明不足や対応の不十分さはご指摘のとおりで、あらためて指導を強めたい」と要望に理解を示しました。
赤字を理由に門前払いせず
財務省政策金融課の入江晃史課長補佐は「政策公庫に対して中小企業と一緒に、資金繰りに困っている人に対して、赤字だからといって門前払いにするのではなく、借り手の声をよく聞くことなどを要望した」ことを明らかにしました。
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