活用にむけ改善を「金融円滑化法」案
政府は10月30日、中小企業の借り入れの返済猶予(条件変更)などに応じることを金融機関に求めた「金融円滑化法案」を臨時国会に提出。11月中に成立させ、12月にも施行させる予定です。返済猶予は全国商工団体連合会(全商連)がこの間、亀井静香金融担当相に求めていたものです。全商連は会内外の中小業者に内容を知らせ、返済猶予や借り換え、新規融資などを全国で実現し、年末資金の獲得に全力を挙げることを提起しています。
金融円滑化法案
銀行に努力義務
「金融円滑化法」は、金融機関が政府関係金融機関、信用保証協会などと連携し、中小企業の融資や住宅ローンの返済猶予(条件変更)、新規借り入れなどに応じることを定めています(努力義務)。対象となる金融機関は銀行、信金、信組、労金、農協・漁協およびその連合会、農林中金です。
体制整備も義務
合わせて金融機関に、条件変更などに応じるための必要な体制整備、開示が義務づけられています(虚偽開示には罰則)。
検査マニュアルも改定
金融庁は金融機関に条件変更などの実施状況を報告させ、6カ月に1回公表します。また、検査マニュアル、監督指針を改定し、条件変更をしても不良債権扱いにしないことを盛り込みます。
政府系にも要請
そのほか、政府系金融機関についても条件変更に柔軟な対応を要請しています。
拘束力を持つ
努力義務とはいえ、金融機関に条件変更や新規融資に応じることを求め、実施状況の開示を義務づけることは、一定の拘束力を持つものです。さらに、条件変更をしても不良債権扱いされないことは、金融機関が柔軟な対応をとることを可能にします。
条件変更対応保証
一方、経済産業省は「金融円滑化法」に合わせて金融機関が条件変更に応じやすくするため「条件変更対応保証」(仮称)の実施を発表しました(10月30日)。
条件変更容易に
公的融資、保証協会の保証のいずれも受けていない中小企業に、新たに保証を付けて条件変更を受けやすくするものです。保証割合は4割。金融機関の責任共有制度(2割)を除いた分を保証協会と金融機関が折半します。
保証期間の上限は3年。保証料は9段階中最高の2・2%。金融機関は金利を引き下げ、保証料負担の軽減を可能にしています。
二つの制度を広く知らせ積極的に活用し、返済猶予をはじめ借り換えや新規借り入れを申し入れ、仲間とともに困難を乗り越え、融資を獲得することが重要です。
保証料軽減を
同時に、制度改善を要望することが必要です。
全商連への報告によると融資残高1175万円の業者が元金の返済猶予を申し込んだところ、わずか半年の据え置きで、14万8000円の保証料が必要になりました(保証料率1・8%での計算)。保証料軽減は切実です。
また、条件変更をしても新規・追加融資にしっかり対応させることも必要です。
緊急保証の延長特別保証復活を
経済産業省は年末に向けて緊急保証(セーフティーネット5号)の対象を拡大する方向ですが、来年3月末までに終了します。民主党の公約でもある全業種を対象にし、一定の審査基準に該当しないもの以外は保証する「特別保証」の復活を迫ることも大切です。
|