政策公庫で借り換えで利下げ実現
金利引き下げを求め17年間頑張ってきたことが実った―。東京・墨田民主商工会(民商)のMさん=オフセット印刷=は9月30日、日本政策金融公庫(政策公庫)が拡充したセーフティネット貸付を活用し、融資の借り換えを実現しました。金利は6・7%が2・0%になり、新たな融資260万円を加えて2200万円を借り入れ、返済を一本化させました。Mさんの手記を紹介します。
17年間、公庫と交渉支えた民商の仲間たち
今回の借り換えによって、返済額25万円のうち利息12万円だったのが、2万円へと大幅に下がりました。画期的な借り換えです。家族と民商の仲間の支えでここまで頑張ってこれました。
事の始まりは92年7月。旧国民生活金融公庫(国金)から6・7%の固定金利で5200万円を借り入れました。(株)ソニーと取引のある親会社の生産が間に合わなくなり、ドイツ製2色機の設備投資をするためでした。
それからわずか数カ月後、ソニーは円高を理由に国内生産をすべて引き上げて海外にシフトし、当社の売り上げは約10%にまで落ち込み、親会社の社長は解任されました。
大企業の身勝手と横暴さへの怒りとともに絶望感を感じていた私を民商の仲間は「今、しっかりしなければ」と励ましてくれ、役員会で経過を話し、三役を中心に(1)絶対に商売は続ける(2)民商の仲間と旧国金に条件変更を申し入れる(3)印刷関連の仲間、地域のネットワークなどに実情を訴え、仕事を回してもらう‐など対応策を一緒に考えてくれました。
早速、旧国金に電話を入れると、担当者は「返済が困難ならば、任意整理をすれば」とにべもない返事。翌日、役員と一緒に旧国金に条件変更を強く申し入れ、認めさせました。93年10月のことでした。
しかし、その後、国の金利政策がゼロ金利になっても旧国金の金利は相変わらず6・7%のまま。やむを得ず、09年までに元金返済の条件変更を繰り返してきました。
昨年秋以降の世界的な金融危機の影響を受け、経営は一段と厳しさを増しました。東商連の「金融情報交換交流会」(3月28日)に出席し、現状を報告したことがきっかけとなって全商連主催の院内集会(5月27日)に参加。日本政策金融公庫(旧国金)の職員に直接「6・7%の金利は高すぎる。支店に何回も金利を引き下げるよう要望したが、金利は下げてくれなかった」と訴えました。
「追加融資300万円と既存の借り入れ一本化、金利2%以下の融資」を求めました。その後、6月中旬にセーフティーネット保証の「低金利・借り換え融資」を政策公庫江東支店に申し込みました。
17年間、何度交渉しても実現しなかった金利がようやく引き下げられました。今回、仲間とともに泣き寝入りせず借り換えを実現させたことが多くの業者の励ましとなればと思っています。
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