|
|
|
自己破産の壁乗り越えて緊急融資実現
「過去に自己破産をしていれば、制度融資を受けることは難しいのでは…」と思っていませんか。神奈川県商工団体連合会(県連)では、信用保証協会や金融機関と粘り強く交渉し、次つぎと緊急融資を実現。自己破産の壁を乗り越えています。原動力は「なんとしても融資を受けたい」というあきらめない気持ちと、民主商工会(民商)の仲間の励ましでした。
300万円なんとしても 神奈川・横須賀民商=電気店
横須賀民商のTさん=電器店=は8月10日、緊急融資を活用して300万円の融資を獲得しました。「自己破産をした人には、何年たっても貸せないという保証協会の姿勢が許せなかった。自らが先頭に立ち、融資が受けられることを示したかった」と話しています。
緊急融資を受けようと思ったのは昨年12月。保証協会横浜審査センターに300万円の融資を申し込みましたが、「自己破産」を理由に保証を拒否されました。
なんとしても融資を受けたいと、Tさんは県連が7月13日に行った県信用保証協会と交渉に参加。自己破産をして免責を受け、債務が残っていても「そのことで融資を断ることはしない。現在の経営状況を見て判断する」との回答を得ました。Tさんの融資についても「検討します」と前向きの姿勢を示し、融資が実行されました。
Tさんは00年12月、自己破産。銀行が突然、事業資金として借り入れていた3000万円の一括返済を迫ったことが原因でした。
自宅を売却し、現金をかき集め、2000万円は返済しましたが、どうしても完済できず店舗も競売にかけられ、自己破産せざるを得ませんでした。
それでも近所の人から「店をやめないで」と励まされ、店舗を借りて半年後に事業を再開。1000軒近くの顧客を維持し“町の電器屋さん”として地域に根を張っています。
500万円の融資を実現 神奈川・厚木民商=建築
「決め手は決算書。民商の仲間が力になってくれたから、まともな決算書を作ることができ、経営者としても自信をつけた」とガッツポーズを見せるのは厚木民商のMさん=建築。8月中旬、緊急保証を活用して500万円の制度融資を実現しました。
Mさんは97年、代金回収できずに、銀行や個人から借り入れするように。ところが毎月60万円の返済が滞り、99年2月、自己破産。2年半ほど建設会社で働いた後、知人から起業を誘われ、もう一度、事業に挑戦。02年に法人化しました。
緊急保証制度の創設を知ったMさんは1月、運転資金を銀行に申し込みました。ところが、決算書の不備を指摘され、「1人ではどうしようもない」と厚木民商に再入会。アドバイスを受けて経営状況が一目で分かる決算書を仕上げ、銀行に再提出しました。
しかし、保証協会厚木支所は保証を承諾せず、同支所に通っているうちに「保証協会に200万円の債務が残っている」と知らされました。自己破産をしたとき、金融機関のプロパーと思っていた融資に保証協会の保証が付いていたのです。
Mさんは「まったく知らなかった」ことを話し、経営状況を包み隠さず明らかにするなど誠実に対応。決算書も決め手となり、Mさんは「融資が実現し、建設業許可の更新手続きもできた。今後は公共工事にも入札したい」と意欲を見せています。
400万円融資制度を 神奈川・川崎中原民商=樹脂加工
川崎中原民商の村田晃さん(仮名)=樹脂加工=は9月18日、400万円の制度融資を実現。「一時しのぎの融資は難しいが、自己破産をしていても、見込みがあると判断されれば融資は可能」と確信を深めています。
村田さんは10年前、勤務先の負債をかぶって自己破産をし、連帯保証人が残債を返済することになりました。加工業者仲間から「もう一度事業をやってみないか」と誘われたのは自己破産から3年後。人体モデルなどプラスチック医療用具の製作を手がけるようになりました。ほとんどが手作業で、大企業にはできないもの。売り上げを昨年の3倍に伸ばし、設備を整え、さらに経営を伸ばすための事業計画書を作成し、8月初旬に融資を申し込んでいました。
中企庁や県保証協会の回答
|
神奈川県保証協会に融資実行を迫る 神奈川県連の役員ら(7月13日) |
全商連や神奈川県連がかちとった回答
【中小企業庁】の回答(5月27日)
「自己破産などで過去に免責されたことを理由に保証協会が保証を拒否してはならない」
【神奈川県信用保証協会】の回答(7月13日)
(1)自己破産をして免責を受けた人について協会の残債があっても「そのことを理由に融資を断ることはしない。現在の経営状況を見て判断する」
(2)「その場合、残債は法律上、請求することはしない」
(3)保証人として現在、返済している事業所にへの融資について「返済状況を見て判断する」(完済が条件ではない)
緊急保証制度(セーフティネット5号)
原油・原材料、仕入価格の高騰を転嫁できない中小企業が金融機関で融資を受けるときに保証協会が100%保証する制度(責任共有制度の対象外)。
一般保証とは別枠で保証限度額は普通保証2億円以内、無担保保証8000万円以内、無担保無保証人保証1250万円以内。
全商連などの運動が実り、昨年10月31日から申し込みがスタートしました。指定業種は現在、781業種(中小企業庁のHPに掲載)。スタート時の指定業種は545業種でしたが、全商連は中小企業庁と交渉し、指定業種の拡大を迫りました。
対象は(1)最近3カ月間の平均売上高等が前年同期比マイナス3%以上(2)製品など原価のうち20%を占める原油などの仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない(3)最近3カ月間(算出困難な場合は直近決算期)の平均売上総利益率または平均営業利益率が前年同期比マイナス3%以上(4)新型インフルエンザの影響を受けた後、3カ月間の売上等が前年同期比で3%以上減少‐している中小業者です。
保証協会や金融機関は税金滞納や自己破産などを理由に貸し渋っていましたが、全国の民商は、「断られてからが勝負」と粘り強く交渉を重ね、困難を乗り越えて融資を獲得してきました。
相談は民商へ
申し込みや手続きなどは最寄りの民商に相談して下さい。
|
|
|
|
|
|