全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
 

トップページ > 金融のページ > 融資制度 > 全国商工新聞 第2907号 12月14日付

 
金融 融資制度
 

金融円滑化法の積極活用で融資獲得を


 「金融円滑化法」が成立し、金融機関に対して、条件変更や追加融資を含む借り換え、新規融資など、中小業者の金融要求に応じるよう努力することが義務づけられました。住宅ローンの条件変更への対応も努力義務の対象です。この新制度を実効あるものにするためには、中小業者の切実な要求をくみ上げ、金融機関にその実現を迫ることが大切です。融資申し込みを積極的に進めるために、自治体の制度融資と信用保証制度を活用する方法について解説します。

 Q1信用保証制度とはなんですか
  中小業者の信用力を補い、融資を受けやすくする制度です
 中小業者は、大企業などに比べ、信用力、担保力で弱い立場にあります。その「弱点」を補完し、金融機関からの借り入れをスムーズに行うための制度が信用保証制度です。信用保証協会の保証が得られれば、万が一、返済できない状態になったときに、保証協会が代わりに返済する仕組みです(代位弁済)。
 金融機関にとって信用保証協会の保証付き融資は、保証付きでない融資に比べ未回収になるリスクが減り、健全な金融機関である基準とされる自己資本比率の計算上も有利になります。そのため、銀行も融資しやすくなるのです。信用保証協会の保証は、制度融資だけでなく、プロパー融資の場合も利用が可能です。
 信用保証協会は各都道府県に設置され、地域に支店が設けられています。

 Q2自治体の制度融資とは
  自治体が中小業者向けの融資に予算を組み、それを原資に貸し出す融資制度です
 自治体は、融資に必要な予算を組み、金融機関に預託するか利子補給を行うことによって融資枠を確保します。
 自治体の制度融資でも保証付きが条件になっている場合と必要としない場合があります。
 自治体の制度融資は実施要綱に基づいて運用されていますので、誰が申し込んでも要綱で決められた条件で借り入れでき、利子補給、保証料補助や返済期間、据置期間を長くするなど、中小業者への負担軽減策を実施している自治体もあります。

 Q3どうやって使ったらいいのですか
  どの制度融資を活用するかを決めます
 (1)県や市町村の制度融資の内容をよく検討して、最も要求に合致し、使い勝手のよい制度を選択しましょう。
 (2)制度融資には信用保証協会の保証を要件とするものと必要としないものがあります。信用保証協会の保証が融資申し込みの要件になっている場合は、信用保証協会の保証を申し込む必要があります。
 (3)協会に提出する「信用保証委託申込書」や「設備計画書」「資金繰り表」などの作成は金融機関任せにせず、民商で相談しながら必要書類作成に取り組み、写しは保管しましょう。
 (4)保証制度は、特別小口保証やセーフティーネット保証など100%保証のものと、融資申し込み額の80%しか保証しない部分保証(「責任共有制度」による※Q4参照)など、さまざまな種類があります。どの制度が最適かをよく吟味する必要があります。
 (5)保証を得るための用紙(信用保証委託申込書、信用保証委託契約書など)は保証協会、または金融機関の融資窓口でもらえます。
 (6)所定の用紙に記入のうえ、添付書類(初めて保証を申し込む場合は、必ず住民票と印鑑証明書が必要。その他、許可業種の場合は許可証、確定申告書控えなど)をそろえて金融機関の融資窓口に申し込みます(自治体の商工課など融資担当部署が申し込み窓口になっている場合があります。地域の実情に合わせて申し込みましょう)。
 (7)保証協会に直接保証を申し込み、保証協会から金融機関に融資をあっ旋してもらう方法もあります。

資金繰表
※クリックすると大きなPDFが出ます。

 Q4セーフティーネット保証のメリットは
  一定の要件を満たす中小業者への100%保証です
 セーフティーネット保証を活用すれば、保証協会の100%保証が得られます。
 「100%保証」とは、借入金の返済が困難になったときに、借入先の金融機関に保証協会が借入残高「全額」を代位弁済するということです。保証制度の理念からは当然のことです。
 ところが、「責任共有制度」という名目で部分保証が自民・公明、民主、社民の賛成で導入されました。07年10月以降、責任共有制度では、融資額の80%を保証協会が保証(代位弁済)しますが、残り20%は金融機関が責任を負うことになります。これも貸し渋りの大きな原因の一つとなっています。

 Q5セーフティーネット保証(5号)の手続きは
  手順は次の通りです
 (1)まず、自分の業種がセーフティーネット保証(5号)の対象になっているかどうかを確認します(全商連のホームページに対象業種を掲載)。
 (2)対象になっている場合は、住民票や会社所在地がある自治体の商工課など融資担当窓口で対象認定を申請します。
 (3)交付された認定書と必要書類をそろえて、金融機関の融資窓口に申し込みます。
 (4)受け付けた金融機関は稟議(りんぎ)し、信用保証協会に書類を回します。
 保証協会が保証承諾すれば、保証料を差し引いて(保証料の分割も可能)、申し込み銀行の口座に振り込まれます。

