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責任共有制度10月開始 制度融資どうなる
新設「小口零細」は100%保証
部分保証で金利引き上げも |
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制度融資などを支えてきた信用補完制度が改悪され、1日から責任共有制度が始まります。金融機関がリクスを負っていないため、無責任な審査をし、倫理観が欠如しているとの理由からです。制度融資の根幹を揺るがす問題で、金融機関の貸し渋りなどが懸念されます。
制度融資がどう変わるのか、あらためて同制度の内容を見てみます。
○部分保証の導入
保証協会が100%保証していた制度融資を、金融機関が「負担金方式」か「部分保証方式」のいずれかを選択し、20%の保証をします。保証協会は80%の部分保証になります。
○制度の対象外
七つの保証(別表)については当面の間、同制度の対象外とし、これまで通り保証協会が100%保証します。
○保証料
保証協会の保証が80%になることから、責任共有制度の対象となる協会に支払う保証料率は安くなります(9段階)。しかし、金融機関が20%を保証しますので、金利の引き上げが強まっています。
対象外の保証料は現行通りです。
○小口零細の新設
「小口零細企業保証制度(小口零細)」を全国統一の保証制度として設け、保証協会が100%保証します。限度額は1250万円(すでに保証協会が保証している融資がある場合、残高との合計が1250万円以内)。
県や自治体はこれに対応した制度融資を新設します。
利用できるのは常時使用する従業員が20人以下(商業、サービス業は5人以下)。
「小口零細」の納税要件は自治体によって違いがありますが、黒字要件は課せられず、原則として無担保です。
○適用
10月1日の保証申し込み受付分から適用されます。
窓口廃止の自治体も
全国の民商・県連 制度改善に全力
責任共有制度の導入について都道府県商工団体連合会(県連)と民主商工会(民商)はこの間、自治体や金融機関、保証協会と懇談し、問題点を指摘してきました。制度融資を充実・改善させようとする自治体がある一方で、これを機会に制度融資を後退させようとする自治体もあります。
埼玉県では「小口零細企業保証制度」(小口零細)を先取りして4月から小規模事業資金(無担保・無保証人)を改め、特別小口保険の納税要件が外され、赤字でも使えるようにしました。
愛知県豊橋市では保証協会が100%保証する「小規模事業資金」を創設。責任共有制度の対象外です。同市は市制度融資の保証料全額負担(融資額500万円まで)をおこなっていますが、同資金にも適用し、県の制度融資よりも保証料負担を軽くしました。
高知県信用保証協会は高知県連の申し入れに対して、「貸し渋りが起きないように対応したい」と中小業者を守る姿勢を示しました(8月7日)。
金融機関のみ
一方、これを機会に制度融資の申し込み窓口を金融機関に移す動きが全国的に強まっています。
大阪府は制度融資のうち、責任共有制度の対象となる保証制度の申し込み窓口は金融機関のみになります。
山口県では「とにかく銀行へという対応は誤りだが、申し込みは金融機関を通してもらうことにした」と回答(5月23日、山口県連との懇談で)。
愛知県は「『小口零細』を利用した新たな制度の受付は従来通り市町村とするが、そのほかの制度融資は書類提出、調査、審査は銀行がおこなった後に保証協会に回る」ことを明らかにしました(9月5日、愛知県連の交渉で)。
県内63自治体のなかで独自の制度融資があるのは9自治体ですが、これを機会に廃止する動きもあり、全体として自治体の独自制度が縮小される方向です。
貸し渋りが懸念される金融機関の対応もさまざまです。
選別はしない
広島県連は11金融機関に申し入れ行動。広島銀行本店では「貸出先を選別したり、貸し渋り・貸しはがしなどは断じてない。20%のリスクがあるので、より慎重になるが、融資ができなくなることはない」と回答(8月22日)し、広島信用金庫やもみじ銀行でも「選別融資はしない」と答えています。
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