 Q6「金融円滑法」が成立しましたね
  運動で円滑化を進めよう
 金融円滑化法を実効あるものにすることが必要です。「金融機関に融資要求に応える努力義務を課す」という、中小業者への金融を円滑にするための新たな理念を融資獲得に徹底して生かすことが求められます。
 「条件変更を行っても不良債権としない」という金融検査マニュアルがさらに改定されました。新たな融資を必要としない場合は、条件変更を積極的に活用します。
 保証料負担軽減が必要
 新規融資や借り換えだけでなく、条件変更を申し込む場合にも信用保証協会への保証料や銀行への手数料が求められます。そのため借り換えや条件変更では必要な資金を新たに手にすることはできず、「保証料を自前で用意しないと申し込みもできない」ことになりかねません。自治体に保証料や金利への補助制度を実施するよう求めることも大切です。
 保証料も事業に必要な資金(運転資金)として融資の対象です。複数の借り換えを一本化して月々の返済額を減らしたり、据置期間(緊急保証制度は最長2年)を有効活用して、「据置期間中は金利のみの支払いにする」など、返済負担の軽減を図るためにも、追加融資を含めた借り換えを前面に取り組むことが大切です。

 Q7事業計画を出せと言われたんですが
  金融検査マニュアルの改定を生かし、「事業計画」づくりに強くなろう
 借り換えや条件変更、新規融資の申し込みに際して、「事業計画書」や「資金繰り表」の提出を求められる場合があります。
 中小業者の間では、「事業計画を出せと言われても、見通しなんて示せない」というケースが増えています。しかし、ここであきらめては、せっかくの制度も生かせません。
 08年11月7日付けで金融庁が行った監督指針と金融検査マニュアルの改定内容を生かすことが大切です。この時の改定で、「経営再建計画の期間が概ね5年以内で、計画終了後、正常先となる」場合は不良債権扱いしないことになりました。この措置を念頭に置き、実際の計画書づくりに生かしましょう(下の表参照)。
 そのためには、「売上や利益を伸ばす計画」「新たな仕事にも取り組み、収入を維持」「一括仕入れで原価を下げ収益アップ」など、攻勢的な事業計画が大切です。
 同時に、「経費を減らして返済原資を確保」とか、「5年後には年金を受給するので収入が減っても返済も生活もできる」「子どもが大学を卒業するので今以上の返済は可能」など、堅実な経営計画や生活の将来像を交えて示すなど、柔軟な返済計画作成がカギです。
 民商で「集まって、話し合い、相談し、助け合う」など、知恵と経験の交流をすすめることによってしっかり主張できる経営計画を作成することができます。あわせて、信用保証委託申込書や資金繰り表、設備計画書なども相談しながら作成すれば、資金使途や返済計画を自分で説明する力も生まれます。
 借り換えや新規融資も経営計画作成が大切です。
 なお、金融円滑化法施行と同時に改定された金融検査マニュアルには、「経営相談・経営指導及び債務者の経営改善計画の策定支援などに積極的に取り組んでいるか」「過去の条件変更の履歴だけで新規融資・条件変更を拒否していないか」などや、経営改善計画の策定を1年間猶予する項目も盛り込まれました。
 改善計画を形にできなくても、事業を継続し、経営改善できる可能性をしっかり語り、示すことで融資要求実現の道も広がります。

設備計画書
※クリックすると大きなPDFが出ます。

 Q8大銀行は融資になかなか応じてくれません
  大銀行こそ「努力義務」を履行すべきです
 信用保証協会や信用金庫、信用組合などは、すでに条件変更や借り換えなどに応じています。そうした姿勢も視野に入れたうえで、緊急切実な要求にはさらに前向きに応えるよう、金融円滑化法の趣旨や理念にのっとった対応を求めます。
 昨年10月以降の1年間で中小業者への融資を約4兆円も減らしたにもかかわらず、黒字を計上している三大メガバンク(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友)の姿勢は大問題です。
 こうした銀行にこそ、金融円滑化法による努力義務の履行を迫る必要があり、金融庁など国の指導力発揮が求められます。

 Q9条件変更対応保証は私たちにも使えるのですか
  信用保証協会の保証付融資や政策公庫から融資を受けていない業者が対象です
 「条件変更対応保証」は、信用保証協会の保証付き融資や政策公庫、商工中金など政府系金融機関の融資を活用していない中小業者が対象です。
 保証期間は3年、保証料は2・2%、条件変更対象額の4割を保証協会が保証するものです。

 Q10使えるようにはならないのですか
  真に救済が必要な中小業者の支援のために改善させる必要があります
 「2・2%という高い保証料を求める分、金融機関に金利引き下げを要請する」(経済産業省)としていますが、強制力はなく、金融機関がどこまで利下げに応じるかどうかは不透明です。しかも、「対象になるのは一定規模以上の企業。保証協会の保証も付けず、政府系金融機関の利用もない企業は、大銀行は別として、信金・信組では支店に1件あるかどうか」との声もあります。
 業績回復が見込めない、いわゆる不良債権化しそうな取引先に対し、大銀行が条件変更対応保証を付けて元金返済の凍結に応じ、貸出債権の4割の回収を図るために利用する‐。大銀行支援との指摘もあります。
 条件変更対応保証を「新たな大銀行支援策」にさせないための監視と指導を国に実施させ、真に救済が必要とされる中小業者の金融支援策にさせる必要があります。


  ページの先頭